芝居

オールメールを上手に使った演出~カクシンハン『ロミオとジュリエット』

カクシンハン『ロミオとジュリエット』を見てきた。ポケット公演ということで、3人の役者を使い、オールメール、60分くらいで『ロミオとジュリエット』をやるというものである。 kakushinhan.org 舞台はそこらじゅうに新聞紙がまき散らされ、衣類をかけるフ…

面白いところはたくさんあるが、現代的な演出とあっているのかは疑問~『オイディプス』(演出ネタバレあり)

マシュー・ダンスター演出『オイディプス』を見てきた。言わずと知れたソフォクレスのギリシア悲劇である。テーバイの王オイディプスの殺人と近親相姦にまみれた呪われた運命を描いた作品で、現存する最古のミステリ戯曲でもある。 www.bunkamura.co.jp あら…

次から次へと出てくる家庭問題~NTライヴ『みんな我が子』

NTライヴでアーサー・ミラーの『みんな我が子』を見てきた。ジェレミー・ヘリン演出で、オールドヴィックで上演されたものだ。初演は1947年で、いかにも第二次世界大戦直後の作品だ。この演目を見るのは初めてである。 www.ntlive.jp 第二次世界大戦直後のア…

労働運動とフェミニズムを掘り下げた歴史もの~『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』(ネタバレあり)

『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』を見てきた。アメリカと日本の合作で、19世紀にマサチューセッツ州ローウェルの繊維工場で働いていた女性たち(ローウェル・ミル・ガールズ)の活動を描いた歴史ものミュージカルである。かなり脚色があるにせよ、実在の人物…

かなり好みでなかった~『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』

シアタークリエで『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』を見てきた。2013年にニューヨークで初演されたミュージカルの日本版である。 www.tohostage.com 話は『恋の骨折り損』なのだが、正直かなり好みでなかった…まず、原作では私がわりと気に行っ…

MIDWEEK BURLESQUE vol.74 -The Lucky Horror Picture Show-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.74 -The Lucky Horror Picture Show-」を見てきた。もともとは観劇会をするつもりだったのだが予定があわず、結局ひとりで鑑賞した。 前半はデュオのHyls(Rosa Diamanté + Mummy Bomb)の黒っぽいドレスで統一したちょっとハロウィ…

宮沢りえの美しくない瞬間~『死と乙女』(ネタバレあり)

アリエル・ドーフマン作、小川絵梨子演出『死と乙女』を見てきた。映画化もされている有名な作品で、見るのは今回が初めてである。 舞台は南米の某国(ドーフマンの出身地であるチリと似ているが、おそらくあえてぼかしてある)、長年の独裁政権が終わり、ジ…

個人的な理由で全然好きになれなかった…東京芸術劇場『ミクスチュア』(ネタバレあり)

東京芸術劇場で贅沢貧乏『ミクスチュア』を見てきた。台本の出来とかとは全く関係なく、個人的にかなり好きになれなかった。 とあるスポーツセンターに集う人々を中心に、現代日本に生きる人々の葛藤とか悩みとかを描いた作品で、台本じたいは非常に考えられ…

リラックスして見られる楽しい翻案~『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』(ネタバレあり)

世田谷パブリックシアターで三谷幸喜『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』を見てきた。 www.impresario-ent.co.jp ホームズ(柿澤勇人)とワトソン(佐藤二朗)が同居しはじめた直後、『緋色の研究』前でホームズがまだ素人探偵だった頃を描いた二次創作であ…

保守党の党首選みたいな上演~NTライヴ『リチャード二世』

NTライヴ『リチャード二世』を見てきた。ジョー・ヒル=ギビンズ演出で、主演はサイモン・ラッセル・ビールである。 www.ntlive.jp とにかく変わった演出で、テクストはばっさりカットして王妃すら出てこない。入り口も出口もないただの箱みたいなセットで、…

とにかく長いが、話の流れを考えてカットしている~東京グローブ座『ハムレット』

東京グローブ座で『ハムレット』を見てきた。森新太郎演出で、ハムレット役は菊池風磨である。 www.hamlet2019.jp セットは比較的シンプルなのだが、とにかくいっぱい回転する。最初にクローディアスが臣下の前でハムレットにヴィッテンベルクに帰らないよう…

私が好きではないテネシー~『男が死ぬ日』

テネシー・ウィリアムズの西洋能『男が死ぬ日』を見てきた。三島由紀夫とテネシー・ウィリアムズの交流の産物だというお芝居である。 タイトルどおり、男性の画家が自殺するまでを描いた作品である。主要登場人物は画家、愛人、東洋人で、それ以外に後見が出…

まだまだ改善点は多いが、今後に期待したい~『旅人たちの春の夢 -The Tinker's Wedding-』

上の小劇場でジョン・ミリントン・シングの芝居『旅人たちの春の夢 -The Tinker's Wedding-』を見てきた。アイルランド演劇を上演する演劇企画CaLの第一作だそうだ。普通は『鋳掛屋の婚礼』などという名前で翻訳されている戯曲である。 物語は鋳掛屋、つまり…

性的ステレオタイプを吹っ飛ばすセクシーサーカスショー~『ルージュ』

サウスバンクで毎年夏に行われているアンダーベリーのテントショーで『ルージュ』を見てきた。大人向けのキャバレー&サーカスショーである。 www.youtube.com 6人のメンバーでアクロバット、バーレスク、オペラの歌などを組み合わせたショーをするというもの…

コンセプトと商機~『マジック・マイク・ライヴ』

ヒッポドローム・カジノで『マジック・マイク・ライヴ』を見てきた。『マジック・マイク』のチャニング・テイタムがプロデュースしているショーで、まずはラスヴェガスで初演し、それをロンドンに持ってきたものである。チャニング・テイタム自身が出るわけ…

私は全く好みではなかった~オープンエア劇場『エビータ』

リージェンツパークの夏の風物詩、オープンエア劇場でジェイミー・ロイド演出の『エビータ』を見てきた。 openairtheatre.com 野外上演ということで、屋根のあるウェストエンドの大きな劇場で上演されるミュージカルとは全く違う演出を採用している。階段状…

超カラフルで客いじりも激しい上演~グローブ座『夏の夜の夢』

グローブ座でショーン・ホームズ演出『夏の夜の夢』を見てきた。 www.shakespearesglobe.com 今年グローブ座で見た他の上演同様、ジェンダーや人種は固定しないキャスティングである。ボトムが女優で(Jocelyn Jee Esien、ただし男という設定)、ヒポリタ/ティ…

とても面白かったが、手話を導入する場合の劇場の構造について考えさせられた~グローブ座『お気に召すまま』

グローブ座でフェデリー・ホームズとエル・ホワイト演出の『お気に召すまま』を見てきた。2018年の上演の再演である。 www.shakespearesglobe.com シンプルなセットとやや現代風な衣装を使った上演だが、ポイントはキャスティングである。クロスジェンダーキ…

20年代の建物で行われる楽しいバーレスクイベント~House of Burlesque Summer Speakeasy @Grace Hall

グレイス・ホールでHouse of Burlesque Summer Speakeasyを見てきた。テンペスト・ローズが率いるハウス・オブ・バーレスクが主催しており、週末に開催される「スピークイージー」(禁酒法時代のもぐり酒場)風イベントである。会場のグレイス・ホールは1920年…

ヘンリー八世の6人の妻達がガールズグループになるミュージカル、Six (ネタバレあり)

アーツ劇場でSixを見てきた。ヘンリー八世の6人の妻達、つまりキャサリン・オブ・アラゴン、アン・ブーリン、ジェーン・シーモア、アン・オブ・クレーブズ、キャサリン・ハワード、キャサリン・パーがガールズグループに扮してリードヴォーカルの座を競いあ…

結末は人に言わないでください~アガサ・クリスティ『ねずみとり』

セント・マーティンズ劇場で初めてアガサ・クリスティの『ねずみとり』を見てきた。本当は『ユリイカ』に『ヘイトフル・エイト』論を書く前に見たかったのだが(『ヘイトフル・エイト』はクリスティ的な作品でとくに『ねずみとり』に似てる)、まあ間に合わな…

ホンモノの法廷みたいなホールで行われるリアルな上演~『検察側の証人』(ネタバレ注意)

アガサ・クリスティの『検察側の証人』を見てきた。これは次の学期に三田のクラスで読むことになっているので、楽しみにしていたものだ。 www.witnesscountyhall.com もとは短編小説なのだが、戯曲は本格的な法廷ものになっている。貧しい若者レナードが知り…

プロコフィエフからロマンティックを引くと…マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』(ネタバレあり)

サドラ-ズ・ウェルズ劇場でマシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』を見てきた。完全な新演出である。 new-adventures.net プロコフィエフの音楽を使っているが、設定は相当変わっている。近未来の全体主義的な管理教育を行う寄宿学校を舞台に、監視員…

恋するときめきオーベロン~ブリッジ劇場『夏の夜の夢』

ブリッジ劇場でニコラス・ハイトナー演出『夏の夜の夢』を見てきた。ブリッジ劇場で生で芝居を見るのは初めてである。NTライヴでやった『ジュリアス・シーザー』同様いわゆる没入型(immersive)なプロダクションで、平土間で観客を巻き込みつつ、舞台を動かし…

とてもよくできているが、日曜夜に見る演目ではなかった…Stripped(ネタバレあり)

キングズヘッド劇場でVoldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parodyに続いてStrippedという短編を見た。2人しか出てこない一時間くらいの作品で、女性アーティストのオリーの男性ヌードモデル募集にオリーという男が募集してきて、スタジオをオリーが…

ヴォルデモートとドタバタホグワーツ~Voldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parody

キングズヘッド劇場でVoldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parody(「ヴォルデモートと十代のホグワーツミュージカルパロディ」)を見てきた。非常に変なタイトルだが、エディンバラフリンジで受けた演目だそうで、その名のとおり『ハリー・ポッター』…

ハルもフォルスタッフもホットスパーも女優~グローブ座『ヘンリー四世第一部』

グローブ座で『ヘンリー四世第一部』を見てきた。フェデリー・ホームズとセイラ・バディが演出で、「ホットスパー」という副題がついたプロダクションだ。ハルもフォルスタッフもホットスパーも女優が演じるというものである。 なお、第二部はちょっと日程的…

あわれピカチュウ~サム・ワナメイカー劇場『バーソロミュー・フェア』

サム・ワナメイカー劇場でベン・ジョンソンの『バーソロミュー・フェア』(『浮かれ縁日』というタイトルで翻訳も出てる戯曲)を見てきた。あまり上演されないロンドンが舞台の都市喜劇で、ブランチ・マッキンタイア演出である。ブラックフライアーズ座を模し…

政治BL劇~『ハミルトン』

ロンドンで『ハミルトン』を見てきた。リン=マニュエル・ミランダが作ってブロードウェイで大ヒットしたラップオペラ(ミュージカルと言いづらい構成をしている)をイギリスに持ってきたものである。アメリカ建国の父のひとりであるアレクサンダー・ハミルト…

真面目なノラ、色気のあるトルヴァル~『人形の家Part 2』

ルーカス・ナスの戯曲『人形の家Part 2』を見てきた。これは事前に戯曲を読んで解説記事を書いたので、招待で行ってきた。 stage.parco.jp 解説記事で書いたように、これはイプセン『人形の家』の15年後を書いたものである。ノラ(永作博美)が離婚のために戻…