ケネス・ブラナーのファンフィクション~『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』

 『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』を見た。ケネス・ブラナーによるポアロシリーズ第三弾である。原作はタイトルから全く想像がつかない『ハロウィーン・パーティ』である。

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 舞台はヴェネツィアである。引退したポアロケネス・ブラナー)が友人であるミステリ作家アリアドニ・オリヴァ(ティナ・フェイ)らと一緒にオペラ歌手のロウィーナ(ケリー・ライリー)が開くハロウィーン・パーティに出かける。そこで殺人が発生するのだが大雨で全く警察が来られなくなり、ポアロが解決のために尽力する。

 そもそもなんでヴェネツィアハロウィーンやってるんだよとか、原作からかけ離れすぎていていろいろツッコミどころがありまくるのだが、原作から離れたファンフィクションみたいなものだと思って見れば別につまらなくはない。序盤は堂々たる霊媒レイノルズ夫人(ミシェル・ヨー)とポアロのゴージャスなケレン味演技対決(キャスト的にポアロを除くと一番のスターがやっているので、予想通りレイノルズ夫人がすぐお亡くなりになってしまうのが残念だが)があるし、終盤はなんか幽霊ホラーみたいだな…と思っていたらちゃんと合理的にポアロの推理で解決する。『ベルファスト』に出ていた子役のジュード・ヒルジェイミー・ドーナンがまた父子役で出ていて、全体的にブラナーが一緒に仕事したい相手を集めて楽しく二次創作やってるような感じの作品である。しかしブラナーはクリスティ作品が本当に好きで、お金をかけたファンフィク作りができてものすごくハッピーなのでは…と思う。