アフリカの国が舞台の見応えある演出~セントルイスシェイクスピア祭『リア王』(配信)

セントルイスシェイクスピア祭の『リア王』を配信で見た。演出はカール・コーフィールドによるものである。野外上演を撮影したものである。 stlshakes.org 舞台は北アフリカのどこかの国という設定で、キャストはだいたい非白人である(ただ、設定が北アフリ…

バーナード・ショーの思い込み~演劇企画CaL『ほんの駆引き -Village Wooing-』(配信)

演劇企画CaLの『ほんの駆引き -Village Wooing-』を配信で見た。バーナード・ショーの短い芝居で、一組の男女が船上で出会い、やがて女性のほうが働いているイングランドの村の店で再会して結婚するまでを描くものである。ワーキングクラスの女性がミドルク…

ウィキマニアでの発表は8/16の16:40からになりました

オンライン版ウィキマニアでの発表は8/16の16:40からになりました。オンラインのライヴセッションで、タイトルは"Come on, It’s Wikipedia, not Westeros: A Brief Introduction to the Wikipedia Conspiracy Theory in Japan"「ちょっとぉ、ここはウィキペ…

『とびだせ!ならせ!PUI PUI モルカー』

『とびだせ!ならせ!PUI PUI モルカー』の3D上映に行ってきた。モルカーボールがもらえて鳴らしながら見るというなかなか変わった鑑賞体験で、周りの人がみんななぜか一致したタイミングで鳴らし始めるのが面白かった。私がもらったモルカーボールはアビー…

音楽の使い方が…『ミス・マルクス』(試写、ネタバレ注意)

試写でスザンナ・ニッキャレッリ監督『ミス・マルクス』を見てきた。 www.youtube.com カール・マルクスの娘であるエリノア・マルクス(ロモーラ・ガライ)をヒロインとする伝記ものである。エリノアは生涯を通して労働条件の改善や性差別撤廃、選挙権のため…

ちょっと演出が…マンハイム国立劇場『イポリットとアリシー』(配信)

マンハイム国立劇場『イポリットとアリシー』を配信で見た。ジャン=フィリップ・ラモーの1733年のオペラである。ベルンハルト・フォルク指揮、ロレンツォ・フィオローニ演出で2021年5月1日に上演されたものである。 www.youtube.com 原作はラシーヌの『フェ…

この手のものとしては良くできているほうではあるが…『スーパーノヴァ』

『スーパーノヴァ』を見てきた。 www.youtube.com 長年連れ添ったカップルである作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)とピアニストのサム(コリン・ファース)が湖水地方を旅する様子を描いたものである。サムが久しぶりにコンサートを頼まれたからという…

楽しい作品だが…『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』(ネタバレあり)

『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』を見てきた。 www.youtube.com 水泳選手のマティアス(ニコラ・ゴブ)は同性愛差別発言のために処分を受けることになり、クロアチアで開催されるゲイ・ゲームズ出場を目指すゲイの水球チームであるシャイ…

ツイ・ハークがかかわっている凝ったプロダクション~当代伝奇劇場『テンペスト』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信で当代伝奇劇場『テンペスト』を見た。2004年の台湾のプロダクションで、呉興国とツイ・ハークが演出しているものである。全体的にかなりきちんと京劇スタイルに落とし込んでいる上演だ。 私は呉興国の『リア王』をかなり前にエ…

道化の政治歴史劇~九年劇場『リアは死んだ』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信でシンガポールの九年劇場による『リアは死んだ』を見た。ネルソン・チア演出で、2018年の上演である。基本的に『リア王』だが、かなりカットがあり、劇中劇だという枠に入っている。 セットは線で区切った箱みたいなシンプルな…

キャストは魅力的だが、やはりつらい~ニュー・グループ・オフ・ステージ『ゴドーを待ちながら』(配信)

ニュー・グループ・オフ・ステージの『ゴドーを待ちながら』を有料配信で見た。スコット・エリス演出で、イーサン・ホークがウラジーミル、ジョン・レグイザモがエストラゴン、ラッキーがウォレス・ショーン、ポッツォがタリク・トロッターという豪華キャス…

内容は悪くないが、撮影が…鄧樹榮演出『マクベス』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信で鄧樹榮演出の『マクベス』を見た。2019年の香港のプロダクションである。広東語で英語字幕がつく(最後のQ&Aは字幕がないので見られなかった)。 箱のような背景幕だけがあるシンプルなセットで展開する物語である。一応、現…

『オリヴァー・トゥイスト』の現代版翻案~ 『スティーラーズ』

『スティーラーズ』を見てきた。これ、原題はTwistで、チャールズ・ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』の現代版である。冒頭で「歌も踊りもない」とか言っているが、これは有名なミュージカル『オリヴァー!』への言及だ。 www.youtube.com 舞台は現在…

ハムレットを出す必要あるのか…?『オフィーリア』(配信)

世界シェイクスピア大会の配信で『オフィーリア』を見た。シンガポールで2016年に行われた上演で、ナタリー・ヘネディゲとミシェル・タン作、演出もヘネディゲがつとめている。『ハムレット』の翻案である。 プールみたいなセットにプール監視員用の椅子があ…

ちくま新書より『批評の教室: チョウのように読み、ハチのように書く』という本を出します

ちくま新書より『批評の教室: チョウのように読み、ハチのように書く』という本を出します。大学などで批評を学ぶための教科書のような本になる予定です。目下校正原稿をチェック中です(情報が出るのは来週くらいかなと思っていたら思ったより早かったので…

呉座勇一さんより謝罪文が出ました

3月末に起きた呉座勇一さんの問題について、代理人を介して行った交渉が決着し、先程正式な謝罪文が出ました。はてなをとくに指定したとかではなくウェブで公開ということなので、下に私のDropboxに保存したものへのリンクも置いておきます。ygoza.hatenablo…

『欧米圏デジタル・ヒューマニティーズの基礎知識』に寄稿しました(再録です)

一般財団法人人文情報学研究所監修『欧米圏デジタル・ヒューマニティーズの基礎知識』(文学通信、2021)に寄稿しました。以前書いたものの再録です。よろしくお願い申し上げます。 欧米圏デジタル・ヒューマニティーズの基礎知識 作者:小風 尚樹,小川 潤,纓…

『白水社の本棚』連載に積ん読のことを書きました

『白水社の本棚』ではじめた連載「汗牛充棟だより」に積ん読のことを書きました。書誌情報は以下の通りです。 北村紗衣「汗牛充棟だより(2)積ん読は世界の言葉になるか?」『白水社の本棚』197、2021年夏号、6-7。

ツボを押さえた笑える上演~二期会『ファルスタッフ』

二期会『ファルスタッフ』を見てきた。レオナルド・シーニ指揮、演出・衣裳が ロラン・ペリーによる上演である。これまた初日が新型コロナウイルスのせいで中止になって上演できるのか…と思っていたが、無事行われた。 舞台設定は20世紀(1960-70年代くらい…

とても現代的な演出~新国立劇場『カルメン』

新国立劇場で『カルメン』を見てきた。アレックス・オリエ演出、大野和士指揮によるものである。一部公演が中止になったので心配していたが、無事上演された。 www.nntt.jac.go.jp 完全に現代的な翻案で、セットは金属のパイプの枠組、カルメン(ステファニ…

空っぽの劇場を背景に~『真面目が肝心』(配信)

ストリームシアターでオスカー・ワイルド『真面目が肝心』を見た。これはニューカッスル大学演劇部がアダム・キニーン演出によってサンダーランド・エンパイア劇場で上演したもので、新型コロナウイルス感染症の流行のせいで窮地に陥っている舞台芸術関係者…

解釈しづらい作品をわかりやすく~ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』

ナショナル・シアター・ライヴ『メディア』を見てきた。言わずと知れたエウリピデスの悲劇で、2014年の公演を収録したものである。キャリー・クラックネル演出、ベン・パワーの台本で、音楽はなんとゴールドフラップが担当している。なにしろ新型コロナウイ…

世界シェイクスピア大会の発表が終わりました

世界シェイクスピア大会のセミナー"Seminar 25: Shakespeare in-between Translation and Adaptation"での発表"Why Should George Lucas Fall in Love? From Shakespeare’s Biography to Star Wars"が無事終了しました。大会はまだプレカンファレンスなので…

ウィキマニアで発表をします

8/13-17までオンラインで行われるウィキマニアで発表します。題目は"Come on, It’s Wikipedia, not Westeros: A Brief Introduction to the Wikipedia Conspiracy Theory in Japan"「ちょっとぉ、ここはウィキペディアでウェスタロスじゃないぞ:日本におけ…

こなれた再演~『ウィルを待ちながら インターナショナル・ヴァージョン』

『ウィルを待ちながら インターナショナル・ヴァージョン』を見た。2018年初演なのだが、今回の上演はシビウ国際演劇祭参加を見込んだ改訂版で、英語のセリフなどもある。前回見た時はとてもよくできていると思った一方でわりと苦手なところもあったのだが、…

年齢の変化~日本大学芸術学部演劇学科公演『卒塔婆小町』

日本大学芸術学部演劇学科総合実習IIAの公演である『卒塔婆小町』を見てきた。三島由紀夫の『近代能楽集』の一本で、1時間足らずの短編演目である。稲葉賀恵(2016年の『野鴨』の演出家)の演出によるもので、出演はもちろん学生である。 新型コロナウイルス…

となりのトトロぬいぐるみも出演~グローブ座『ロミオとジュリエット』(配信)

グローブ座『ロミオとジュリエット』を有料配信で見た。Ola Inceによる演出で、グローブ座が久しぶりに実施するお客さんを入れて行う上演の一環…なのだが、なんとティボルト役が隔離になってしまったそうで代役だった。イギリス時間で夜の公演しかライヴ配信…

今月の連載はオスカー・ワイルド『つまらない女』についてです

今回の連載はワイルドのあまり人気がない芝居である『つまらない女』をとりあげてじっくり紹介してみました。母子家庭が直面する苦難についての作品です。序盤がダラダラしてるのに終盤ポンポン話が進んでちょっとペース配分がおかしいため、あまり上演され…

小規模なリーディング~『3人ぐらいdeシェイクスピア「マクベス」』(配信)

『3人ぐらいdeシェイクスピア「マクベス」』を配信で見た。3人+リュートだけでやるリーディング公演である。お芝居好きの夫婦と家政婦3人でやるアマチュア演劇という設定なのだが、この設定が要るのかはあんまりよくわからなかった。リュートの生演奏がある…

1本の映画としては面白いが…『ブラック・ウィドウ』(ネタバレあり)

『ブラック・ウィドウ』を見てきた。久しぶりのMCU公開作で、またアベンジャーズでは古株なのに単立の映画がなかったブラック・ウィドウことナターシャ(スカーレット・ジョハンソン)がやっともらえた主演作である。さらにMCUで初めて女性(ケイト・ショー…