気象を研究し、今はニューヨークで異常気象予測の仕事をしているケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は学生時代に竜巻調査でチームメンバーを失い、それ以来竜巻の調査からは手を引いていた。そんなケイトのところに、かつてのチームメンバーで今は民間の気象調査会社で働いているハビ(アンソニー・ラモス)がやって来て、最新機器を使った竜巻調査に誘う。ケイトは1週間だけという条件でオクラホマにハビと調査に向かうが、そこで竜巻動画で有名なYouTuberのタイラー(グレン・パウエル)に会う。
とくに1作目が好きとかいうわけでもなかったのだが(フィリップ・シーモア・ホフマンはすごく良かった)、役者陣が気になっている人ばかりだったので見に行ったところ、けっこう面白かった…というか第1作より良かったと思う。災害描写の迫力はもちろん、ケイトとタイラーのロマンティックコメディ風味の人間関係描写が私好みである。最初はネットのヤバい有名人みたいな感じで出てきたタイラーのチームが意外とちゃんとしており、竜巻が悪化するたびにケイトとタイラーの距離が近くなって…というちゃんとしたロマコメ展開をやっている。『オズの魔法使い』ネタが全編にあるのも映画ファンへのくすぐりとして効果的だ。また、科学者をカッコいい人たちとしてポジティヴに描いているところもいい。終盤の展開は科学的には大いに疑問があるのだが、まあ最先端科学に期待しよう!みたいなことだと思うのでよしとする。
本作は気候変動という言葉を全く使っていないことが批判されている…らしいのだが、正直なところ、こういうアプローチのほうがアメリカの一般市民に気候変動をアピールするにはいいのでは…という気もした。アメリカには気候変動を否定する困った人たちがたくさんいるそうだが、たぶんこの映画がターゲットにしているのは気候変動否定派というよりはあまりそういうことに関心がない人だろうと思う。この映画は気候変動という言葉は使っていないが、竜巻が年々ひどくなるということは序盤から繰り返しセリフで出てきており、いかにオクラホマあたりの田舎の人たちが暮らす上で困っているかも明確に描かれている。これはたぶん、気候変動じたいについては日常生活で話す機会があまりないものの、実際は異常な気象のせいで大変な悪影響を受けているような地方の一般市民の暮らしを比較的忠実に描いていると言えるのではと思った。そのあたりで暮らしている子どもなどがこういう映画を見て気象科学に興味を持ってもらえればいい…というようなスタンスで作られているように思う。