前半がちょっと…新国立劇場『理想の夫』

 新国立劇場オスカー・ワイルド『理想の夫』を見た。なんと、日本語のプロの公演では日本初演らしい。演劇研修所の修了公演である。

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 応接間風なセットや衣装はけっこう良いのだが、問題は序盤、ほぼ全く笑いが無いことである。そもそもこの手の喜劇についてはやる方も見る方も全く慣れていないからというのもあるのだろうが、恵比寿で『まじめが肝心』をやった時はけっこう良かったのでできないというわけではないはずだし、これまで2回イギリスで見たことがあるのだがどちらも前半からかなり笑える芝居だったので(これこれ)、たぶんこなれ方の問題なのではという気がする。とくに私がイギリスで見た公演ではキャヴァシャム卿がイイ感じで間を作ってくれたりしていた気がするのだが、何しろこの上演は若手の修了公演で、ベテランが押さえてくれるべきキャヴァシャム卿も若手が演じているので、そのへんが厳しいのではという気がした。終盤はノリが良くなって笑えたので、そのへんは良かった。

 あと、今回見てやっと気付いたことなのだが、終盤でチヴリー夫人がアーサーの手紙を焼いてしまった後、アーサーがチヴリー夫人のブレスレットを外してやる動作があったほうがいいんじゃないかという気がした。そうしたほうが話の筋は通るし(チヴリー夫人はブレスレットがとれなくなって困っていたんだから)、転んでもただでは起きないチヴリー夫人が次の手を考える間を作るというところでもそういう動作があったほうが良い気がする。台本にはそういう指示がないようなのだが、付け加えてもいいと思った。