戦場を取材することの重要性を描いた映画『プライベート・ウォー』

戦場で亡くなった実在のジャーナリスト、メリー・コルヴィンの半生を描いたマシュー・ハイネマン監督作『プライベート・ウォー』を見てきた。主演はロザムンド・パイク、製作がシャーリーズ・セロン、主題歌をアニー・レノックスが担当していて、ビッグネー…

オールメールを上手に使った演出~カクシンハン『ロミオとジュリエット』

カクシンハン『ロミオとジュリエット』を見てきた。ポケット公演ということで、3人の役者を使い、オールメール、60分くらいで『ロミオとジュリエット』をやるというものである。 kakushinhan.org 舞台はそこらじゅうに新聞紙がまき散らされ、衣類をかけるフ…

Repreに書評がのりました+パネル紹介などを書きました

表象文化論学会ニューズレターRepreで古川萌さんが『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』のレビューを書いて下さいました。 www.repre.org また、学会賞授賞式での挨拶も公開されています。 www.repre.org この他、シェイクスピアパネルの報告文も私が書いてお…

今月の連載記事+ミニ連載のお知らせ

今月のwezzyの連載記事は「ワンダーウーマンは「私のヒロイン」じゃない~社交性ゼロの女性ヒーロー待望論」です。8月は対談記事が前後編あったのと、9月もイベント記事があったので1ヶ月お休みしていました。『ワンダーウーマン』はすごく面白いけど個人的…

面白いところはたくさんあるが、現代的な演出とあっているのかは疑問~『オイディプス』(演出ネタバレあり)

マシュー・ダンスター演出『オイディプス』を見てきた。言わずと知れたソフォクレスのギリシア悲劇である。テーバイの王オイディプスの殺人と近親相姦にまみれた呪われた運命を描いた作品で、現存する最古のミステリ戯曲でもある。 www.bunkamura.co.jp あら…

受動的な創られたヴィラン~『ジョーカー』(ネタバレあり)

『ジョーカー』を見てきた。『バットマン』の悪役であるジョーカーがどうやってジョーカーになったのかを描いた作品…というのは建前で、ほとんど別の映画である。 wwws.warnerbros.co.jp ゴッサムシティに住むアーサー(ホアキン・フェニックス)はピエロの仕…

次から次へと出てくる家庭問題~NTライヴ『みんな我が子』

NTライヴでアーサー・ミラーの『みんな我が子』を見てきた。ジェレミー・ヘリン演出で、オールドヴィックで上演されたものだ。初演は1947年で、いかにも第二次世界大戦直後の作品だ。この演目を見るのは初めてである。 www.ntlive.jp 第二次世界大戦直後のア…

巨大な名匠、最低のボス~『キューブリックに愛された男』+『キューブリックに魅せられた男』(ネタバレあり)

『キューブリックに愛された男』と『キューブリックに魅せられた男』を試写会で見てきた。どちらもスタンリー・キューブリックの助手をしていた人に関するドキュメンタリー映画である。前者はキューブリックの運転手兼世話係で家庭における助手だったエミリ…

労働運動とフェミニズムを掘り下げた歴史もの~『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』(ネタバレあり)

『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』を見てきた。アメリカと日本の合作で、19世紀にマサチューセッツ州ローウェルの繊維工場で働いていた女性たち(ローウェル・ミル・ガールズ)の活動を描いた歴史ものミュージカルである。かなり脚色があるにせよ、実在の人物…

ピンターか、シェーファーか?~舞台劇みたいな映画『サラブレッド』(ネタバレあり)

『サラブレッド』を見てきた。お金持ちの令嬢だが継父とうまくいっていないリリー(アニャ・テイラー=ジョイ)が、無感動でタフなアマンダ(オリヴィア・クック)と親しくなり、ドラッグの売人で未成年女子にちょっかいを出すのが好きなティム(アントン・イ…

閉鎖的な島と読む愉しみ~『ガーンジー島の読書会の秘密』

『ガーンジー島の読書会の秘密』を見てきた。原作小説は既に読んでおり、なかなか面白かった。 dokushokai-movie.com 舞台は第二次世界大戦直後のガーンジー島とロンドンである。ヒロインである作家のジュリエット(リリー・ジェームズ)は次作の調査をしてい…

かなり好みでなかった~『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』

シアタークリエで『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』を見てきた。2013年にニューヨークで初演されたミュージカルの日本版である。 www.tohostage.com 話は『恋の骨折り損』なのだが、正直かなり好みでなかった…まず、原作では私がわりと気に行っ…

MIDWEEK BURLESQUE vol.74 -The Lucky Horror Picture Show-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.74 -The Lucky Horror Picture Show-」を見てきた。もともとは観劇会をするつもりだったのだが予定があわず、結局ひとりで鑑賞した。 前半はデュオのHyls(Rosa Diamanté + Mummy Bomb)の黒っぽいドレスで統一したちょっとハロウィ…

『週刊読書人』9月27日号と『ミステリマガジン』11月号に新刊の書評がのりました

『週刊読書人』9月27日号と『ミステリマガジン』11月号(p. 210)に書評がのりました。『週刊読書人』のほうはウェブでも公開されています。 dokushojin.com

宮沢りえの美しくない瞬間~『死と乙女』(ネタバレあり)

アリエル・ドーフマン作、小川絵梨子演出『死と乙女』を見てきた。映画化もされている有名な作品で、見るのは今回が初めてである。 舞台は南米の某国(ドーフマンの出身地であるチリと似ているが、おそらくあえてぼかしてある)、長年の独裁政権が終わり、ジ…

日本初のWikiGapイベントが無事終了しました

東京のスウェーデン大使館で行われた日本初のWikiGapイベントが無事終了しました。女性の記事を書くことでウィキペディアのジェンダーギャップを減らそうというイベントなのですが、ちょっと珍しいような大規模なエディタソンで、かなりの数の記事ができまし…

シンポジウム「大学におけるウィキペディアの利活用と課題」が無事終了しました

東京経済大学で開催されたシンポジウム「大学におけるウィキペディアの利活用と課題」が無事終了しました。他のオープンデータ系の催しとかぶりまくってしまったのですが、お越し下さった方々、どうもありがとうございます。いろいろな観点からの発表があり…

個人的な理由で全然好きになれなかった…東京芸術劇場『ミクスチュア』(ネタバレあり)

東京芸術劇場で贅沢貧乏『ミクスチュア』を見てきた。台本の出来とかとは全く関係なく、個人的にかなり好きになれなかった。 とあるスポーツセンターに集う人々を中心に、現代日本に生きる人々の葛藤とか悩みとかを描いた作品で、台本じたいは非常に考えられ…

「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ―― 線の魔術」

文化村で「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ― 線の魔術」を見てきた。絵じたいは良いものが多かったのだが、パネルの説明が少ないのがあまりよくなかった。広告に使われた絵については、何を売るための絵なのかくらいはパネルに説明を書いておくべきだ…

「バズる(?)アウトリーチのすすめ―公益性のある情報発信に向けて」開催レポートが出ました

「バズる(?)アウトリーチのすすめ―公益性のある情報発信に向けて」開催レポートがアップされました。私は「どうやったらオスカー・ワイルドになれるか」的な話をしました。 historiansworkshop.org

『アエラ』9月30日号に記事が掲載されました

『アエラ』9月30日号に新刊についての記事が掲載され、ウェブでも公開されました。うちの大学もはちみつをおろしている江古田のパティスリープラネッツで、私が江古田はちみつアイスを食べている写真がのっています。 dot.asahi.com

このクマを見逃してはいけない!!驚愕のクマ&サウナ映画『サウナのあるところ』(ネタバレあり)

フィンランドのドキュメンタリー『サウナのあるところ』を見てきた。フィンランド文化の重要な一部であるサウナにたむろす男達を撮った作品である。 www.youtube.com フィンランドにおけるサウナ文化の説明とかは一切なし、登場人物の紹介すらなく、いろいろ…

リラックスして見られる楽しい翻案~『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』(ネタバレあり)

世田谷パブリックシアターで三谷幸喜『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』を見てきた。 www.impresario-ent.co.jp ホームズ(柿澤勇人)とワトソン(佐藤二朗)が同居しはじめた直後、『緋色の研究』前でホームズがまだ素人探偵だった頃を描いた二次創作であ…

「北国生まれのフェミニスト批評」イベントが無事終了しました

札幌の書肆吉成丸ヨ池内GATE6F店で行った「北国生まれのフェミニスト批評」イベントが無事終了しました。雨の中お越し下さった皆様、どうもありがとうございます。札幌でイベントできてとても嬉しいです。 北村紗衣さんトーク、満席で笑いに沸いています。 p…

[[スポーツにおけるハカ]]のウィキペディア記事を作りました

ラグビーワールドカップにあわせてスポーツにおけるハカのウィキペディア記事を英語版からの翻訳で作りました。私はラグビーが全くわからないので、わかる方は出典付きで加筆修正をお願いします。歌詞に関して、古いものである「カマテ」と「テナコエカンガ…

演技などは良いのだが、暴力性のフェティッシュ化が…『永遠に僕のもの』

『永遠に僕のもの』を見てきた。監督はルイス・オルテガで、製作にペドロ・アルモドバルがかかわっている。アルゼンチンで70年代に実在した有名な連続殺人犯の話をヒントに脚色したものである。 www.youtube.com 舞台は1971年のブエノスアイレス。十代のカル…

なぜ我々は劇場でものすごくお手洗いに行きたい時に限って人に会うのか問題~『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』を見てきた。 www.youtube.com 1991年の夏、父親を死んでショックを受けているダニエル(ティモシー・シャラメ)は、マサチューセッツ州ケープコッドにあるおばの家にあずけられる。あまり友達もできずに鬱々と…

非常にちゃんとした映画だが…『荒野の誓い』

『荒野の誓い』を見てきた。 www.youtube.com 舞台は1892年のアメリカ西部である。歴戦の勇士である騎兵隊の大尉ジョー(クリスチャン・ベール)は、かつての宿敵で今は癌にかかっているシャイアンの首長イエロー・ホーク(ウェス・ステューディ)をモンタナの故…

保守党の党首選みたいな上演~NTライヴ『リチャード二世』

NTライヴ『リチャード二世』を見てきた。ジョー・ヒル=ギビンズ演出で、主演はサイモン・ラッセル・ビールである。 www.ntlive.jp とにかく変わった演出で、テクストはばっさりカットして王妃すら出てこない。入り口も出口もないただの箱みたいなセットで、…

とにかく長いが、話の流れを考えてカットしている~東京グローブ座『ハムレット』

東京グローブ座で『ハムレット』を見てきた。森新太郎演出で、ハムレット役は菊池風磨である。 www.hamlet2019.jp セットは比較的シンプルなのだが、とにかくいっぱい回転する。最初にクローディアスが臣下の前でハムレットにヴィッテンベルクに帰らないよう…