芝居

『悲劇喜劇』5月号に「「エンドゲーム現象」は続くのか?ー二〇一九年の翻訳劇」を寄稿しました

『悲劇喜劇』5月号に、2019年の翻訳劇の簡単な傾向まとめエッセイを寄稿しました。『エンドゲーム』が出てきてますが、ベケットじゃなくアベンジャーズのほうです。 北村紗衣「「エンドゲーム現象」は続くのか?ー二〇一九年の翻訳劇」『悲劇喜劇』2020年5月…

ベスはどんな女なのか?~METライブビューイング『ポーギーとベス』

METライブビューイング『ポーギーとベス』を見てきた。 www.youtube.com 『ポーギーとベス』は一度イギリスで見たことがあるのだが、前回見た時は南アフリカの明らかにアパルトヘイトを意識したプロダクションである一方、わりと笑うところが多かったのだが…

珍しい演出あり~言葉のアリア『オセロー』(ネタバレあり)

八幡山ワーサルシアターで言葉のアリア『オセロー』を見てきた。佐々木雄太郎演出・構成によるもので、劇団としては第2回公演らしい。現代風の衣装で、真ん中に白い台があるシンプルなセットで上演するものである。 このプロダクションの特徴はオセローを女…

水!手洗い!~『マクベスの悲劇』

俳優座で『マクベスの悲劇』を見てきた。 haiyuza.net 新しい台本を使い、あまりカットなしでやるというものである。完全ノーカットというわけではなく(付け足しと考えられているヘカテの場面などはない)、また最初にマクベス夫妻の強い愛情を示すべく、台本…

ハリウッドの中年女性差別~『サンセット大通り』

ミュージカル『サンセット大通り』を見てきた。ビリー・ワイルダーの有名映画をアンドルー・ロイド=ウェバーがミュージカル化したものである。私が見た回はノーマが安蘭けい、ジョーが松下優也だった。 horipro-stage.jp 話はほぼ映画と同じで、売れない脚…

ツボをおさえたロマンティックコメディ~本多劇場『十二夜』

本多劇場で青木豪演出、オールメール『十二夜』を見てきた。 12th-night.westage.jp 美術などの方針としては以前から青木豪がやっているDステのオールメールシェイクスピアを踏襲した感じで、真ん中にお社がある一方、衣装などは洋風である。演出も笑いのツ…

言葉の重要性~松竹ブロードウェイシネマ『シラノ・ド・ベルジュラック』

相変わらずろくにちゃんとした公式ウェブサイトも作っておらず、宣伝にやる気のない松竹ブロードウェイシネマの『シラノ・ド・ベルジュラック』を見てきた。デヴィッド・ルヴォー演出、ケヴィン・クラインがシラノ役、ジェニファー・ガーナーがロクサーヌ役…

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』を試写会で見てきた。 www.youtube.com 生の舞台をロンドンで見ていて、内容に関してはそんなに大きな違いは感じなかったのだが、一つ思ったのはなんかちょっと短くなっているような気がしたことだ。ただ…

内容は面白いが、撮り方に一工夫必要~NTライヴ『フリーバッグ』

NTライヴで『フリーバッグ』を見てきた。フィービー・ウォーラー=ブリッジによる同名ドラマの原作になった舞台で、一人芝居である。 www.youtube.com ドラマ版のヒロインであるフリーバッグは、とにかくまったく人好きのしない女で、かなり人格に問題があり…

よくできたお芝居だが、改善の余地あり~『ダンシング・アット・ルーナサ』

劇団俳小の公演で、ブライアン・フリールの『ダンシング・アット・ルーナサ』を見てきた。フリールのオリジナルのお芝居をちゃんと生で見るのは初めてである。 www.haishou.co.jp 話は全体にマンディ家の5人姉妹の末娘クリス(西本さおり)の息子であるマイケ…

7カ国連合軍が襲ってくる~カクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』

シアター風姿花伝でカクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』を見てきた。ふつうにやると3時間以上かかる芝居を100分くらいに縮めたというものである。 いつものカクシンハンどおりクロスジェンダーキャスティングである。ブルータス(渡部哲成)は男優な…

台本はすごくいいのだが、いかんせん原作が…『虹と雪、慟哭のカッコウ~SAPPORO’72』

hitaruで『虹と雪、慟哭のカッコウ~SAPPORO’72』を見てきた。これは『カッコーの巣の上で』を札幌オリンピック開催前の札幌の精神病院に移した翻案である。 www.sapporo-community-plaza.jp もとの作品に出てきているネイティヴアメリカンのチーフをアイヌ…

シェイクスピア大盛りパスティーシュ~『天保十二年のシェイクスピア』

井上ひさし『天保十二年のシェイクスピア』をシェイクスピアリアン仲間で見てきた。日生劇場だったのだが、めったにとれないようないい席だったのでちょっとびっくりした。舞台でこれを見るのは初めてである。 www.tohostage.com 内容はシェイクスピア全作品…

その権力は肉か、服か~彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー八世』(ネタバレあり)

彩の国さいたま芸術劇場で『ヘンリー八世』を見てきた。これはあまり上演されない演目で、私も舞台では2回くらいしか見たことがない。 全体的に現代風なセットで、聖職者や王であるヘンリー八世(阿部寛)以外はかなり近代的なスーツを着ている。両側に階段が…

山猫か、イモか~NTライヴ『リーマン・トリロジー』(ネタバレあり)

NTライヴで『リーマン・トリロジー』を見てきた。もともとの原作はステファノ・マッシー二によるイタリアのラジオドラマで、それをさらに舞台用の戯曲にしたものであり、ナショナル・シアターでやったバージョンはベン・パワーによる英語化だ。サム・メンデ…

ブスネタ以外はほぼ完璧な翻案~『泣くロミオと怒るジュリエット』(ネタバレ)

鄭義信作・演出『泣くロミオと怒るジュリエット』を見てきた。『ロミオとジュリエット』(+『ウェストサイド物語』)のオールメール翻案だが、場所はどこか日本の関西っぽい場所、時代はいつかの戦争の後である。地名や人名はそのままなのだが、明らかに日本…

配役を含めて安定してきた印象~物狂い音楽劇『リヤ王』

鮭スペアレによる物狂い音楽劇『リヤ王』を見てきた。鮭スペアレは坪内逍遙の台本を使って能の要素を取り入れながらシェイクスピアを上演する劇団なのだが、銕仙会能楽研修所で上演ということで、いつも上演に増して能っぽくなっていた。 既に『ロミオとヂュ…

「MIDWEEK BURLESQUE vol.78 -Violet Blizzard-」

「MIDWEEK BURLESQUE vol.78 -Violet Blizzard-」を見てきた。出演はTuna Mermaid、Candy Martini、Mani Catchy&Katie、勝手にヴァイオレッツ、Violet Evaだった。 ヴァイオレット特集回ということで、しょっぱなから司会のGilbert de MoccosがViolet Evaの…

新宿御苑ROSSO「Kvindek Burleska」

新宿御苑ROSSOで「Kvindek Burleska」を見てきた。ベテランを揃えたショーといううことで、出演はC.Snatch Z.、Margaret Igorroom、Mummy Bomb、Megmeen Royale、Candy Martini、チャーリー坂本(司会を兼ねる)だった。ショーはどれも良く、Margaret Igorroom…

凄い、でもこういう芝居ばっかりだったらすごくイヤだ~『エブリ・ブリリアント・シング』

『エブリ・ブリリアント・シング』を見てきた。イギリスで話題になった一人芝居を日本に持ってきたもので、谷賢一演出、佐藤隆太主演である。 いわゆるイマーシブ演劇である。主人公の男は自分の好きなものをリストにしているのだが、開演直前にリストにある…

舞台を現代にすると途端にアルジーとジャックがイヤなやつに~『まじめが肝心』

恵比寿のエコー劇場で『まじめが肝心』を見てきた。文化庁海外研修の成果公演だそうで、演出家の大澤遊をはじめとして海外研究に行ってきたスタッフがかかわっている。ワイルドの人気作だが日本ではそんなによく上演されるわけではないので、ちょっと心配し…

舞台照明についての議論をtogetterにまとめてみました

昨日、ちょっと舞台照明についての面白い議論があったので、togetterにまとめてみました。ただ、コメントでも言われてますが、「演劇関係者はコミュニケーションが下手」を示すみたいなまとめになったような… togetter.com

正面を向いて叫ぶだけの演出はやめよう~『メアリ・スチュアート』

シラー作、森新太郎演出『メアリ・スチュアート』を見てきた。シラーによる古典的作品で、主題としてもスコットランド女王メアリ(長谷川京子)の処刑までを、エリザベス1世(シルビア・グラブ)との関係を中心に描くという歴史ものの定番を扱っているので、とく…

ふさわしくないリーダー~『アルトゥロ・ウイの興隆』(ネタバレ)

ブレヒト作、白井晃演出『アルトゥロ・ウイの興隆』を見てきた。シカゴのギャングの抗争の話…と見せかけて、ヒトラーを辛辣に皮肉った諷刺劇である。主演のアルトゥロ・ウイ役は草彅剛だ。 www.kaat.jp ヒトラーの出世やオーストリア併合などの歴史的出来事…

MIDWEEK BURLESQUE vol.77 -Like a Rat, I wanna be beautiful-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.77 -Like a Rat, I wanna be beautiful-」を見てきた。出演者はMiss Rouge、Kily、LOViN、La Bamboo Vixen、Violet Eva、Coppelia Circus、だった。前半については、Miss Rougeはちょっと途中で小道具を変えすぎかなという気がした(…

All That Yummy Cabaret-O-Rama ~Happy New Year Boylesque special~

銀幕ロックで「All That Yummy Cabaret-O-Rama ~Happy New Year Boylesque special~」を見てきた。ボーイレスクイベントで、出演は裸猿、ダニエルジュゲム、馬A車道だった。新年の通販スペシャル風な裸猿、着物でお面を使ったちょっとロマンティックなダ…

最後の文字は日本語にすべきでは?~『ウエスト・サイド・ストーリー』Season 1

IHIステージアラウンド東京で『ウエスト・サイド・ストーリー』を見てきた。マリア役が北乃きい、トニー役が蒼井翔太、アニタ役が樋口麻美、リフ役が上山竜治、ベルナルド役が水田航生の回だった。 わりと狭いセットを使った場面から始まるので、最初はちょ…

2019年舞台ベスト10

2019年に見た舞台上演ベスト10を書いておきます。2019年に見た芝居は106本(数え方によるけど)、ベスト10のうち2本が映画館で芝居を上映するスタイルのやつで、4本は海外で見たものです。 DULL-COLORED POP『マクベス』 カクシンハン『薔薇戦争』 ブラックフ…

モジョのお父さんは何をしてるの?~『モジョミキボー』(ネタバレあり)

オーウェン・マカファーティ作、鵜山仁演出『モジョミキボー』を見てきた。浅野雅博と石橋徹郎がたくさんの役を演じ分ける2人芝居である。 setagaya-pt.jp 舞台は1970年のベルファストである。モジョはプロテスタント、ミキボーはカトリックの家庭の子供だが…

DULL-COLORED POP『マクベス』

DULL-COLORED POP『マクベス』を見てきた。ものすごく面白かったのだが、これは紙媒体に劇評を書くかもしれないので、メモだけにしておく。 とにかく政治諷刺が強烈な現代的な舞台である。途中までは「なんでマクベスはこんなしゃべり方なんだ…?」と思って…