鵜山仁

モジョのお父さんは何をしてるの?~『モジョミキボー』(ネタバレあり)

オーウェン・マカファーティ作、鵜山仁演出『モジョミキボー』を見てきた。浅野雅博と石橋徹郎がたくさんの役を演じ分ける2人芝居である。 setagaya-pt.jp 舞台は1970年のベルファストである。モジョはプロテスタント、ミキボーはカトリックの家庭の子供だが…

剥き出しの戦争劇〜新国立劇場『ヘンリー五世』(ネタバレあり)

新国立劇場で鵜山仁演出『ヘンリー五世』を見てきた。1年半前に上演された『ヘンリー四世』二部作の続きで、浦井健治を王子から王となったヘンリー役に据えた上演である。美術コンセプトも前回を引き継いでおり、左右に木の骨組みを配置したセットだ。左の舞…

台詞の洪水〜『ドレッサー』(ネタバレあり)

本多劇場でロナルド・ハーウッド作、鵜山仁演出『ドレッサー』を見てきた。映画は見たことあったが、舞台で見たのははじめてである。 第二次世界大戦中、身心に病気をかかえているらしいベテラン俳優(名前は不明、旦那さまなどと呼ばれている)と、付き人でか…

ギリシア悲劇を手際よくまとめているが、最後は疑問〜鵜山仁演出『エレクトラ』

世田谷パブリックシアターで鵜山仁演出『エレクトラ』を見てきた。エレクトラとオレステス姉弟に関するギリシア悲劇をまとめて一編にしたもので、全体的にアイスキュロスのオレステイア三部作を下敷きにしているほか、前半はソポクレス『エレクトラ』やエウ…

人好きのしない男たちの政治劇〜新国立劇場『ヘンリー四世第一部』

鵜山仁演出『ヘンリー四世第一部』を新国立劇場で見てきた。 セットは奥に木の骨組みで作ったガラクタと壁の中間のようなものを設置し、この中にスロープをつけて上にあがれるようにしてある。壁の中央はあいているので、ここから出入りできるようになってい…

崩れゆく陰鬱な家庭〜紀伊國屋ホール『幽霊』

紀伊國屋ホールでシーエイティプロデュース主催・製作、鵜山仁演出『幽霊』を見てきた。イプセンの有名作で、既に一度見たことがあるのであらすじはそちらを参照。 前回見たプロダクションはわりと白っぽくて広い北欧ふうなセットを使っていたのだが、このプ…

賀来千香子のイケピンク〜銀座博品館劇場『しあわせの雨傘』(ネタバレあり)

銀座博品館劇場で鵜山仁演出『しあわせの雨傘』を見てきた。ピエール・バリエ&ジャン=ピエール・グレディの戯曲で、フランソワ・オゾンの同名映画の原作である。 あらすじは映画とかなり似ている。ヒロインのシュザンヌ・ピュジョルはトロフィーワイフとし…

爆笑の諷刺喜劇…〜世田谷パブリックシアター『トロイラスとクレシダ』

世田谷パブリックシアターで鵜山仁演出『トロイラスとクレシダ』を見てきた。全体的に大変面白く、とくにお腹を抱えて笑える場面がたくさんある諷刺喜劇だったと思う。 実は私が以前に一度だけ見たことのある、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー&ウース…

デンマークどうでしょう〜下北沢『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』

下北沢のOff・Offシアターで鵜山仁演出の『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を見てきた。言わずと知れたトム・ストッパードの『ハムレット』翻案戯曲である。一度ロンドンで見たことがあるので、おおまかな展開(というか、タイトルでネタバレだ…