シェイクスピア

悪くはないが、要らない設定も~『ロミオ&ジュリエット』

アレクサンドラ・ラター演出『ロミオ&ジュリエット』を見てきた。衣装は今の若者が着るような服で、完全に現代的な演出である。ロミオ(長谷川慎)たちがたむろしているのはプールバーだし、ロミオとジュリエット(北乃きい)が出会うキャピュレット家のパー…

白人至上主義的ヴァイキング像を皮肉ろうとしつつ、誤って受け取られそうな作品~『ノースマン 導かれし復讐者』

ロバート・エガース監督『ノースマン 導かれし復讐者』を見てきた。『ハムレット』のもともとの伝説を映画化した作品である。脚本にはエガースの他、アイスランドの著名な作家であるショーンが参加している。なお、監督はシェイクスピア研究者のウォルター・…

『白水社の本棚』に『ジョン王』のことを書きました

『白水社の本棚』冬号に『ジョン王』のことを書きました。書誌情報は以下の通りです。 北村紗衣「汗牛充棟だより(8)シェイクスピアの不人気作『ジョン王』」『白水社の本棚』2023年冬号、8-9。

プロスペローが追い出された理由~『gaku-GAY-kai 2022「贋作・テンペスト」』

劇団フライングステージの年末恒例シェイクスピア企画『gaku-GAY-kai 2022「贋作・テンペスト」』を見てきた。第一部が『テンペスト』、第二部がドラァグクイーンなどが出演するショーである。 新宿の大公だったプロスペロー(エスムラルダ)は追放されて孤…

早稲田大学演劇博物館「Words, words, words.―松岡和子とシェイクスピア劇翻訳」

早稲田大学演劇博物館で「Words, words, words.―松岡和子とシェイクスピア劇翻訳」展と「村上春樹 映画の旅」展を見てきた。どちらもけっこう良かったのだが、ただシェイクスピア展については、人名のパネルにはフリガナが必要ではと思った。

1人芝居2本立て~『おふえりや遺文/Carmilla』

消えた王国第1回公演『おふえりや遺文/Carmilla』を見てきた。小林秀雄『おふえりや遺文』とシェリダン・レファニュ『カーミラ』を短編の1人芝居(木原春菜出演)で2本立て上演するというものである。どちらも花なのかゴミなのかというような白い紙が散らば…

英詩研究会『Right Margin』に『恋におちたシェイクスピア』論を書きました

英詩研究会10周年記念詩文集『Right Margin』に『恋におちたシェイクスピア』論を書きました。「なぜシェイクスピアもジョージ・ルーカスもエミリ・ディキンスンも恋に落ちねばならないのか?~『恋におちたシェイクスピア』の功罪」という文章で、表題作の…

『ヴェニスの商人』オンライン講義が無事終了しました

朝日カルチャーで実施した「シャイロックはなぜ残酷な要求をするのか 『ヴェニスの商人』再考」オンライン講義が無事終了しました。お越しくださった方々、どうもありがとうございます。 www.asahiculture.jp 次回は2023年3月4日に「こんにちは、素敵な王子…

『マーダーボット・ダイアリー』風シェイクスピア~『夏の夜の夢』

川口のJUKUBOXでカクシンハン企画、木村龍之介演出『夏の夜の夢』を見てきた。前半のトークイベントにゲストとして参加し、後半の上演も見てきた。 oks-jukubox.com 倉庫の建物で上演する短い『夏の夜の夢』で、80分程度にカットしてある。倉庫にポンとソフ…

RSA Virutal 2022での発表が無事終わりました

RSA Virutal 2022での発表'Did Richard II Really Break the Mirror on Stage?'が無事終わりました。参加者は少なかったのですが、全員『リチャード二世』に言及していてトピックの類似性が高く、話しやすいセッションで良かったです。 rsa.confex.com

『マクベス』のバックステージもの~『ショウ・マスト・ゴー・オン』

世田谷パブリックシアターで『ショウ・マスト・ゴー・オン』を見た。三谷幸喜の有名な喜劇で、演出も三谷が担当している。初めて見たのだが、どうも前の上演の時に比べるとわりと変更箇所があるそうだ。 大学教員の栗林淳一(今井朋彦)が書いた『萬マクベス…

投票してももみ消される観客参加型演劇~『リア王~スマホVSリア王~』

シアター風姿花伝で木村龍之介演出『リア王~スマホVSリア王~』を見てきた。タイトルからわかるように、スマートフォンをonにして見る演劇である。LINEのオープンチャットで登場人物の投稿を見たり、投票をしたりすることができる。舞台の中央にモニタが設…

家族ホラーと涙目のハムレット~ブリストルオールドヴィク『ハムレット』(配信)

ブリストルオールドヴィクの配信でジョン・ヘイダー演出『ハムレット』を見た。 www.youtube.com 現代の衣装で、セットも黒っぽい現代風の美術である。後ろにかなり大がかりな回転する機構がある。オーソドックスに黒ずくめのハムレット(ビリー・ハウル)を…

台本がちょっと混乱気味~『歌妖曲~中川大志之丞変化~』

明治座で『歌妖曲~中川大志之丞変化~』を見てきた。倉持裕が作・演出で、『リチャード三世』をベースにして昭和歌謡界を舞台とした翻案である。 www.sanjushi2nd-2022.com 芸能一家である鳴尾家の息子である定(中川大志)は、家族でひとりだけ顔と四肢に…

チェッカーボードの戦争~オレゴン・シェイクスピア・フェスティヴァル『ジョン王』

オレゴン・シェイクスピア・フェスティヴァルの『ジョン王』を配信で見た。ローザ・ジョシ演出のものである。『ジョン王』はあまり上演されないので、めったにない機会である(映像は何種類か見たことがあるのだが、たぶん私も生では見たことがないと思う)。…

ドタバタ喜劇から最後は綺麗にまとめる演出~言葉のアリア『間違いの喜劇』

佐々木雄太郎演出、言葉のアリア『間違いの喜劇』を見てきた。1時間45分くらいのコンパクトな上演である。両脇にドアがあるセットで、このドアの使い方がちょっと特徴的だ。取り違えによってアンティフォラスとドローミオが家から閉め出される場面では舞台を…

アメリカルネサンス学会オンライン大会で『リチャード二世』についての発表をします

アメリカルネサンス学会のヴァーチャル大会(RSA Virtual 2022)にて、"Did Richard II Really Break the Mirror on Stage?"と題して発表をします。アメリカの時間帯なので、12/2の午前00:30からという凄い時間帯になってしまっています。『リチャード二世』…

「2010年以降の日本/日本語のシェイクスピア上演を問う」セミナーが終わりました

シェイクスピア学会の「2010年以降の日本/日本語のシェイクスピア上演を問う」セミナーが無事終了しました。お越しくださった皆様、どうもありがとうございます。どの発表も面白く、質疑応答も盛り上がって、バランスの良いセミナーになったと思います。私…

ジョン・スノウ…じゃなかったハル、あんな何にも知らないね~ナショナル・シアター・ライブ『ヘンリー五世』

ナショナル・シアター・ライブの『ヘンリー五世』を見てきた。マックス・ウェブスター演出、キット・ハリントン主演でドンマーウェアハウスで収録されたものである。 www.youtube.com 非常に現代的な演出で、軍人たちは迷彩の軍服を着ているし、戦争も完全に…

どうしても一箇所、解釈違いがあり…日生劇場『夏の夜の夢』

井上尊晶演出『夏の夜の夢』を日生劇場で見てきた。 全体的に階段が多く、そこを森に見立てている。宮殿の場面は真ん中に台を置いてやっている(このため、宮中の場面はちょっと舞台が狭いような印象も受ける)。衣装はけっこう現代風なところもあるが、一部…

彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー八世』再演

彩の国さいたま芸術劇場で『ヘンリー八世』の再演を見てきた。2020年に初演を見ているのだが、あまり上演されない演目だし、阿部寛のヘンリー八世は当たり役だと思うし、また去年の5月以来彩の国シェイクスピアがなかったということもあり、また行ってきた。…

「フォークホラーとしての『マクベス』」講座が無事終了しました

朝日カルチャーでのオンライン講座「フォークホラーとしての『マクベス』」が無事終了しました。お越しくださった方々、どうもありがとうございます。『ウィッカーマン』みたいなフォークホラーと『マクベス』の共通点について話しました。 www.asahiculture…

彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジョン王』勉強会に出ます

彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジョン王』勉強会に出ます。全4回でどれも面白そうですが、私は第3回 12/4(日)14:00~15:45に「なぜ私たちは『ジョン王』を見たことないのだろう?〜受容、人気、不人気」という受容についての話をします。私はこの作品に…

動きの制限から祝祭へ~『令和X年のオセロー』

吉村元希作・演出、戯曲組『令和X年のオセロー』を見てきた。90分くらいに刈り込んだ『オセロー』の翻案である。シンプルなセットに現代風の衣装で(ただし女性陣はコルセットみたいなものをつけている)、かなりデズデモーナ中心の構成にし、ビアンカ周りの…

文春オンラインに武田砂鉄さんとのイベントの記事が出ました

文春オンラインに武田砂鉄さんと実施した新刊イベントの記事が出ました。また相撲のラジオ中継の話をしております。 bunshun.jp お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 (文春e-book) 作者:北村 紗衣 文藝春秋 Amazon

スイカを持ったロレンス修道士~シアター2+1『ロミオとジュリエット』

シアター2+1で『ロミオとジュリエット』を見てきた。なるせこお台本・演出によるものである。翻訳は河合祥一郎版に基づいているようだ。 後ろに倒れた2本の柱がクロスしているセットで、この場所がバルコニーとしても使用されている。ロレンス修道士(本島孝…

かなりダイジェストっぽい~『Richard3 i bara』(配信)

『Richard3 i bara』を配信で見た。千賀多佳乃作・演出によるリチャード三世ものである。 1時間40分くらいしかないのだが、前半はシェイクスピアでいうと『ヘンリー六世』のあたりも盛り込んでいて、正直、この長さだとかなりダイジェストっぽい。リチャード…

シェイクスピアと自分の人生をまじえたひとり芝居~Willy's Lil Virgin Queen(配信)

エディンバラフリンジの配信でWilly's Lil Virgin Queenを見た。Terra Taylor Knudsonによるひとり芝居で、演者のシェイクスピアとのかかわりに自分の人生のいろいろな経験を重ねるというものである。『ウィンザーの陽気な女房たち』、『リチャード三世』、…

2人だけでやる1時間15分くらいの『ハムレット』~A Two Woman Hamlet(配信)

エディンバラフリンジの配信でSherman & Friendsの配信によるA Two Woman Hamletを見た。ニコラ・コレットとハンナ・スウィート、2人の女優だけで『ハムレット』を1時間15分くらいでやるというものである。小道具も最小限で、とっかえひっかえいろいろな役を…

移民のシェイクスピア朗読~エディンバラフリンジ、Migrant Shakespeare (配信)

エディンバラフリンジの配信で、ナズ・イェニ翻案・監督、Seyyar CompanyによるMigrant Shakespeareを見た。移民たちが職場とか家とかいろいろなところでシェイクスピアのとても有名な台詞を朗読するというものである。全体的には、日常的な暮らしが意外にシ…