音楽やダンスはいいが、台本は…シアタークリエ『グリース』

 シアタークリエで『グリース』を見てきた。有名なミュージカルで映画のほうが見たことがあるが、舞台を見るのはこれが初めてである。

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 初演は1970年代だが、作品じたいの舞台は1950年代である。高校生のダニー(三浦宏規)とサンディ(屋比久知奈)は夏休み中にビーチで出会って恋に落ちるが、サンディはよその学校に行く予定だということで夏の終わりに別れる。ところがサンディは寄宿学校に入る予定が変更になり、ダニーと同じ高校に転校してきた。しかしながら不良集団Tバーズのリーダーであるダニーは、自分のイメージとは全く違う真面目なお嬢様であるサンディを真剣に好きになっていることを他のメンバーにからかわれたくなく、サンディに冷たい態度をとる。二人の恋の行方は…

 歌やダンスがたいへんキャッチーで音楽的にはとてもよくできている作品だし、50年代ノスタルジア風な衣装などもオシャレで、その点については楽しめる。しかしながら台本がさっぱりダメ…というか、ダニーは始終、自分の見栄のことばかり考えていて最後までに成長しないのにサンディばかりが悩んだ末に外見を変えるということになっていて、ずいぶんと男性中心的な展開である。全体的にダニーがあまりにも挙動不審かつ自己中心的で、とくにドライブインシアターの場面などはあそこで決定的にサンディにふられても当然と言えるくらい態度がひどい。歌とダンスは素晴らしいがお話がダメな作品ということで、そのへんは時代の制約を考えて見るしかないんだろうと思う。

 

グリース (字幕版)

グリース (字幕版)

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