芝居

わりとオーソドックスなテネシー・ウィリアムズ~『ガラスの動物園』

新国立劇場でイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出『ガラスの動物園』を見た。イザベル・ユペールがアマンダ役という豪華なプロダクションである。劇場もほぼ満席だった。 セットは全体にけばのあるふわっとした茶色い生地で覆われた長方形の部屋である。後ろの壁に…

どうしてバイロンがこうなった…?~ハインリヒ・マルシュナー『吸血鬼』

ハインリヒ・マルシュナー『吸血鬼』を配信で見た。ジョン・ポリドリの『吸血鬼』が原作のオペラである。ハノーファー国立歌劇場が3月25日に上演したもので、Ersan Mondtag演出、Stephan Zilias指揮によるものである。 www.youtube.com 全体的に音楽はロマン…

『クレーヴの奥方』のような…スタジオライフ『トーマの心臓』

スタジオライフ『トーマの心臓』を見てきた。萩尾望都作品(未読)を倉田淳脚本・演出で舞台化したものである。スタジオライフの定番演目だが、今回初めて見た。キャストはレジェンドチームとクールチームがあるが、私が見たのはクールチームのほうだった。 …

ジョン・スノウ…じゃなかったハル、あんな何にも知らないね~ナショナル・シアター・ライブ『ヘンリー五世』

ナショナル・シアター・ライブの『ヘンリー五世』を見てきた。マックス・ウェブスター演出、キット・ハリントン主演でドンマーウェアハウスで収録されたものである。 www.youtube.com 非常に現代的な演出で、軍人たちは迷彩の軍服を着ているし、戦争も完全に…

どうしても一箇所、解釈違いがあり…日生劇場『夏の夜の夢』

井上尊晶演出『夏の夜の夢』を日生劇場で見てきた。 全体的に階段が多く、そこを森に見立てている。宮殿の場面は真ん中に台を置いてやっている(このため、宮中の場面はちょっと舞台が狭いような印象も受ける)。衣装はけっこう現代風なところもあるが、一部…

彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー八世』再演

彩の国さいたま芸術劇場で『ヘンリー八世』の再演を見てきた。2020年に初演を見ているのだが、あまり上演されない演目だし、阿部寛のヘンリー八世は当たり役だと思うし、また去年の5月以来彩の国シェイクスピアがなかったということもあり、また行ってきた。…

だいぶカットしてすっきりさせている~『ハリー・ポッターと呪いの子』

『ハリー・ポッターと呪いの子』を赤坂ACTシアターで見てきた。英語版は見たことがあり、台本も授業で読んだことがある。イギリスで見た時は二部構成で全部で5時間以上ある大作だったのだが、さすがにそれではキツいということなのか、3時間半くらいで1度休…

諷刺は辛辣だが、台本はイマイチか~国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ユートピア有限会社』(配信)

国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭による『ユートピア有限会社』を配信で見た。ジェフ・クラークの演出である。これはギルバート・アンド・サリヴァンの演目でもほとんど上演されないもので、国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭でも上演されるのは2回…

動きの制限から祝祭へ~『令和X年のオセロー』

吉村元希作・演出、戯曲組『令和X年のオセロー』を見てきた。90分くらいに刈り込んだ『オセロー』の翻案である。シンプルなセットに現代風の衣装で(ただし女性陣はコルセットみたいなものをつけている)、かなりデズデモーナ中心の構成にし、ビアンカ周りの…

全体的に若々しい感じなのが良い~『ダディ・ロング・レッグズ』(配信)

『ダディ・ロング・レッグズ』日本版の配信を見た。既に一度、英語版を配信で見たことがある。日本版は8月31日にシアタークリエで上演されたものの映像である。 2人芝居なのになんとカメラを10台も入れて撮影したそうで、映像はかなり良い。基本的には英語版…

スイカを持ったロレンス修道士~シアター2+1『ロミオとジュリエット』

シアター2+1で『ロミオとジュリエット』を見てきた。なるせこお台本・演出によるものである。翻訳は河合祥一郎版に基づいているようだ。 後ろに倒れた2本の柱がクロスしているセットで、この場所がバルコニーとしても使用されている。ロレンス修道士(本島孝…

妖精おじちゃま万歳~国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『アイオランシ』(配信)

国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭の配信で『アイオランシ』を見た。John Savournin演出のプロダクションで、初めて見る演目である。 妖精アイオランシ(メリエル・カニンガム)は人間の男と結婚したかどで妖精の国を追われ、夫とは関係を断ってひとりで…

かなりダイジェストっぽい~『Richard3 i bara』(配信)

『Richard3 i bara』を配信で見た。千賀多佳乃作・演出によるリチャード三世ものである。 1時間40分くらいしかないのだが、前半はシェイクスピアでいうと『ヘンリー六世』のあたりも盛り込んでいて、正直、この長さだとかなりダイジェストっぽい。リチャード…

シェイクスピアと自分の人生をまじえたひとり芝居~Willy's Lil Virgin Queen(配信)

エディンバラフリンジの配信でWilly's Lil Virgin Queenを見た。Terra Taylor Knudsonによるひとり芝居で、演者のシェイクスピアとのかかわりに自分の人生のいろいろな経験を重ねるというものである。『ウィンザーの陽気な女房たち』、『リチャード三世』、…

体力の要るひとり芝居~『プライマ・フェイシィ』

NTライヴで『プライマ・フェイシィ』を見てきた。スージー・ミラー作、ジャスティン・マーティン演出で、ジョディ・カマー主演のひとり芝居である。ハロルド・ピンター劇場で上演されたものを映像化している。 www.youtube.com リヴァプールのワーキングクラ…

往年のハリウッド映画風の楽しい演出~国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ペンザンスの海賊』(配信)

国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭の『ペンザンスの海賊』を配信で見た。サラ・ヘルスビー・ヒューズ演出のものである。『ペンザンスの海賊』は既に2回、生の舞台で見たことがある。 お話じたいはメチャクチャな作品なのだが、全体的にハリウッドの昔の…

2人だけでやる1時間15分くらいの『ハムレット』~A Two Woman Hamlet(配信)

エディンバラフリンジの配信でSherman & Friendsの配信によるA Two Woman Hamletを見た。ニコラ・コレットとハンナ・スウィート、2人の女優だけで『ハムレット』を1時間15分くらいでやるというものである。小道具も最小限で、とっかえひっかえいろいろな役を…

共和制と君主の横暴の両方をからかうハチャメチャ喜劇~国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ゴンドラの船頭たち』(配信)

国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ゴンドラの船頭たち』を見た。レイチェル・ミドル演出、Forbear! Theatreによる上演である。2022年8月1日の上演である。この演目は一度、以前にハロゲイトの国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭で観劇したことがあ…

フランス革命ネタのシンデレラもの~The Little Glass Slipper as Performed by the Queen of France and Her Friends(配信)

エディンバラフリンジの配信でThe Little Glass Slipper as Performed by the Queen of France and Her Friendsを見た。台本・演出・主演をカラ・ジョンストンがつとめ、テキサスで上演されたものの録画である。1時間に満たない短い作品だ。 マリー・アント…

ポール・ロブソンの生涯を描いた1人芝居~Call Mr Robeson (配信)

Tayo Alukoによる1人芝居Call Mr Robesonをエディンバラフリンジの配信で見た。ポール・ロブソンの生涯をモノローグと歌で語る90分の芝居である。舞台上にはソ連とかウェールズとか、生前のロブソンにゆかりがある地域の旗がぐしゃっと置かれており、真ん中…

やっぱり日本の衣装でやるのはねぇ…国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ミカド』

バクストンで実施された国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭の配信でピークオペラの『ミカド』を見た。ピークオペラはバクストンで実施されるこのフェスのために作られた劇団らしい。2022年8月2日の上演である。 オーソドックスな演出なのだが、やはり今の…

移民のシェイクスピア朗読~エディンバラフリンジ、Migrant Shakespeare (配信)

エディンバラフリンジの配信で、ナズ・イェニ翻案・監督、Seyyar CompanyによるMigrant Shakespeareを見た。移民たちが職場とか家とかいろいろなところでシェイクスピアのとても有名な台詞を朗読するというものである。全体的には、日常的な暮らしが意外にシ…

音楽は魅力的だが、演出がイマイチ~オペラノース『アルチーナ』(配信)

ヘンデルの『アルチーナ』を配信で見た。ティム・オールビー演出、ローレンス・カミングズ指揮で、オペラノースにより2月17日に上演・録画されたプロダクションである。『狂えるオルランド』が原作の作品である。 www.youtube.com 魔女アルチーナ(モイラ・…

箱庭のリチャード~G.Garage///『リチャード二世』

G.Garage///による河内大和演出『リチャード二世』を見た。 セットは枯山水の庭みたいな感じで、真ん中に岩があり、三方が客席に囲まれた長方形の舞台の回りには小石がまいてある。『リチャード二世』には庭師が出てくる有名な場面があるので、この場面の要…

1人芝居版『ヘッダ・ガーブレル』~『ヘッダ(イプセンに倣って)』(配信)

ソーホー劇場の『ヘッダ(イプセンに倣って)』を配信で見た。ジェン・ヘイズがイプセンの『ヘッダ・ガーブレル』を翻案し、トム・パーキンソンが音楽を作っている。1時間弱の1人芝居で、デイヴィッド・ホイルが演じている。 短くなっているが、話じたいはか…

『Q:A Night At The Kabuki』再演

『Q:A Night At The Kabuki』再演を見てきた。正直なところ、初演で見た時の「これ、クイーン要らないのでは…」という感想はあまり変わらなかった。ただ、前回とは違って戦争が続いている騒がしい世相の中で見るとより現代的な気はしたし、前よりもこなれて…

やはり古い作品だと思う~『春のめざめ』(ネタバレあり)

浅草九劇で『春のめざめ』を見てきた。フランク・ヴェデキントの戯曲のミュージカル化で、戯曲は読んだことがあるが舞台を見るのは初めてである。演出は奥山寛で、キャストはEASTチームだった。 19世紀末のドイツが舞台で、少年少女の性の目覚めと、それを抑…

厭戦の芝居~『岸田國士戦争劇集』(配信)

DULL-COLORED POPの『岸田國士戦争劇集』を紅組キャストの配信で見た。谷賢一演出で、岸田國士の戦争を題材とする短い戯曲『動員挿話』『戦争指導者』『かへらじと』を続けて上演するものである。ライヴで見に行く予定だったのだが、私の予約回が中止になっ…

不在の中心としての家事~『ザ・ウェルキン』

シアターコクーンでシス・カンパニー『ザ・ウェルキン』を見てきた。ルーシー・カークウッドの新作の日本初演で、加藤拓也演出である。新型コロナウイルス濃厚接触者が出て休演があったが、再度上演できるようになった。 舞台は1759年のイングランド、サフォ…

『科学史研究』7月号に『プルーフ/証明』劇評を投稿しました

『科学史研究』7月号に『プルーフ/証明』劇評を投稿しました。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「[劇評]DULL-COLORED POP『プルーフ/証明』」『科学史研究』302(2022年7月)、172-175。 科学史研究 2022年7月号 No.302 コスモピア Amazon