新刊『学校では教えてくれないシェイクスピア』 をよろしくお願い申し上げます。

アイルランド演劇

木の力~『ゴドーを待ちながら』

赤坂RED/THEATERで西本由香演出『ゴドーを待ちながら』を見てきた。 エストラゴンことゴゴ(小倉久寛)とウラジミールことジジ(横堀悦夫)がとぼけたやりとりをする展開である。全体的に、物忘れがどんどん激しくなっている初老のおじさん同士のボケとツッ…

ロマンス風味がなく、原作に忠実な上演~『ピグマリオン』

ニコラス・バーター演出『ピグマリオン』をブリリアホールで見てきた。 『ピグマリオン』は原作の展開と違う形に魔改造され、ヒロインのイライザがヒギンズとくっつくという戯曲を素直に読むとあり得ない感じの展開で上演されてしまうことも多いのだが、これ…

わざわざタイトルを変える意味があるのか…『西に黄色のラプソディ』

『西に黄色のラプソディ』を吉祥寺シアターで見てきた。串田和美による『西の国のプレイボーイ』翻案である。 若干いじってはある…のだが、基本的には話はほぼ『西の国のプレイボーイ』と同じである。しかしながら最後のタイトルに引っかけた台詞が削除され…

ギルドフォード爆破事件を題材にしたひとり芝居~Paddy – The Life & Times of Paddy Armstrong

ファイヴ・ランプス・アーツ・フェスティヴァルの一環としてショーン・オケイシー劇場で上演されたPaddy – The Life & Times of Paddy Armstrongを見てきた。『父の祈りを』と同じく、1974年のギルドフォードのパブ爆破事件による誤認逮捕と冤罪を扱っている…

コメディというよりはコントのような…Three Short Comedies by Seán O’Casey

パヴィリオン劇場でThree Short Comedies by Seán O’Caseyを見てきた。ドルイドによる上演で、ギャリー・ハインズが演出である。ショーン・オケイシーの短編喜劇(というか笑劇)を3本まとめてやるというものである。わりとセットがリアリスティックで、それ…

とにかくヒドい(褒めてる)台本をツボを押さえて~Ulster American

dlrミル劇場でデイヴィッド・アイルランドのUlster Americanを見てきた。デクラン・ラドン演出である。 舞台は現代ロンドン、ウェストエンドの演出家であるリー(ケヴィン・ファヒ)の家である(この部屋のセットは結構ちゃんと作り込んであった)。リーはア…

[[モード・ゴン]]をウィキペディアに立項しました

WikiGapオンライン2025及びトリニティ・カレッジ・ダブリン図書館ウィキメディアン・イン・レジデンスの一環として長年の懸案事項だったモード・ゴンの記事を日本語版ウィキペディアに立てました。 ja.wikipedia.org

役者はリアル、美術は非リアル~『西の国のプレイボーイ』

アーロン・モナハン演出『西の国のプレイボーイ』をパヴィリオン劇場で見てきた。 わりと変わった美術や衣装…というか、セットは全くアイルランドの田舎のバプらしくなく、むしろ抽象的な感じである。作り込んだパブのカウンターみたいなものはなく、樽がふ…

ウェクスフォードオペラ祭(4)舞台文化を諷刺した『批評家』

ウェクスフォードオペラ祭2日目の夜は『批評家』を見てきた。チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードがリチャード・ブリンズリー・シェリダンの有名な18世紀の戯曲をオペラ化したものである。キアラン・マコーリーが指揮、コナー・ハンラティが演出をつと…

ウェクスフォードオペラ祭(2)コルム・トビーンが台本をつとめた新作オペラ~『アメリカのレディ・グレゴリー』

ウェクスフォードオペラ祭はランチタイム前に短いオペラ公演があり、新作『アメリカのレディ・グレゴリー』(Lady Gregory in America) をやっていたので見てきた。これは有名作家(『ブルックリン』の原作者)コルム・トビーンが台本を書き、アルフレード・…

面白おかしい話がとんでもないバッドエンドに~『狙撃兵の影』

ショーン・オケイシー『狙撃兵の影』をスモックアリー劇場で見てきた。有名な演目だが初めて生で見た。キアン・ギャラハー演出である。 舞台は1920年のダブリンである。主人公のドナルは貧乏詩人で、ダブリンの貧困層向け集合住宅に住んでいる。近所の人たち…

スティーヴン・レイの演技がいい~『クラップ最後のテープ』

ゲイエティ劇場で『クラップ最後のテープ』を見てきた。スティーヴン・レイのひとり芝居である。 『クラップ最後のテープ』は私はけっこう見るたびにつらくなる…というか、昔あった良いことも悪いことも年取った今となると哀しい気持ちを呼び覚ます…みたいな…

オスカー・ワイルドの家で見るひとり芝居~The Importance of Being Oscar

オスカー・ワイルドまつりの一環として、オスカー・ワイルドの家で上演されるThe Importance of Being Oscarを見てきた。これはミホル・マクリアモルが1960年に作ったひとり芝居で、オスカー・ワイルドの人生を、作品の朗読をまじえながら説明するというよう…

グッドフライデー合意の舞台裏を描く政治劇~Agreement

ダブリン演劇祭の一環として上演されたオーウェン・マッカファーティのAgreementをゲイト座で見てきた。去年ベルファストで初演されたそうだ。 1998年の4月、ストーモントで行われたグッドフライデー合意の交渉の舞台裏を描いた作品である。このため登場人物…

めちゃくちゃ苦手~Safe House

ダブリン演劇祭でエンダ・ウォルシュの新作Safe Houseを見てきた。私はウォルシュの作品は5本に1本くらいはすごく面白いと思うのだが、あとの4本はなんか人がトラに食われているのをスローモーションで見ているみたいな気分になるので全然好きになれないのだ…

これは舞台というメディアにする必要があるのだろうか?『モリー・スウィーニー』

パヴィリオン劇場でダブリン演劇祭の一環として上演される『モリー・スウィーニー』を見た。ブライアン・フリール作で1994年に初演された作品である。同じフリールの『フェイス・ヒーラー』同様、モノローグだけで展開する芝居である。このプロダクションは…

個人的に嫌いなタイプの芝居~オールド・ヴィク『フェイス・ヒーラー』(ライヴ配信)

オールド・ヴィクの有料ライヴ配信で『フェイス・ヒーラー』を見た。アイルランドの有名劇作家ブライアン・フリールの作品である。 www.oldvictheatre.com この作品は全編モノローグでできている。第1部と第4部はアイルランド生まれのフェイス・ヒーラーであ…

死ぬまでの間延びした時間~世田谷パブリックシアター『The Silver Tassie 銀杯』

世田谷パブリックシアターで森新太郎演出『The Silver Tassie 銀杯』を見てきた。ショーン・オケイシーの有名作だが日本初演らしい。私もナショナル・シアターの公演をアーカイヴで見たことあるだけで、生で見るのはこれが初めてである。 これは第一次世界大…

「西の国のプレイボーイ」の記事を作りました

日本語版ウィキペディアに英語版からの翻訳で[[西の国のプレイボーイ]]の記事を作りました。授業でやってる戯曲です。

戯曲に内在するジェンダーステレオタイプの強化~ナショナル・シアター『鋤と星』

ナショナル・シアターで『鋤と星』を見てきた。1926年に初演されたショーン・オケイシーの有名作で、1916年にアイルランドで起こったイースター蜂起を扱った作品である。ただ、この作品は蜂起を英雄的に描いた作品ではなく、突然街が戦場となって右往左往す…

オールドヴィック『西の国のプレイボーイ』〜ロバート・シーハンはすごくステキだ、しかしそれだけでいいのか、という問題

オールドヴィックでジョン・ミリントン・シングの『西の国のプレイボーイ』を見てきた。今んとこ私が超注目しているアイルランドの若手、ロバート・シーハンの舞台デビュー作。 日本ではあまり馴染みがないと思うが、この戯曲は英語の芝居(およびアイルラン…