モーツァルト

かなりダークな上演~ハノーファー州立オペラ『フィガロの結婚』(配信)

ハノーファー州立オペラ『フィガロの結婚』を配信で見た。1月20日に撮影されたものである。演出はリディア・シュタイア、指揮はジュリオ・シローナである。 www.youtube.com 全体的にかなりダークな演出である。まず、最初があの有名な序曲ではなく、一度ロ…

キャラが立った楽しい上演~ウィーン国立歌劇場『フィガロの結婚』(配信)

ウィーン国立歌劇場による『フィガロの結婚』の配信を見た。2021年2月4日に無観客で上演されたばかりの公演の録画らしい。指揮者はフィリップ・ジョルダンで、演出はジャン=ピエール・ポネルによるものである。 以前に配信でポネルの『チェネレントラ』を見…

やや演出に疑問~ウィーン国立歌劇場『皇帝ティートの慈悲』(配信)

ウィーン国立歌劇場の配信でモーツァルトのオペラ『皇帝ティートの慈悲』を見た。2016年4月4日の上演を録画したものである。演出家はユルゲン・フリム、指揮者はアダム・フィッシャーである。 ローマの皇帝ティートをめぐるいざこざを描いた作品である。ティ…

モーツァルトの音楽を使った抱腹絶倒のCovidコメディオペラ~フィンランド国立オペラ、Covid Fan Tutte(配信)

フィンランド国立オペラによるCovid Fan Tutteを配信で見た。2020年8月に初演された『コジ・ファン・トゥッテ』の翻案で、音楽は少しだけワーグナーなどが使われている以外はほぼモーツァルトである。指揮者のエサ=ペッカ・サロネンと、有名なワーグナーソ…

回転セットにスムーズな音楽~メトロポリタンオペラ『フィガロの結婚』(配信)

メトリポリタンオペラの配信で『フィガロの結婚』を見た。2014年の上演で、演出はリチャード・エア、指揮がジェームズ・レヴァインである。 www.metopera.org 美術や衣装や1930年代を意識したおしゃれなものである。のっけからアルマヴィーヴァ伯爵(ペーテル…

つまらなくはないが、そんなに好みではないかも~メトロポリタンオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』(配信)

メトロポリタンオペラの配信で『コジ・ファン・トゥッテ』を見た。1996年から上演されている演出を2014年に再演した舞台で、以前映画館で上映されていた2018年の新演出とは全く違うものである。指揮はジェイムズ・レヴァイン、演出はレスリー・ケーニッヒで…

イタリア風の明るい美術が特徴~グラインドボーン『コジ・ファン・トゥッテ』(配信)

グラインドボーンの配信で『コジ・ファン・トゥッテ』(配信)を見た。2006年のニコラス・ハイトナー演出、イヴァン・フィッシャー指揮のプロダクションである。 www.glyndebourne.com イタリア風のシンプルだが明るい光を強調した美術が特徴だ。フィオルディ…

おしゃれな静物画みたいなプロダクション~ウィーン国立歌劇場『フィガロの結婚』(配信)

ウィーン国立歌劇場『フィガロの結婚』を配信で見た。2014年11月25日に上演されたものである。ジャン=ルイ・マルティノティ演出によるものである。 www.staatsoperlive.com 全体的に絵画みたいなセットと衣装で、アトリエのような雰囲気で絵が掛かっていた…

楽しいプロダクション~メトロポリタンオペラ『フィガロの結婚』(配信)

メトロポリタンオペラの配信で『フィガロの結婚』を見た。『アイーダ』同様METライブビューイングシリーズではなく、1998年の上演を撮ったものである。フィガロがブリン・ターフェル、スザンナがチェチーリア・バルトリ、ロジーナがルネ・フレミング、アルマ…

プロジェクションの背景は凄いが…新国立劇場『魔笛』(配信)

新国立劇場巣ごもりシアター『魔笛』を見た。現代アーティストでアニメーターのウィリアム・ケントリッジ演出によるものである。 www.nntt.jac.go.jp アニメーターが演出家ということで、絵が動くみたいなプロジェクションを大量に使ったプロダクションだ。…

音楽は楽しいが、話はけっこうメチャクチャだと思う~『後宮からの逃走』

日生劇場でモーツァルト『後宮からの逃走』を見てきた。初めて生で見る演目である。 誘拐されてトルコの後宮に売られた恋人、コンスタンツェ(安田麻佑子)を救出すべく、ベルモンテ(山本耕平)が太守セリム(大和田伸也)の宮廷にやってくる。コンスタンツェはセ…

ギンギラギンにさりげないエレクトリックアンドロイドモーツァルト~日生劇場『コジ・ファン・トゥッテ』(ネタバレあり)

日生劇場で菅尾友演出『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。この作品については既に連載で記事も書いているくらいなのだが、びっくりするような演出だった。 この作品の舞台は「ネオポリス」で(ナポリっぽい名前ではあるが、18世紀のナポリではない)、LED…

連載記事「性差別?フェミニズム?恋する人間はみんなバカ?~『コジ・ファン・トゥッテ』の一筋縄ではいかない世界」が公開されました

wezzyの連載記事「性差別?フェミニズム?恋する人間はみんなバカ?~『コジ・ファン・トゥッテ』の一筋縄ではいかない世界」が公開されました。よく性差別的だと言われる一方、フェミニズム的だとも言われるモーツァルトのオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』…

メチャクチャな世界~METライブビューイング『コジ・ファン・トゥッテ』

METライブビューイングで『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。 www.youtube.com この演目は一度だけ舞台で見たことがあってけっこう気に入ったのだが、今回見たこちらは以前の新国立とはかなり違った演出だ。この話は筋立てなずいぶんとしっちゃかめっち…

笑いと天才〜NTライヴ『アマデウス』

NTライヴ『アマデウス』を見てきた。今授業でこのテクストを読んでいるのだが、上演を見るのは初めてである。ピーター・シェーファー作の有名戯曲で、マイケル・ロングハースト演出である。神に愛された天才モーツァルトに嫉妬し、あの手この手で追い落とそ…

絵の中の出来事〜新国立劇場オペラ研修所修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』

新国立劇場オペラ研修所修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。見たことがない演目で見たいと思っていたし、去年演劇研修所の公演がなかなか良かったので、行ってきた。 お話じたいはナンセンス艶笑落語みたいな展開の物語である。18世紀末頃のナポ…

グラインドボーンツアー『フィガロの結婚』、ニューウィンブルドン座〜ツアーではスポーツカーをカット…

ニュー・ウィンブルドン座でグラインドボーンツアー公演『フィガロの結婚』を見てきた。言わずとしれたモーツァルトの有名オペラで、グラインドボーン音楽祭伝統の演目でもあるのだが、今回は演出を一新したバージョンらしい。 舞台は1960年代あたりのスペイ…

イングリッシュナショナルオペラ『ドン・ジョヴァンニ』〜演奏や歌はいいけど、イマイチなところも多数

イングリッシュナショナルオペラでモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』を見てきた。演出は『Dr. Dee』をやったルーファス・ノリス。学生スタンバイでかなり良い席をとれたせいで基本的には楽しめたのだが、イマイチなところも多数。 セットをぐるぐる回転…

イングリッシュナショナルオペラ『魔笛』〜『戦艦ポチョムキン』と比べよう!

イングリッシュナショナルオペラでニコラス・ハイトナー演出の『魔笛』を見てきた。1988年に初めて製作された人気のヴァージョンで、今回が最後の再演になる予定だとか。 前回ドイツ語版をロイヤルオペラで見た時は話が意味不明で洗脳カルト入信をすすめる内…

主役をサッチャー政権下のゲイにした翻案版『ドン・ジョバンニ』〜ロンドンで一番ホットなゲイクラブ、Heavenにて上演!

ロンドンで一番ホットなゲイクラブのひとつらしいチャリングクロスのHeavenでモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』ゲイ版翻案を見てきた。脇役の歌の技術とか音響には若干文句があるが、基本的には大満足。 なんか昨日まで場所は金曜日に行ったチャリングクロ…

あらすじはカルト宗教のプロパガンダ作品みたいだと思うが、パパパパパパパゲーノには勝てん〜ロイヤルオペラ『魔笛』

先週の木曜は昼に『リア王』を見て面白かったのでそのまま授業に出て帰ろうと思っていたのだが、授業でなんかひどい映画を見せられたので帰りにお口直しということでロイヤルオペラの『魔笛』を見てきた。言わずとしれたモーツァルトの超有名オペラで、ケネ…