ドイツ映画

『日経新聞』に『RHEINGOLD ラインゴールド』の批評を書きました

『日経新聞』3月22日夕刊に『RHEINGOLD ラインゴールド』の短い映画評を書きました。ウェブ版でも読めます。 www.nikkei.com

レゲエの音楽ドキュメンタリー~『ボンゴマン ジミー・クリフ』デジタル・リマスター版(試写)

『ボンゴマン ジミー・クリフ』デジタルリマスター版を試写で見た。ジミー・クリフのライブを撮った音楽ドキュメンタリー映画である。1982年に一般公開され、日本でも1992年に公開されているそうなのだが、デジタルリマスター版でリバイバル上映されるという…

非常に苦手~『ヴェルクマイスター・ハーモニー』4Kレストア版(試写)

『ヴェルクマイスター・ハーモニー』4Kレストア版を試写で見た。長回しの多い映画で、個人的にはメチャクチャ苦手なテンポだった。タル・ベーラの映画を初めて見たのだが、起きているだけで精一杯という感じだった…ちょっとタルコフスキーに似てると思う(タ…

ライブは大変良いのだが、時代も感じる~『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ』デジタルリマスター版(試写)

『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ』デジタルリマスター版を試写で見た。1979年7月にジャマイカで開催された第2回レゲエ・サンスプラッシュの様子を撮ったコンサート映画である。ライブ映像のみならず、街の様子…

いい映画だが、好みかというと…『PERFECT DAYS』(試写)

ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』を試写で見た。 www.youtube.com 平山(役所広司)は東京都の公衆トイレ清掃員として、毎日規則正しく出勤し、責任感を持ってトイレをきれいに保っている。一人暮らしで非常に無口な平山だが、70年代頃の洋楽とか、…

過去の映画をいろいろ参照したロマンス映画~『枯れ葉』(配信)

アキ・カウリスマキの新作『枯れ葉』を試写で見た。 www.youtube.com 舞台はヘルシンキである。横暴な雇い主のせいでクビになったアンサ(アルマ・ポウスティ)と、飲酒問題を抱えているホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)がふとしたことから出会い、お互いの名…

微妙にカメラを揺らすのはしなくてもいいのでは…『ぼくは君たちを憎まないことにした』(試写)

『ぼくは君たちを憎まないことにした』を試写で見た。アントワーヌ・レリスによる同名のノンフィクションの映画化である。 www.youtube.com アントワーヌ(ピエール・ドゥラドンシャン)は妻エレーヌ(カメリア・ジョルダーナ)と幼い息子メルヴィル(ゾーエ…

ハイスミスのクィアな側面~『パトリシア・ハイスミスに恋して』(試写)

エヴァ・ヴィティヤ監督『パトリシア・ハイスミスに恋して』を試写で見た。 www.youtube.com ハイスミスのレズビアンとしてのアイデンティティと、それがどうハイスミスの作品にかかわっているかを探求したドキュメンタリーである。ハイスミスの恋人でレズビ…

『大いなる自由』と一緒に見るとよいドキュメンタリー~『エルドラド ナチスが憎んだ自由』(配信)

『エルドラド ナチスが憎んだ自由』を配信で見た。第二次世界大戦前から直後くらいまでのドイツの性的マイノリティの歴史を扱ったドキュメンタリーである。エルドラドというのはベルリンにあった有名なクラブの名前である。 www.netflix.com エルドラドは性…

思った以上に『マリー・アントワネット』っぽい~『エリザベート1878』(試写)

マリー・クロイツァー監督『エリザベート1878』を試写で見た。 www.youtube.com オーストリア皇后エリザベート(ヴィッキー・クリープス)の1878年を描いた作品である。宮廷での生活は息苦しく、自由を求めるエリザベートにとっては日増しにつらくなっていく…

ヴァージニア・ウルフの自由な翻案~『フリーク・オルランド』(試写)

ウルリケ・オッティンガー監督『フリーク・オルランド』(1981)を試写で見た。ベルリン三部作のひとつである。今回公開されるオッティンガーの映画のうち、これは一応日本公開されたことがあるらしい。 ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』の映画化である…

意外にオシャレなアル中女~『アル中女の肖像』(試写)

ウルリケ・オッティンガー監督『アル中女の肖像』(1978)を試写で見た。オッティンガーのベルリン三部作の一部である。 ひたすら酒を飲む旅をすべくベルリンにやってきた「アル中女」(タベア・ブルーメンシャイン)の飲酒道中を撮ったものである。途中でホー…

メディアとゴシップ~『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(試写)

ウルリケ・オッティンガー監督『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(1984)を試写で見た。オッティンガーのベルリン三部作の一部である。 メディアの過剰報道によって作られる現代のドリアン・グレイ(ベルーシュカ・フォン・レーンドルフ)を主人公にし…

ナチスの支配が終わっても続く不平等~『大いなる自由』

セバスティアン・マイゼ監督『大いなる自由』を見てきた。 www.youtube.com 第二次世界大戦直後から、ドイツ刑法175条が緩和されて成人男性同士の性行為が非犯罪化されることになる時期までを3つの期間に分けて描いた作品である。主人公のハンス(フランツ・…

よくできた映画だが…『ナチスに仕掛けたチェスゲーム 』(試写)

『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』を試写で見た。シュテファン・ツヴァイクの短編「チェスの話」の映画化である。 www.youtube.com 映画はロッテルダムからヨーゼフ(オリヴァー・マスッチ)がアメリカに向かうところから始まる。かつてヨーゼフはウィーンで…

世界のどこでも起こっていることを描いた映画~『聖地には蜘蛛が巣を張る』

アリ・アバッシ監督『聖地には蜘蛛が巣を張る』を見てきた。かなり脚色はされているが、イランで実際に起こった女性連続殺人事件の取材した映画である。 www.youtube.com ジャーナリストのラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)は聖地マシュハドに女性連続…

悪くはないのだが、「公認ドキュメンタリー」感~『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』

ドキュメンタリー 『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』を見てきた。ブレット・モーゲン監督による「デヴィッド・ボウイ財団唯一の公式認定ドキュメンタリー映画」である。ボウイの音楽はもちろん、映像がふんだんに使われている。 www.youtub…

私が苦手なタイプのドキュメンタリー~『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』(試写)

試写 『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』を試写で見た。マリメッコのデザインで有名なデザイナー・画家のマイヤ・イソラについてのドキュメンタリーである。 www.youtube.com マイヤ・イソラは恋多き女性で旅を好んでおり、そのへんに焦点をあてたド…

あまり映画らしさは無い~『ヒトラーのための虐殺会議』(試写)

『ヒトラーのための虐殺会議』を試写で見た。1942年のヴァンゼー会議の80周年記念で作られたドイツのテレビ映画で、日本では劇場公開される。 www.youtube.com 全体的に会議の議事録をそのまんま起こしたみたいな台本で、淡々と話し合いが進む。ユダヤ人の絶…