クリスティ

観客を陪審員に見立てて~『検察側の証人』

俳優座で『検察側の証人』を見た。高橋正徳演出によるアガサ・クリスティの戯曲の上演である。一度イギリスで本物のお役所の建物(法廷ではないが、公聴会などを開く場所)で公演を見たことがあるのだが、日本では初めて見た。 これは通常の劇場での上演なの…

ケネス・ブラナーのファンフィクション~『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』

『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』を見た。ケネス・ブラナーによるポアロシリーズ第三弾である。原作はタイトルから全く想像がつかない『ハロウィーン・パーティ』である。 www.youtube.com 舞台はヴェネツィアである。引退したポアロ(ケネス・ブラナー)が…

プロローグとエピローグ、要るかな…『ナイル殺人事件』(ネタバレあり)

『ナイル殺人事件』を見た。ケネス・ブラナーが監督するポアロシリーズ第2作で、前作は『オリエント急行殺人事件』である。新型コロナウイルス流行で公開延期になっていたが、やっと公開された。 www.youtube.com 富豪令嬢リネット(ガル・ガドット)が新婚…

だいぶ話が変わっている~『オリエント急行殺人事件』(ネタバレあり)

シアターコクーンで『オリエント急行殺人事件』を見てきた。言わずと知れたアガサ・クリスティの有名作をケン・ラドウィッグが舞台化したもので、河原雅彦演出である。 www.orientexpress-stage.jp 列車のセットがかなり凝ったもので、上層にそれぞれの乗客…

結末は人に言わないでください~アガサ・クリスティ『ねずみとり』

セント・マーティンズ劇場で初めてアガサ・クリスティの『ねずみとり』を見てきた。本当は『ユリイカ』に『ヘイトフル・エイト』論を書く前に見たかったのだが(『ヘイトフル・エイト』はクリスティ的な作品でとくに『ねずみとり』に似てる)、まあ間に合わな…

ホンモノの法廷みたいなホールで行われるリアルな上演~『検察側の証人』(ネタバレ注意)

アガサ・クリスティの『検察側の証人』を見てきた。これは次の学期に三田のクラスで読むことになっているので、楽しみにしていたものだ。 www.witnesscountyhall.com もとは短編小説なのだが、戯曲は本格的な法廷ものになっている。貧しい若者レナードが知り…

終わり方がちょっと…『アガサ・クリスティー ねじれた家』(ネタバレあり)

『アガサ・クリスティー ねじれた家』を見てきた。 www.youtube.com 同名の小説の映画化である。ギリシア系の大富豪であるアリスティド・レオニダスが殺され、孫娘ソフィア(ステファニー・マティーニ)のかつてのボーイフレンドである探偵のチャールズ(マック…