80年代ノスタルジア~Just for One Day

 ライヴエイドについてのミュージカルJust for One Dayをオールドヴィックで見た。

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 現代の若者に歴史としてのライヴエイドを解説する…という枠に入っており、現代の若者からツッコミが入ったり質問が出たりしつつ、ライヴエイドがいかに大変なプロジェクトで大きな成果もある催しだったかということを見せるものである。生演奏のバンドがおり、簡易的なライヴ会場みたいな感じのセットにいろいろなものを持ち込んで場面転換が行われる(マギー・サッチャーボブ・ゲルドフが会談する場面では舞台の後ろを見えないようにして前方にダウニング街10番地が現れる)。ライヴエイドの関係者や体験したファンをはじめとしていろいろなキャラクターが出てくるのだが、主人公はまあボブ・ゲルドフだ。実際にライヴエイドで歌われた曲をたくさん使っており、ライヴエイドを歴史の一部にというコンセプトからもわかるように、少々教育的かつ80年代ノスタルジアに満ち満ちた内容である。「なんでアフリカのためのプロジェクトなのに非白人のアーティストがこんなに少ないの?」みたいな、今なら誰でも思い浮かぶような疑問についてもちゃんと取り上げ、「今ならそう言われて当然だけどこの時代の限界なんだよ」みたいな言い訳もしている。

 まずはボブがテレビを見てエチオピアの飢饉に心を痛め、ウルトラヴォックスのミッジに声をかけて'Do They Know It's Christmas?'を作り始めるところから始まる。後半はライヴエイドの手配なのだが、ボブがあまりのハードワークに死にそうになって諦めそうになる…ものの、最終的には大成功する。たぶん誇張してはあると思うのだが、ボブはまだ出場が確定していないミュージシャンをライヴエイドに出ますということにして逃げられない状況に追い込んだり、ライヴエイドの直前まで'Do They Know It's Christmas?'のシングルの売り上げにかかる高額な税金の件でダウニング街10番地と交渉したり、わりと見切り発車ですすめつつ寝る間もなく働いてそのまんまライヴエイドに突入する。

 そういうわけで最初から最後までボブが過労でつらそうな話なのだが、そのせいもあってとにかくボブがFワードばかり使っていて言葉が汚い。初登場するところでも口汚くて、周りの人に「間違いなくボブ・ゲルドフだね」とか言われている。なお、ボブがテレビで'fucking money'と言ったという話は聞き違え(実際は'Fuck the address')らしいのだが、この作品ではテレビで'fucking money'と言ったことになっている。

 そんなわけでうまくいきっこないというような始まり方をしたライヴエイドだが、どんどん盛り上がり、「これ以上よくなりっこないよ!」などという感想をみんなが言い始めた直後にクイーンが紹介されて…というようなギャグがあり、ここは会場大爆笑だった(みんな『ボヘミアン・ラプソディ』を見ているだろうからな)。クイーンをはじめとして音楽はけっこうどれも盛り上がっていたのだが、ブームタウン・ラッツの'I Don't Like Mondays'を一緒に歌って盛り上がっていた人がいたのにはちょっと驚いた(盛り上がるような内容の歌か!?)。ただ、ここでザ・フー要るかな…などと思うようなところもあり、ここまで80年代ノスタルジアでいくならもうちょっと80年代を強く思わせる曲でコンパクトにまとめたほうがいような気もした。