ギリシア悲劇

東京ノーヴイ『アンティゴネー』(配信)

東京ノーヴイの配信版『アンティゴネー』を見た。だいぶ以前にライヴで見たことがある。こちらは配信用に作られたものである。 大変変わった撮り方で、あんまり演劇らしくはない。モノクロでほとんど顔にクロースアップするだけの撮り方で、役者の動きを全体…

解釈しづらい作品をわかりやすく~ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』

ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』を見てきた。言わずと知れたエウリピデスの悲劇で、2014年の公演を収録したものである。キャリー・クラックネル演出、ベン・パワーの台本で、音楽はなんとゴールドフラップが担当している。なにしろ新型コロナウイ…

こういう上演ってすごく撮りにくいのでは?~SPAC『アンティゴネ』(配信)

配信でSPAC『アンティゴネ』を見た。2017年にアヴィニョン演劇祭で上演された宮城聰演出のプロダクションの撮影である。ふじのくに野外芸術フェスティバルで上演予定だったものが中止となったので、上演予定期間だけ無料配信されている。 v2.kan-geki.com 言…

面白いところはたくさんあるが、現代的な演出とあっているのかは疑問~『オイディプス』(演出ネタバレあり)

マシュー・ダンスター演出『オイディプス』を見てきた。言わずと知れたソフォクレスのギリシア悲劇である。テーバイの王オイディプスの殺人と近親相姦にまみれた呪われた運命を描いた作品で、現存する最古のミステリ戯曲でもある。 www.bunkamura.co.jp あら…

とにかく好みでなくてつまらない~新国立劇場『オレステイア』(ネタバレ)

新国立劇場でロバート・アイク版『オレステイア』を見てきた。とにかくつまらなくて、何から何まで趣味でない芝居だった。同じタイムラインを扱った大作劇としては、いろいろ問題もあったにせよ、『エレクトラ』のほうがだいぶマシだったと思う。こういうの…

小さい小屋での人間ドラマ〜東京ノーヴイ・レパートリーシアター『メデイア』

東京ノーヴイ・レパートリーシアター『メデイア』を見てきた。言わずと知れたエウリピデスの有名作だが、生で見るのは初めてだ。心から尽くしてきた夫イアソンに捨てられたメデイアが夫の新しい妻とその父を暗殺し、さらには自分とイアソンの子供たちも殺し…

能に近いギリシア悲劇〜東京ノーヴイ・レパートリーシアター『アンティゴネー』

下北沢で東京ノーヴイ・レパートリーシアターの『アンティゴネー』を見てきた。言わずと知れたソフォクレスのギリシア悲劇で、演出はL・アニシモフである。小さい劇場で、能の演出を取り入れた上演である。ちょっと前に翻案『アンチゴーヌ』を見たことはある…

ギリシア悲劇を手際よくまとめているが、最後は疑問〜鵜山仁演出『エレクトラ』

世田谷パブリックシアターで鵜山仁演出『エレクトラ』を見てきた。エレクトラとオレステス姉弟に関するギリシア悲劇をまとめて一編にしたもので、全体的にアイスキュロスのオレステイア三部作を下敷きにしているほか、前半はソポクレス『エレクトラ』やエウ…

オクスフォードプレイハウス『クリュタイムネストラ』〜どこがクリュタイムネストラだったのかよくわからない

がっかり調査の夜は友人たちと落ち合ってオクスフォードプレイハウスで『クリュタイムネストラ』を見た。これはアイスキュロス『供養する女たち』の翻案らしいのだが、台詞は古典ギリシャ語(携帯電話の電源を切るように注意する掲示もギリシャ語で出てた)。…

ゲイト座『エレクトラ』〜ギリシア悲劇の翻案

人気のあるオフウェストエンドの劇場、ゲイト座で『エレクトラ』を見てきた。ソフォクレスのギリシア悲劇の翻案で、ニック・ペインが書き直したもの(ギリシャ悲劇の場合、アカデミックエディションの翻訳はどうやら上演用にとしてはほとんど使用されてないみ…

よぉよぉダイモネス――あまりにひどい出来の『ペルシア人』古典ギリシア語公演

今日はアイスキュロスの『ペルシア人』の古典ギリシア語による上演を大学のシアターで見てきた。これはキングズカレッジの古典学科が毎年やっているギリシア悲劇原語公演シリーズの一環らしいのだが、これがまあ本当にひどい出来で…学生演劇でどっちかという…