芝居

人間の小ささ~『フィレンツェの悲劇』/『ジャンニ・スキッキ』

新国立劇場で『フィレンツェの悲劇』/『ジャンニ・スキッキ』二本立てを見てきた。フィレンツェを舞台にした1時間くらいのオペラ2本をまとめてやるものである。 www.nntt.jac.go.jp お目当てはオスカー・ワイルドが原作の『フィレンツェの悲劇』だったのだが…

京劇風味のシェイクスピア~中国国家話劇院『リチャード三世』

東京芸術劇場で王暁鷹演出、中国国家話劇院『リチャード三世』を見てきた。 衣装もセットも中国の時代劇風である。セットは後ろに漢字が書かれた白っぽい幕がかかったもので、この幕は人が死ぬたびにどんどん血の筋が増えていく。打楽器の生演奏もある。女優…

MIDWEEK BURLESQUE vol.68 -The Enchanted April-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.68 -The Enchanted April-」に行ってきた。出演者はMECAV、Baby Le Strange、Fifi Gfrast、RINGO☆凛子、Chloe the Sweetheart、Violet Eva、虹だった。Chloe the Sweetheartのマリリン・モンロー風のショー、Fifi Gfrastのミスコン…

布団が吹っ飛ぶ状況における翻訳の難しさ~『歓喜の歌』

ラビア・ムルエ『歓喜の歌』を見てきた。ムルエの芝居を見るのはものすごく久しぶりである。 theatercommons.tokyo 内容はミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手人質事件を題材にしたもので、もともとはミュンヘンで上演したもうちょっと演劇的な内容の…

エネルギッシュで見映えのする演出~オペラ『金閣寺』

東京文化会館で宮本亜門演出のオペラ『金閣寺』を見てきた。三島由紀夫の小説が原作だが、クラウス・H・ヘンネベルクによる台本はドイツ語である。 www.nikikai.net 話は小説にそっており、主人公である溝口がコンプレックスを抱え、いろいろと美に関する不…

純粋と悲惨~『LULU』

運良く招待して頂くことができ、赤坂レッドシアターでunratoの『LULU』を見てきた。小山ゆうな演出で、原作はフランク・ヴェーデキントの『地霊』と『パンドラの箱』(ルル二部作)である。この2作をあわせると大変長いのだが、テクストはかなり上手にカットし…

すごくよくできた上演だが、好みではない~『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』

NTライヴでエドワード・オールビー作、ジェームズ・マクドナルド演出『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』を見てきた。 www.ntlive.jp 舞台は60年代初め頃のニューイングランドの大学町。大学教授のジョージ(コンレス・ヒル)と妻マーサ(イメルダ・スト…

とてもリアルなのに、ファンタジー~『エーデルワイス』

ペヤンヌマキ脚本・演出、ブス会『エーデルワイス』を東京芸術劇場で見てきた。 ヒロインはスランプ気味の中年の漫画家、アキナ(鈴木砂羽)である。アキナの現在の物語と、彼女の代表作『たたかえ!いばら姫』のヒロインで、おそらく若い頃のアキナの分身と思…

MIDWEEK BURLESQUE vol.67 -Spring Awakening-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.67 -Spring Awakening-」を見てきた。前半はAimeeが青い衣装に桜の花をあわせた「純情花吹雪」のショーと、生サックスつきで白い衣装のベリーダンスみたいなGynous Derringerだった。後半はなんと三味線の名取である与つ葉のお座敷…

閉塞空間での恋の狂気~うずめ劇場『フェードル』

東京アートミュージアムでペーター・ゲスナー演出、うずめ劇場『フェードル』を見てきた。言わずと知れたラシーヌの有名作で、美術館の階段の踊り場と廊下みたいな狭いコンクリートスペースでの上演である。 最初はこんな狭いところで大丈夫かと思ったが、上…

オールフィメールアマチュア劇団による『ディランとキャサリン』…じゃなかった『ピラマスとシスビ』~『女優たちのための冬の夜の夢』

『女優たちのための冬の夜の夢』を見てきた。キャストメンバーはTeamQueenのほうである。 www.livedog.net オールフィメールで『夏の夜の夢』を上演するため、女優たちが森で合宿していると、どうやらパック役を演じる夢子に不思議な力が働いて、森の中で『…

一度、まともな『ペルシア人』を見てみたい~シアターコモンズ『悲劇の誕生』

シアターコモンズ19でマキシム・キュルヴェルス『悲劇の誕生』を見てきた。 theatercommons.tokyo ジュリアン・ジェフロワが一人芝居でギリシア悲劇、とくに現存する最古の悲劇であるアイスキュロス『ペルシア人』について話すというものである。途中で牛乳…

若い芝居、ロミオの夢~カクシンハン・スタジオ『ロミオとジュリエット』

カクシンハン・スタジオの『ロミオとジュリエット』を見てきた。生まれて初めてポストトークも頼まれたので、けっこう緊張して目を大きく見開いて見た。 kakushinhan.org 10ヶ月前に訓練を始めたばかりの初心者俳優で行う成果発表会的なところもある公演とい…

いいところはたくさんあるが、あまり好みではなかった~NTライヴ『マクベス』

NTライヴ『マクベス』を見てきた。ルーファス・ノリス演出で、主演はロリー・キニアとアン=マリー・ダフである。 www.youtube.com セットは内戦で破壊された近未来の都市で、ポストアポカリプス的な混乱状態がイメージされている。ただ、とくに前半部では立…

彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー五世』

彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー五世』のプログラムに記事を執筆したので、招待で行ってきた。このプロダクションについては劇評を書くかもしれないので、メモ程度にしておこうと思う。 台本のカットがとにかくひどい 初日から非難囂々になっていたことな…

「オタサーの姫」としての藤原竜也~東京芸術劇場『プラトーノフ』(少しネタバレあり)

チェーホフ作、森新太郎演出『プラトーノフ』を東京芸術劇場で見てきた。初めて見る芝居である。チェーホフの初期作で生前は上演されておらず、そもそもタイトルもなかったらしい。原作をノーカットでやると5時間くらいかかるそうだが、このプロダクションは…

MIDWEEK BURLESQUE vol.66 -フリージアとショコラ2019

「MIDWEEK BURLESQUE vol.66 -フリージアとショコラ2019」に行ってきた。なんと「フリージアとショコラ」フェスは今年はやってないらしいのだが、それでもこれを冠したイベントである。出演者はLa Bamboo Vixen、Rosa Diamanté、Violet Eva(紫ベビードール…

カトレアの百合ミュージカル『レベッカ』

ミュージカル『レベッカ』を見てきた。 www.youtube.com 話はダフネ・デュ・モーリエの原作やヒッチコックの映画にかなり忠実だが、ヴァン・ホッパー夫人(森公美子)の役が大きくなったり、仮装パーティでヒロイン(平野綾)が着たドレスのせいで起こる騒動が大…

最後の辻褄合わせがちょっと甘いのでは?『わが家の最終的解決』(ネタバレあり)

恵比寿エコー劇場で『わが家の最終的解決』を見てきた。これは何度か再演された芝居で、前回のチラシのデザインがあまりにもひどかったため私はだいぶ批判したのだが、今回は良いデザインだと思ったので見に行ってきた。 舞台は1942年のアムステルダムで、ゲ…

こんなのは地獄じゃない~神奈川芸術劇場『出口なし』

か KAAT神奈川芸術劇場で白井晃演出サルトル『出口なし』を見てきた。ガルサンが首藤康之、エステルが中村恩恵、イネスが秋山菜津子である。これを生で見るのはたぶん4回目くらいである。 www.kaat.jp いろいろ工夫したのはわかるのだが、全体に全く趣味でな…

キリスト教推しにちょっと違和感~OSK日本歌劇団『円卓の騎士』

博品館劇場でOSK日本歌劇団『円卓の騎士』を見てきた。OSK日本歌劇団の公演を見るのは初めてである。 www.osk-revue.com 内容はだいたいアーサー王伝説の大枠に沿っている。アーサー王がエクスカリバーを手にして王になってからグウィネヴィアと結婚するもの…

「ブロードウェイとウェストエンドって何が違うの?」が無事終わりました

イベント「ブロードウェイとウェストエンドって何が違うの?」が無事終了いたしました。参加してくださった方々、どうもありがとうございました。けっこう盛況で、こういう話題には需要があるんだなと思いました。 http://theatrum-wl.tumblr.com/post/18041…

MIDWEEK BURLESQUE vol.65 -Headlong!-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.65 -Headlong!-」を見てきた。出演者はLovin、Gilbert de moccos、Violet Eva、セクシーDAVINCI、Sweet Dorothysだった。 前半はSweet Dorothysのダンスの後Lovinだった。久しぶりにLovinのショーを見たが、和装で米米クラブの「FUN…

2018年舞台ベスト10

今年も今日で終わりなので、2018年の舞台ベスト10を書きたいと思う。数え方を間違っていなければ、今年は118本の舞台を見たようだ。 1. 『おもろい女』 これは本当に超私好みだった。もっと早く見に行かなかったことを後悔するレベル。 saebou.hatenablog.co…

舞台に出る月~札幌文化芸術劇場hitaru、斎藤歩演出『ゴドーを待ちながら』

新しくできた札幌文化芸術劇場hitaruのスタジオで、斎藤歩演出『ゴドーを待ちながら』を見てきた。 セットはシンプルで木が一本あるだけなのだが、横に長いセットで、そのセットの縦の辺を囲むようにして二方向に客席がある(満員でパイプ椅子を追加してた)。…

西川貴教シェイクスピアが良かった~『サムシング・ロッテン』

『サムシング・ロッテン』を見てきた。ジョン・オファレルとケイリー・カークパトリック脚本、ケイリーとウェイン・カークパトリックが作詞作曲で2015年に初演されたシェイクスピアネタのミュージカルである。日本版の演出は福田雄一だった。 舞台はエリザベ…

キャストの難しさ~鮭スペアレ『マクベス』

北千住BUoYで鮭スペアレ『マクベス』を見てきた。 いつもの鮭スペアレに比べると能の要素を減らしているのだが、これは演目が『マクベス』であることを考えると当然…というか、既に『蜘蛛巣城』でちゃんとやっているので、この期に及んでもう一度やるとした…

フェイクニュースと科学コミュニケーションの失敗~イプセン『民衆の敵』

シアターコクーンで『民衆の敵』を見てきた。言わずと知れたイプセンの有名作で、ジョナサン・マンビィ演出である。この演目は一度見たことあるのだが、その時は演出が気に入らなくて全然面白いと思わなかった…ものの、今回はとても良かった。 主人公は医師…

嫉妬深い男の勘違いを描いた笑劇~『喜劇新オセロ』

高円寺アトリエファンファーレで『喜劇新オセロ』を見てきた。これは益田太郎冠者が1906年に書いた『オセロー』の翻案で、初演は川上音ニ郎の一座によるものだったらしい。あまり上演されない芝居で、60分くらいの小品である。演出は西沢栄治で、キャストはA…

ものすごく珍しいロバート・グリーンの翻案上演~『王様と魔術師ベイコン』

劇団現代古典主義の『王様と魔術師ベイコン』を見てきた。ロバート・グリーン『修道士ベイコンと修道士バンゲイ』の翻案なのだが、この芝居はあまり上演されないもので、私も一度も見たことない。 この作品は主筋と脇筋があってけっこう複雑なのだが、この上…