いろいろ詰め込みすぎでは…『celos~緑色の目の怪物』

 新宿スターフィールドでDialogue!×SHAKESPEAREの『celos~緑色の目の怪物』を見てきた。シェイクスピアのいろいろな作品をつないで作るシリーズの3作目である。

 基本的には『オセロー』と『冬物語』で、それに『ハムレット』『マクベス』『夏の夜の夢』などが入っている。『オセロー』と『冬物語』は夫が異常な嫉妬をする話なのでよく似ており(嫉妬の原因が全然違うし、落とし方が違うのだが)、この2作をつなげてみようというのはわかる。ただ、落とし方には『冬物語』要素が一切なく、『オセロー』をさらにバッドエンドにしたみたいな感じで終わるので(さらに現代的な翻案なので配信までしているという設定)、えらく悲惨な終わり方である。

 けっこう頑張っている作品だとは思うのだが、ちょっと詰め込み過ぎだと思った。結局『オセロー』っぽく終わるなら、DV男が長い時間かけて更生して家族を取り戻す話である『冬物語』を入れる必要はあるのかな…とも思う。また、『夏の夜の夢』のアマチュア劇団が、この作品では企業のイベントで恒例の余興をやる社員たちになっていて、このせいでちょっとヘンなことになっている。原作では劇団が全員男性なので女性客のことがよくわからなくて、女性がライオンや流血を怖がるだろうというステレオタイプに基づいて芝居をへんちくりんにしてしまうというところが面白いのだが、この作品では劇団に女性が多い。このため、参加している女性が、自分で作った台本のくせに、女性客はいろんなものを怖がるので…とか言い出す不自然な展開になってしまっている。