つまらなくはないが、そんなに好みではないかも~メトロポリタンオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』(配信)

メトロポリタンオペラの配信で『コジ・ファン・トゥッテ』を見た。1996年から上演されている演出を2014年に再演した舞台で、以前映画館で上映されていた2018年の新演出とは全く違うものである。指揮はジェイムズ・レヴァイン、演出はレスリー・ケーニッヒで…

カラフルで若々しいプロダクション~グラインドボーン『薔薇の騎士』(配信)

グラインドボーンの『薔薇の騎士』を配信で見た。ロビン・ティチアーティ指揮、リチャード・ジョーンズ演出で、2014年のプロダクションである。 www.youtube.com とにかく全体にカラフルで若々しいのが特徴だ。1950年代っぽいオシャレで色鮮やかな室内が舞台…

今回の連載記事は『コマンドー』についてです

今回のwezzyの連載記事は『コマンドー』についてです。 wezz-y.com

個人的にすごく苦手~Les Blancs (配信)

ナショナル・シアターの配信でLes Blancsを見た。ロレイン・ハンズベリの1970年の戯曲を2016年にナショナル・シアターがヤエル・ファーバー演出で2016年に上演したものである。 www.youtube.com 舞台はアフリカのどこかにあるプロテスタントの伝道診療所であ…

今見るとまったくシャレにならない、生き生きした諷刺オペラ~ヘンデル『アグリッピーナ』

METライブビューイングでヘンデルの『アグリッピーナ』を見た。2020年の2月末に収録された公演だということで、ニューヨークで舞台ができなくなる直前に撮られたものである。指揮はハリー・ビケット、演出はデイヴィッド・マクヴィカーである。 www.shochiku…

予定調和的な展開だが、とても楽しい作品~『チア・アップ!』

『チア・アップ!』を見てきた。 www.youtube.com ヒロインはガンになり、終活を終えてジョージア州サン・スプリングスの高齢者コミュニティに移り住んできたマーサ(ダイアン・キートン)である。最初はあまりコミュニティに馴染めず、病気のせいでやる気が出…

今は亡きゼフィレッリの演出の再演~メトロポリタンオペラ『ラ・ボエーム』(配信)

メトロポリタンオペラの配信で『ラ・ボエーム』を見た。フランコ・ゼフィレッリのヒット演出によるもので、このプロダクションは人気があるのでゼフィレッリの死後も再演されているらしい。指揮はマルコ・アルミリアートによるもので、ゼフィレッリがまだご…

日本英文学会第92回大会(ヴァーチャル開催)で発表しています

日本英文学会第92回大会で発表をしています。今年は初めてのヴァーチャル開催で、7/6から7/15までウェブ上で資料を見てコメントする形の発表になります。私はシンポジアム「 The isle is full of noises——近世イングランド文学とユートピア的「島」幻想」を…

『文藝』に『持続可能な魂の利用』の書評を書きました

『文藝』2020年秋季号に松田青子『持続可能な魂の利用』(中央公論社、2020)の書評を書きました。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「[書評]松田青子『持続可能な魂の利用』ーファンフィクションの成熟」『文藝』2020年秋季号、492。 文藝 2020年秋季号 …

衣装の良し悪し~ドレスデン・ゼンパー・オーパー『薔薇の騎士』(配信)

ドレスデン・ゼンパー・オーパーの配信で『薔薇の騎士』を見た。ウヴェ・エリック・ラウフェンベルク演出、ファビオ・ルイージ指揮によるもので、2000年の上演である。ドイツ語で英語字幕がつく。 www.semperoper.de 衣装やセットはわりと大がかりかつ華やか…

突然のスティーヴ・ハーリー&コックニー・レベル~『お名前はアドルフ?』(少しネタバレあり)

ゼーンケ・ヴォルトマン監督『お名前はアドルフ?』を見てきた。 www.youtube.com タイトルから推測できそうな話だが、ドイツのボンを舞台に、家族の集まりで弟トーマス(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)が生まれてくる息子にアドルフという名前をつけると…

正攻法で優しさと暴力を描く~ストラトフォード・フェスティヴァル『ハムレット』(配信)

ストラトフォード・フェスティヴァルの『ハムレット』を配信で見た。2015年の上演で、アントニ・チモリーノ演出である。 衣装は19世紀の末から20世紀初頭くらいだと思うのだが、場所も時代も意図的に少しぼかされているような印象だ。全体的に暗い色調で、眩…

動くレンブラント~ウィーン国立歌劇場『ファルスタッフ』(配信)

ウィーン国立歌劇場の配信で『ファルスタッフ』を見た。2016年12月12日の上演を記録したものである。演出家はデイヴィド・マクヴィカー、指揮者はズービン・メータである。 www.staatsoperlive.com 衣装やセットにすごく凝ったプロダクションで、全体に絵画…

マジックの芝居~フォルジャー・シェイクスピア図書館『マクベス』(配信)

フォルジャー・シェイクスピア図書館の『マクベス』を配信で見た。アーロン・ポズナーと、マジシャンのデュオであるペン&テラーのテラーが演出したプロダクションである。2008年の上演で、かなり画質が悪く、ちょっとわかりづらいところがあるのが残念だ。 w…

よくできた映画だとは思うが、趣味でなかった~『グッド・ワイフ』(試写、ネタバレあり)

試写でアレハンドラ・マルケス・アベヤ監督『グッド・ワイフ』を見てきた。 www.youtube.com 舞台は1982年、経済危機直前の時期のメキシコシティである。ヒロインであるソフィア(イルセ・サラス)は富裕な夫フェルナンド(フラビオ・メディナ)と高級住宅街に住…

『アジア・ジェンダー文化学研究』第4号に講演記録が載りました

奈良女子大学から出ている『アジア・ジェンダー文化学研究』第4号に、女性史学賞受賞時の講演記録が載りました。書誌情報は以下のとおりです。なお、河合祥一郎先生のコメントも一緒に載っています。 北村紗衣「読み書きするシェイクスピア女子ー近世の舞台…

歴史ファンタジーオタク男子生徒の妄想爆発!グラインドボーン『リナルド』(配信)

グラインドボーンの配信でヘンデルのオペラ『リナルド』を見た。 www.youtube.com タッソの『解放されたエルサレム』を原作とする十字軍の物語で、十字軍がサラセン軍に勝利をおさめるまでを、英雄リナルドと将軍ゴッフレードの娘アルミレナの恋を交えて描く…

生きることとは映画を撮ること~『ペイン・アンド・グローリー』(ネタバレあり)

ペドロ・アルモドバル監督『ペイン・アンド・グローリー』を見てきた。 www.youtube.com 主人公である中年の映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は、貧しい生まれから映画監督として成功したものの、このところ愛する母ハシンタの死と大病が続いて…

『SKIN/スキン』パンフレットに寄稿しました

本日公開の『SKIN/スキン』パンフレットに寄稿しました。白人至上主義団体をやめた実在の人物に関する映画です。ジェイミー・ベル主演で、かなり力の入った作品だと思います。私以外の人はちゃんとアメリカの人種差別とかについて書いておられるのですが、私…

人種・性別を変えるキャスティングが効果的~ブリストル・オールド・ヴィク『ワイズ・チルドレン』(配信)

ブリストル・オールド・ヴィクの配信で『ワイズ・チルドレン』を見た。2018-2019に上演され、アンジェラ・カーターの小説をエマ・ライスが舞台化したものである。 www.youtube.com 物語の主人公は双子のノーラとドーラで、話はドーラの回想の枠に入っている…

前評判ほど悪くないじゃないかと思ったら…『エジソンズ・ゲーム』

『エジソンズ・ゲーム』を見てきた。トマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)と、ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)及びニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)が直流を使うか交流を使うかで電力シェアをめぐって争った電気戦争を描い…

わざと良い音楽を使わない音楽映画~『ポップスター』

ブラディ・コーベット監督作『ポップスター』を見た。ナタリー・ポートマン主演、音楽はシーアが担当している。 www.youtube.com ヒロインのセレステは14才の時に学校で銃乱射事件の被害にあう。姉のエリーと一緒に制作し、追悼イベントで歌った曲が注目され…

時系列の入れ替えによるある種の爽快さ~『スウィング・キッズ』(ネタバレあり)

『スウィング・キッズ』を見てきた。 www.youtube.com 朝鮮戦争時、北側の兵士で捕虜となった者を収容していた巨済捕虜収容所で、プロパガンダの一種として実施されたタップダンスチームを主題とする作品である。物語の大部分は架空であるようなのだが、捕虜…

「運命の男」とハードボイルドヒロインの誕生~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(ネタバレあり)

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を見た。言わずと知れたルイーザ・メイ・オルコットの有名作の映画化なのだが、まあセンスのない日本語タイトルがついている。グレタ・ガーウィグ監督作である。 www.youtube.com お話は『若草物語』に忠…

横浜市男女共同参画推進協会の広報誌に寄稿しました

横浜市男女共同参画推進協会の広報誌『フォーラム通信』に寄稿しました。ウィキギャップのこととかを書いています。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「まだ名前のない 第4回 百科事典は社会を映す鏡」『フォーラム通信』2020夏秋号、p. 8。 www.women.…

女性にとっての結婚とは~ナショナル・シアター・ライヴ『スモール・アイランド』(配信)

ナショナル・シアター・ライヴ『スモール・アイランド』を配信で見た。現在、映画館でもやっているのだが、こういうイギリス以外の英語方言が使われているような作品は英語字幕付きで見たかったので(そのほうが勉強になるから)、自宅で配信で見た。アンドレ…

子役がすごくうまい~ストラトフォード・フェスティヴァル『恋の骨折り損』(配信)

ストラトフォード・フェスティヴァル『恋の骨折り損』を配信で見た。ジョン・ケアード演出で、2015年のプロダクションらしい。 www.youtube.com 『恋の骨折り損』はもともとシェイクスピア劇の中ではそんなに人気がないというか、初期の作品で流行りにそって…

ロシアの現代政治~チーク・バイ・ジョウル&モスクワプーシキン劇場『尺には尺を』(配信)

チーク・バイ・ジョウルとモスクワプーシキン劇場『尺には尺を』をシビウ国際芸術祭の配信で見た。デクラン・ドネラン演出なのだが全部ロシア語で、英語の字幕がつく。2013年の上演である。 www.sibfest.ro 完全に現代のロシア政治を背景にした上演である。…

コンクリートの陰鬱なセットと現代政治~ウィーン国立歌劇場『マクベス』(配信)

ウィーン国立歌劇場『マクベス』を配信で見た。2019年5月14日に上演されたもので、指揮はジェームズ・コンロン、演出はクリスティアン・レートである。 www.staatsoperlive.com 舞台は完全に現代で、灰色のコンクリートの大きなセットに軍服を着た人々が行き…

TVBrosにウェブ記事を書きました

TVBrosにウェブ記事を書きました。「”緊急事態”のなかで、やるようになったこと、やらなくなったこと。 「劇場と大学の授業とウィキペディア」というタイトルです。 note.com