メディアとゴシップ~『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(試写)

 ウルリケ・オッティンガー監督『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(1984)を試写で見た。オッティンガーのベルリン三部作の一部である。

 メディアの過剰報道によって作られる現代のドリアン・グレイ(ベルーシュカ・フォン・レーンドルフ)を主人公にした物語である。オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』以外に『ドクトル・マブゼ』なども入っている。メディアとゴシップを扱っているという点では、2021年版の翻案舞台とちょっと関心が近いかもしれない。個人的にはジャーナリズムの3大美徳として、それぞれ違う飾りのついた帽子をかぶっている全裸のおじさまが「独立性」「超党派」「客観性」として出てくるのがちょっとツボだった(ウィキペディアの三大方針もこうやって擬人化したら面白いかもとか思ってしまった)。ただ、全体的にアジア系がいろいろネタっぽく使われているところが多少気になった。