芝居

生演奏つきの豪華な上演~『ピーターパン』

めぐろパーシモンホールで『ピーターパン』を見てきた。森新太郎演出である。来学期に授業でとりあげる予定なのだが、舞台で見るのは初めてである。このご時世に生演奏がついており、とても豪華なミュージカルだ。 全体的に演出や演技、美術などは子供向けに…

全部を丸く終わらせる~言葉のアリア『から騒ぎ』

言葉のアリアによる『から騒ぎ』を見てきた。佐々木雄太郎演出で、劇場MOMOで上演されたものである。 全体的に和解や調和を強調する柔らかめの演出である。ベネディック(シミズアスナ)もクローディオ(鈴原紗央)も女優が演じているが男性という設定で、一…

アフリカの国が舞台の見応えある演出~セントルイスシェイクスピア祭『リア王』(配信)

セントルイスシェイクスピア祭の『リア王』を配信で見た。演出はカール・コーフィールドによるものである。野外上演を撮影したものである。 stlshakes.org 舞台は北アフリカのどこかの国という設定で、キャストはだいたい非白人である(ただ、設定が北アフリ…

バーナード・ショーの思い込み~演劇企画CaL『ほんの駆引き -Village Wooing-』(配信)

演劇企画CaLの『ほんの駆引き -Village Wooing-』を配信で見た。バーナード・ショーの短い芝居で、一組の男女が船上で出会い、やがて女性のほうが働いているイングランドの村の店で再会して結婚するまでを描くものである。ワーキングクラスの女性がミドルク…

内容は悪くないが、撮影が…鄧樹榮演出『マクベス』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信で鄧樹榮演出の『マクベス』を見た。2019年の香港のプロダクションである。広東語で英語字幕がつく(最後のQ&Aは字幕がないので見られなかった)。 箱のような背景幕だけがあるシンプルなセットで展開する物語である。一応、現…

ハムレットを出す必要あるのか…?『オフィーリア』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信で『オフィーリア』を見た。シンガポールで2016年に行われた上演で、ナタリー・ヘネディゲとミシェル・タン作、演出もヘネディゲがつとめている。『ハムレット』の翻案である。 プールみたいなセットにプール監視員用の椅子があ…

ツボを押さえた笑える上演~二期会『ファルスタッフ』

二期会『ファルスタッフ』を見てきた。レオナルド・シーニ指揮、演出・衣裳が ロラン・ペリーによる上演である。これまた初日が新型コロナウイルスのせいで中止になって上演できるのか…と思っていたが、無事行われた。 舞台設定は20世紀(1960-70年代くらい…

とても現代的な演出~新国立劇場『カルメン』

新国立劇場で『カルメン』を見てきた。アレックス・オリエ演出、大野和士指揮によるものである。一部公演が中止になったので心配していたが、無事上演された。 www.nntt.jac.go.jp 完全に現代的な翻案で、セットは金属のパイプの枠組、カルメン(ステファニ…

空っぽの劇場を背景に~『真面目が肝心』(配信)

ストリームシアターでオスカー・ワイルド『真面目が肝心』を見た。これはニューカッスル大学演劇部がアダム・キニーン演出によってサンダーランド・エンパイア劇場で上演したもので、新型コロナウイルス感染症の流行のせいで窮地に陥っている舞台芸術関係者…

解釈しづらい作品をわかりやすく~ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』

ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』を見てきた。言わずと知れたエウリピデスの悲劇で、2014年の公演を収録したものである。キャリー・クラックネル演出、ベン・パワーの台本で、音楽はなんとゴールドフラップが担当している。なにしろ新型コロナウイ…

こなれた再演~『ウィルを待ちながら インターナショナル・ヴァージョン』

『ウィルを待ちながら インターナショナル・ヴァージョン』を見た。2018年初演なのだが、今回の上演はシビウ国際演劇祭参加を見込んだ改訂版で、英語のセリフなどもある。前回見た時はとてもよくできていると思った一方でわりと苦手なところもあったのだが、…

年齢の変化~日本大学芸術学部演劇学科公演『卒塔婆小町』

日本大学芸術学部演劇学科総合実習IIAの公演である『卒塔婆小町』を見てきた。三島由紀夫の『近代能楽集』の一本で、1時間足らずの短編演目である。稲葉賀恵(2016年の『野鴨』の演出家)の演出によるもので、出演はもちろん学生である。 新型コロナウイルス…

となりのトトロぬいぐるみも出演~グローブ座『ロミオとジュリエット』(配信)

グローブ座『ロミオとジュリエット』を有料配信で見た。Ola Inceによる演出で、グローブ座が久しぶりに実施するお客さんを入れて行う上演の一環…なのだが、なんとティボルト役が隔離になってしまったそうで代役だった。イギリス時間で夜の公演しかライヴ配信…

小規模なリーディング~『3人ぐらいdeシェイクスピア「マクベス」』(配信)

『3人ぐらいdeシェイクスピア「マクベス」』を配信で見た。3人+リュートだけでやるリーディング公演である。お芝居好きの夫婦と家政婦3人でやるアマチュア演劇という設定なのだが、この設定が要るのかはあんまりよくわからなかった。リュートの生演奏がある…

シンプルな学生舞台~ロイヤル・アカデミー・オペラ『ダイドーとイニーアス』(配信)

ロイヤル・アカデミー・オペラによるパーセルの『ダイドーとイニーアス』配信を見た。 www.youtube.com こちらはロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックの上演ということで、スタッフと学生が作った舞台である。そのため、歌はわりと良いのだが、舞台装置…

野心作だが、ストレートな伝記物にしたほうが…Marys Seacole(配信)

ジャッキー・シブリーズ・ドラリーのMarys Seacoleをリンカーン・センターの配信で見た。ジャマイカのクレオールで、イギリスのためクリミア戦争で看護師として活躍したメアリ・シーコールの物語である。2019年初演のものを撮った映像で、配信の予定はなかっ…

博物館のセットは…?バイエルン国立歌劇場『リア王』(配信)

バイエルン国立歌劇場の『リア王』を配信で見た。2021年5月30日に撮影したもので、クラウス・H・ヘンネベルク台本、アリベルト・ライマン作曲で1978年に初演された作品である。ユッカ=ペッカ・サラステが指揮、クリストフ・マルターラーが演出をつとめてい…

Booklover's Burlesque: To Tease Or Not To Tease (VirtualShakespeareEdition)(配信)

Booklover's Burlesque: To Tease Or Not To Tease (VirtualShakespeareEdition)を有料配信で見た。ポートランドあたりのパフォーマーを中心にシェイクスピアがテーマのバーレスク演目を配信するというものである。 www.eventbrite.com 最初は男性が演じる『…

Juneteenth Kickoff 2.0(配信)

ジューンティーンス(アメリカ合衆国の奴隷解放記念の祝日)のバーレスクイベントであるJuneteenth Kickoff 2.0を配信で見た。アフリカ系のバーレスクパフォーマーが15人出演するけっこう豪華なイベントである。中継の途中でたまに音と動きがズレたりするの…

すごい技術を使った上演~舞台版『運命を分けたザイル』(配信、ネタバレあり)

ブリストル・オールド・ヴィックの舞台『運命を分けたザイル』を有料配信で見た。原作はジョー・シンプソン『死のクレバス―アンデス氷壁の遭難』で、これは実際に起こったアンデスでの登山中の遭難を扱ったノンフィクションで、既に『運命を分けたザイル』と…

東京交響楽団パンフレット6月号に寄稿しました

東京交響楽団パンフレットの6月号に寄稿しました。プロコフィエフ『ロミオとジュリエット』のコンサートにあわせて、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に関する簡単な解説です。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「シェイクスピア時代の恋と社…

内容はいいのだが…『テンペスト~はじめて海を泳ぐには』

あうるすぽっとで『テンペスト~はじめて海を泳ぐには』を見てきた。 www.owlspot.jp 日本、イギリス、バングラデシュそれぞれの国からいろいろな障害を有する役者たちが集まって『テンペスト』を作ろうとするが、新型コロナウイルスその他の障害に阻まれて…

とにかく若々しい~『ロミオとジュリエット』(配信)

ミュージカル『ロミオとジュリエット』を配信で見た。ロミオが黒羽麻璃央、ジュリエットが伊原六花の回である。 www.rj-2021.com 先日、宝塚で見たのと同じ演目なのだが、宝塚に比べるとロミオをはじめとする男性陣が圧倒的に理想化されておらず、最初は「同…

ネッドの部屋はなんであんななのか?~『17 Again』

Brillia HALLでミュージカル『17 Again』を見てきた。2009年のザック・エフロン主演映画の舞台化である。高校生の時にバスケットボールの奨学金をあきらめて妊娠したガールフレンドと結婚した主人公マイクが中年になり、離婚の危機にさしかかった時に突然17…

不確かな語り~『スリル・ミー』(配信、ネタバレ注意)

有料配信で『スリル・ミー』を見た。栗山民也演出で、レオポルドとローブ事件を題材とするアメリカの2人芝居ミュージカルを少し変えて翻訳したものである。私が見た回は「私」役が成河で、「彼」役が福士誠治だった。 horipro-stage.jp レオポルドとローブと…

植民地政治とフレネミーBL~Parco劇場『ピサロ』

Parco劇場でピーター・シェーファー作『ピサロ』を見てきた。ウィル・タケット演出で、去年新型コロナで途中で中止された公演の再演である。 stage.parco.jp 16世紀のスペインによるインカ帝国侵略が主題の作品である。主人公のピサロ(渡辺謙)は貧しい身分…

とにかくつらい~サラ・ケイン、Crave (配信)

チチェスターフェスティヴァルが有料配信したサラ・ケインの一幕物の芝居Craveを見た。 www.cft.org.uk 4人の名前のない登場人物(A、B、C、Mという文字だけで示される)が出てきて、お互いのモノローグが会話になったりならなかったり…というような作品であ…

終盤は素晴らしいが…『フェイクスピア』(ネタバレ注意)

野田秀樹『フェイクスピア』を東京芸術劇場で見てきた。 www.nodamap.com イタコ見習いを50年も続けているアタイ(白石加代子)のところに口寄せ依頼がダブルブッキングとなるところから始まる。謎の箱を持っている何だかよくわからない男モノ(高橋一生)と…

逆回しで見せる人生の苦痛~『メリリー・ウィー・ロール・アロング』

スティーブン・ソンドハイムが作詞作曲のミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を新国立劇場で見てきた。マリア・フリードマンが演出したものである。初演は1981年だが、その後改訂があったらしい。 horipro-stage.jp 作曲家でプロデューサー…

ウースター・グループが苦手かも…『タウンホール事件』(配信)

ウースター・グループの『タウンホール事件』をシャウビューネ劇場の配信で観た。2019年の上演を撮影したものである。 www.schaubuehne.de まず、1971年に行われたフェミニズムに関するタウンホールミーティングがあり、それのドキュメンタリー映画である197…