芝居

ふさわしくないリーダー~『アルトゥロ・ウイの興隆』(ネタバレ)

ブレヒト作、白井晃演出『アルトゥロ・ウイの興隆』を見てきた。シカゴのギャングの抗争の話…と見せかけて、ヒトラーを辛辣に皮肉った諷刺劇である。主演のアルトゥロ・ウイ役は草彅剛だ。 www.kaat.jp ヒトラーの出世やオーストリア併合などの歴史的出来事…

MIDWEEK BURLESQUE vol.77 -Like a Rat, I wanna be beautiful-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.77 -Like a Rat, I wanna be beautiful-」を見てきた。出演者はMiss Rouge、Kily、LOViN、La Bamboo Vixen、Violet Eva、Coppelia Circus、だった。前半については、Miss Rougeはちょっと途中で小道具を変えすぎかなという気がした(…

All That Yummy Cabaret-O-Rama ~Happy New Year Boylesque special~

銀幕ロックで「All That Yummy Cabaret-O-Rama ~Happy New Year Boylesque special~」を見てきた。ボーイレスクイベントで、出演は裸猿、ダニエルジュゲム、馬A車道だった。新年の通販スペシャル風な裸猿、着物でお面を使ったちょっとロマンティックなダ…

最後の文字は日本語にすべきでは?~『ウエスト・サイド・ストーリー』Season 1

IHIステージアラウンド東京で『ウエスト・サイド・ストーリー』を見てきた。マリア役が北乃きい、トニー役が蒼井翔太、アニタ役が樋口麻美、リフ役が上山竜治、ベルナルド役が水田航生の回だった。 わりと狭いセットを使った場面から始まるので、最初はちょ…

2019年舞台ベスト10

2019年に見た舞台上演ベスト10を書いておきます。2019年に見た芝居は106本(数え方によるけど)、ベスト10のうち2本が映画館で芝居を上映するスタイルのやつで、4本は海外で見たものです。 DULL-COLORED POP『マクベス』 カクシンハン『薔薇戦争』 ブラックフ…

モジョのお父さんは何をしてるの?~『モジョミキボー』(ネタバレあり)

オーウェン・マカファーティ作、鵜山仁演出『モジョミキボー』を見てきた。浅野雅博と石橋徹郎がたくさんの役を演じ分ける2人芝居である。 setagaya-pt.jp 舞台は1970年のベルファストである。モジョはプロテスタント、ミキボーはカトリックの家庭の子供だが…

DULL-COLORED POP『マクベス』

DULL-COLORED POP『マクベス』を見てきた。ものすごく面白かったのだが、これは紙媒体に劇評を書くかもしれないので、メモだけにしておく。 とにかく政治諷刺が強烈な現代的な舞台である。途中までは「なんでマクベスはこんなしゃべり方なんだ…?」と思って…

カクシンハンはここ7年ですごく成長したのだと思った~『海辺のロミオとジュリエット』+ポストトーク

東池袋アトリエファンファーレで『海辺のロミオとジュリエット』のリーディングを見てきた。2012年に書いた戯曲だということだ。 とりあえず思ったのは、カクシンハンはここ7年ですごい成長したのだなということだ。この作品は『ロミオとジュリエット』を基…

台本や演技は面白いのだが、照明が…『BLACK SHEEP』

ウッディシアター中目黒で、ご招待を受けて福山桜子台本・演出の『BLACK SHEEP』を見てきた。井出卓也のひとり芝居である。 心理学者をやめて歌舞伎町で一人暮らしをしている千が、警察から捜査協力依頼を受けるところからはじまる。千は人の嘘を見抜く研究…

青鞜社を描いた時代もの、ただし完全に「現代」のお話~『私たちは何も知らない』

永井愛の新作『私たちは何も知らない』を見てきた。 nitosha.net 平塚らいてう(朝倉あき)をはじめとする青鞜社の女性たちを主人公にした作品である。らいてうは非常にカリスマがあり、尾竹紅吉(夏子)や伊藤野枝(藤野涼子)をはじめとする人々をまるでスターの…

カクシンハン『ロミオとジュリエット』+ポストトーク

東池袋アトリエファンファーレでカクシンハン『ロミオとジュリエット』を見て、ポストトークに参加してきた。2ヶ月前にギャラリー LE DECO 3でやった時と台本や役者は同じなのだが、地下の黒い部屋にはしごなどを設置したセットでかなり見た目の雰囲気が違い…

愉しい作品だが、あのメイクは要るのかねぇ~『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』

東急シアターオーブで『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』を見てきた。デロリスは森公美子、カーティスは今卓哉の版だった。既に英語版は一度生で見たことがある。 ろくでもない男であるカーティスにひっかかってしまい、うだつのあがらない人生…

「MIDWEEK BURLESQUE vol.76 The Year-end Fabulous Party」

「MIDWEEK BURLESQUE vol.76 The Year-end Fabulous Party」に行ってきた。前回のミッドウィーク・バーレスクは研究者観劇会ということで数人募って行ったのだが、今回はウィキペディア演芸関係執筆者観劇会だった。出演者はPrincipessa Elegante、Milah Swa…

これ、クイーン要らないよね~『Q:A Night At The Kabuki』

『Q:A Night At The Kabuki』を見てきた。野田秀樹の新作でクイーンの楽曲を全面的に使用、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の翻案でオールスターキャストということで凄い話題作である。過剰な転売対策が行われていて(客にも劇場にもえらいコスト…

力の入った作品だが、かなり暗い~『あの出来事』

スコットランドの劇作家デイヴィッド・グレッグの『あの出来事』を新国立劇場で見てきた。この作家の作品としては『ミッドサマー』をイギリスで見たことがあったのだが、シェイクスピアの小ネタなどを盛り込みつつ、スコットランドの地方色が豊かな爆笑喜劇…

繊細なマーゴと精神不安定なイヴ~NTライヴ『イヴの総て』

NTライヴで『イヴの総て』を見た。言わずと知れた1950年の名作映画の舞台化で、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出、マーゴ役がジリアン・アンダーソン、イヴ役がリリー・ジェームズである。ブロードウェイを舞台に、大女優マーゴに取り入った新人イヴが周囲の人…

ベン・ジョンソンの『エピシーン』にちょっと似た爆笑オペラ~『ドン・パスクワーレ』

新国立劇場でドニゼッティの『ドン・パスクワーレ』を見てきた。あまり予備知識なしで行ったのだが、大変面白かった。 ご老人のドン・パスクワーレは相続人である甥のエルネストが自分の言うとおりに結婚せず、貧しいが機転の利く美しい寡婦ノリーナと結婚す…

ちょっとカットのやり方が…明治大学シェイクスピアプロジェクト『ローマ英雄伝』

明治大学シェイクスピアプロジェクト『ローマ英雄伝』を見てきた。『ジュリアス・シーザー』と『アントニーとクレオパトラ』を二部構成でやるというものである。 www.kisc.meiji.ac.jp 2016年の『Midsummer Nightmare』に参加したスタッフが演出しているそう…

MIDWEEK BURLESQUE vol.75 -Sweet November-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.75 -Sweet November-」を見てきた。観劇会で、複数人で行ってきた。 初登場のゆぶねロマンスはお風呂がテーマのコミカルなものだった。全力!歌劇団はショーは良かったのだが、前回見た時よりもだいぶ人数が減っていたのでちょっと…

スタントン(11)初めて劇場で「こんな白人ばかりのところで芝居を見たくない」と思った~Keene

学会終了前日の夜、ブラックフライアーズ劇場でAnchuli Felicia Kingの新作Keeneのリーディング公演を見てきた。これは学会主催であるアメリカン・シェイクスピア・センターが行っているShakespreare's New Contemporariesという賞をとったものである。 3日…

スタントン(10)精神病院に残された患者のスーツケースを主題とするミュージカル、The Willard Suitcases

ブラックフライアーズ劇場で新作ミュージカルThe Willard Suitcasesを見てきた。これは1995年、ニューヨーク州のウィラード精神病院の屋根裏から、かつての患者のものと思われる大量のスーツケースが見つかったことをもとにした作品である。 americanshakesp…

スタントン(8)~ちょっとカットしすぎなQ1版『ハムレット』

ブラックフライアーズ学会の企画で、近くのメアリー・ボールドウィン大学の学生劇団であるステッドファスト・シェイクスピア・カンパニーが上演するQ1版『ハムレット』が上演された。ブラックフライアーズ劇場の本公演終了後、23時からの上演というすごく遅…

スタントン(6)とにかくセクシーな愛と政治のローマ劇~ブラックフライアーズ劇場『アントニーとクレオパトラ』

ブラックフライアーズ劇場で引き続き『アントニーとクレオパトラ』を見た。アントニー(ジェフリー・ケント)やオクテーヴィアス(マイケル・マノッキア)などのキャストは昨日見た『ジュリアス・シーザー』と同じだが、クレオパトラ(ゾーイ・スピアス)は『シー…

スタントン(4)こずるいアントニー、人間味のあるキャシアス~ブラックフライアーズ劇場『ジュリアス・シーザー』

昨日の『シーザーとクレオパトラ』に続き、ブラックフライアーズ劇場で『ジュリアス・シーザー』を見た。演出家が違うので美術や衣装プランなどはちょっと違い、多少ローマ風になっているのだが、シーザー(デイヴィッド・アンソニー・ルイス)は同じ役者が演…

スタントン(2)ダーク版『ピグマリオン』~ブラックフライアーズ劇場『シーザーとクレオパトラ』

ブラックフライアーズ劇場で『シーザーとクレオパトラ』を見てきた。バーナード・ショーの有名作で、シェイクスピアのローマ劇の前日譚として書かれたものである。映画は見たことあるし、台本も読んだことあるが、生で見るのは初めてだった。 americanshakes…

70年代ピッツバーグの配車サービス~オーガスト・ウィルソン『ジトニー』

ワシントンDCのアリーナステージでオーガスト・ウィルソン『ジトニー』を見てきた。ウィルソンのピッツバーグサイクル劇のひとつである。 ジトニーというのはいわゆる白タク的なもので、70年代のピッツバーグでタクシーがカバーしていない黒人居住地区でこの…

力のある作品ではあるのだろうが、好みが…オーガスト・ウィルソン『フェンス』

フォード劇場でオーガスト・ウィルソン『フェンス』を見てきた。ウィルソンのピッツバーグ・サイクルの一作である。大変有名な作品で映画化もされているのだが、私は見るのは初めてである。 主人公のトロイ(クレイグ・ウォレス)はもともとは強盗で人を殺して…

水の無言劇~シネティック・シアター『テンペスト』

ワシントンDCのシネティック・シアターで『テンペスト』を見てきた。シネティック・シアターはフィジカルシアターの劇団である。この演目もシェイクスピアの芝居をそのままやるのではなく、台詞が一切なく全てが動きで表現される。舞台上には水が張られてい…

すごくよくできた芝居だが、好みかというと…新国立『どん底』

新国立劇場で『どん底』を見てきた。マクシム・ゴーリキーの有名作だが、見たのはこれが初めてである。 www.nntt.jac.go.jp 簡易宿泊所みたいな宿屋を舞台にロシアの貧しい人々を描いた群像劇で、あまりはっきりした物語があるわけではなく、いろいろと救い…

仮想現実を舞台でやる~『THE NETHER』(ネタバレあり)

東京グローブ座で『THE NETHER』を見てきた。2013年初演のアメリカの芝居で、ジェニファー・ヘイリー作である。小児性愛とオンラインの仮想現実空間を扱った、非常に重い作品だ。 オンライン空間The Netherでの犯罪を調査しているモリス捜査官(北山宏光)は、…