ワイルド
ウルリケ・オッティンガー監督『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(1984)を試写で見た。オッティンガーのベルリン三部作の一部である。 メディアの過剰報道によって作られる現代のドリアン・グレイ(ベルーシュカ・フォン・レーンドルフ)を主人公にし…
無名塾『サロメ』を見てきた。江間直子演出で、すみだパークシアター倉で上演された作品である。光文社から出ている平野啓一郎訳が使用されている。 舞台は真ん中に丸い台があり、右奥に段、左側には演奏ブースがある。黒い服を着て始終ぶすっとしているサロ…
東京芸術劇場で『サロメ奇譚』を見た。ワイルドの『サロメ』を現代風に翻案したものである。台本はペヤンヌマキ、演出は稲葉賀恵が担当している。 舞台は現代で、セットは二階建てである。ヘロデ(ベンガル)は風俗業界の大物、へロディア(松永玲子)はその…
『ザ・ジェントル・ライアー ~英国的、紳士と淑女のゲーム~』を見てきた。最近、新国立でも上演されたオスカー・ワイルドの『理想の夫』を田渕大輔が翻案・演出したものである。 基本的な設定などは同じだが、だいぶカットや順番の入れ替えがあり、終盤も…
新国立劇場でオスカー・ワイルド『理想の夫』を見た。なんと、日本語のプロの公演では日本初演らしい。演劇研修所の修了公演である。 www.nntt.jac.go.jp 応接間風なセットや衣装はけっこう良いのだが、問題は序盤、ほぼ全く笑いが無いことである。そもそも…
ロックミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』を配信で見た。リニー・リードマンと台本、ジョー・エヴァンズ作詞作曲によるもので、演出もリードマンがやっている。2020年に上演予定だったがロックダウンでできなくなり、映像で初演ということにしたらしい。…
ストリームシアターでオスカー・ワイルド『真面目が肝心』を見た。これはニューカッスル大学演劇部がアダム・キニーン演出によってサンダーランド・エンパイア劇場で上演したもので、新型コロナウイルス感染症の流行のせいで窮地に陥っている舞台芸術関係者…
ランカスターのザ・デュークスとハダースフィールドとローレンス・バトリー劇場が作ったオンライン版『真面目が肝心』(配信)を見た。オスカー・ワイルドの人気作をヤスミン・カーンが現代の北イングランドを舞台に翻案したものである。演出はミナ・アンウ…
『ドリアン・グレイの肖像』を配信で見た。ワイルドの原作を21世紀のまさに今、新型コロナが流行っている時代に移し替えた作品である。複数の劇場の共同で制作・配信された。台本はヘンリー・フィルー=ベネットによる翻案、演出はタマラ・ハーヴィである。 …
メトロポリタンオペラ『サロメ』を配信で見た。ユルゲン・フリムが演出で、2008年に上演されたものである。 www.metopera.org 完全に現代的なセットや衣装で、白い豪華なスーツのヘロデ(キム・ベグリー)とドレス姿のヘロディアス(イルディコ・コムロージ)は…
ヌーヴェル・オペラ・フリブールの『真面目が肝心』を配信で見た。アイルランドの作曲家であるジェラルド・バリーがオスカー・ワイルドの戯曲を2012年にオペラ化した作品である。これは初演ではなく2019年のジュリアン・シャヴァズ演出のプロダクションで、…
ウィーン国立歌劇場の『サロメ』を配信で見た。シュトラウスのオペラで、2020年1月24日に撮影されたものである。ドイツ語上演で、日本語を含めた各国語の字幕がつく。 www.staatsoperlive.com セットや衣装は古代ユダヤの宮廷を模した豪華なものだ。中央右寄…
カーヴ劇場が配信しているワイルドの『真面目が肝心』を見た。ニコライ・フォスター演出で、2016年のプロダクションを撮影したものである。レディ・ブラックネルを映画『モナリザ』のキャシー・タイソンが演じている。 vimeo.com とりあえず、これはものすご…
Marquee TVの配信でオスカー・ワイルドの『つまらぬ女』を見た。ドミニク・ドロムグール演出で、2017年にヴォードヴィル劇場で上演されたものである。 www.marquee.tv お話はヴィクトリア朝の上流社会を舞台にしたメロドラマである。タイトルロールの「つま…
Marquee TVのフリートライアルで『真面目が肝心』を見た。マイケル・フェンティマンの演出でヴォードヴィル劇場で上演されたもので、2018年の公演である。 www.marquee.tv 美術はオーソドックスなヴィクトリア朝風のものである。わりと暗めのセットが特徴で…
Marquee TVで『ウィンダミア卿夫人の扇』を見た。2018年に上演されたもので、演出家はなんとあのキャシー・バークである。台本は読んだことあるし映画では何度も見たことあるのだが、舞台上演は映像も見たことがなく、今回初めて見た。 www.marquee.tv 若く…
恵比寿のエコー劇場で『まじめが肝心』を見てきた。文化庁海外研修の成果公演だそうで、演出家の大澤遊をはじめとして海外研究に行ってきたスタッフがかかわっている。ワイルドの人気作だが日本ではそんなによく上演されるわけではないので、ちょっと心配し…
『オスカー・ワイルド研究』に論文を投稿しました。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「ワイルドが言うとおりにワイルドを解釈することはできるか?-アナーキーと「著者の意図」の間で」『オスカー・ワイルド研究』17 (2018):55-72。 昨年のワイルド…
ヴォードヴィル劇場で『理想の夫』を見てきた。演出はジョナサン・チャーチで、言わずと知れたワイルドの有名作である。セットや衣装はウェストエンドらしい凝ったもので、音楽などもいろいろ工夫している豪華なプロダクションだ。 基本的には笑いのツボをお…
シアターシャインでトレメンドスサーカス『サロメ』を見てきた。本当にひどかった… 滑舌がかなりイマイチでまるで学芸会みたいに見えるというのはさておき、なんか一応ワイルドの『サロメ』を下敷きにしているらしいのだが、全然ワイルドとは別物である。な…
12月2日に慶應義塾大学で開かれるワイルド協会シンポジウム「オスカー・ワイルドの批評と歴史性―「解釈」をめぐって 」で、「ワイルドが言うとおりにワイルドを解釈することはできるか?―アナーキーと<著者の意図>の間で」という発表をします。
オーウェン・ホーズリー演出、マシュー・テニスン主演『サロメ』を見てきた。『サロメ』は短すぎてなかなかそのまま上演されることがないので、ストレートプレイの形でちゃんと全部生で見たのは初めてた。この上演は男優がサロメを演じていることがポイント…
ハロルド・ピンター座でオスカー・ワイルドの『真面目が肝心』(The Importance of Being Earnest)を見てきた。言わずと知れたワイルドの大人気戯曲なのだが、意外なことに舞台では初めて見た。 全く批評を読まずに行ったので、セッティングを見て「あれ、こ…
マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』を文化村で見てきた。ボーンの中では初めて見る演目で、もちろんオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』の翻案バレエ版。 セットは、真ん中にドアがある壁を舞台中央に置いてそれをぐるぐる回転させながらど…
ハムステッド座で『ユダの接吻』(The Judas Kiss)を見てきた。ルパート・エヴェレットがオスカー・ワイルドの役を演じる話題作なので、ロンドン公演のチケットは既に売り切れたらしい。早めに予約しといて良かった… 『ユダの接吻』はデイヴィッド・ヘアの作…
ロイヤルオペラの学生特割でシュトラウスの『サロメ』を見てきた。オスカー・ワイルドの戯曲を原作とし、元テキストをドイツ語に翻訳、カットや編集を加えてオペラとしたもの。 とりあえず音楽自体は劇的でエロティックで、あまりわかりやすくはないのだがこ…
ボードビル座で『理想の夫』(An Ideal Husband)を見てきた。面白かった、というかワイルドの風習喜劇が舞台で面白くないわけがない(ワイルドかシェイクスピアの喜劇を舞台にかけて客が笑わなかったら演出家は転職を考えたほうがいい)。原作を読んだり映画に…