真面目な法廷もの~『死刑台のメロディ』(試写)

 エンニオ・モリコーネの特選上映で4Kリマスター英語版が上映される『死刑台のメロディ』を試写で見た。有名なサッコ&ヴェンゼッティ事件の映画化である。

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 全体的に真面目な法廷もので、イタリア系の移民で左翼であり、英語にも訛りがあるニコラ・サッコ(リカルド・クッチョーラ)とバルトロメオ・ヴェンゼッティ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)が受けた裁判がいかにメチャクチャだったかということを描いている。どの程度史実に基づいているのかはわからないのだが、この映画に登場する捜査や裁判の様子は極めて不当なもので、いくらなんでも誇張では…と思うくらいひどい。この2人が実際の犯罪にどの程度かかわっていたのかについてはよくわからないと思うのだが、公正な裁判を受ける権利が侵害されていたということはよく伝わってくる展開である。また、サッコとヴェンゼッティの性格や裁判に対する態度の違いなどもわりと細やかに描かれている。

 モリコーネ作曲でジョーン・バエズが歌ったテーマ曲については、楽曲じたいは非常にいいと思うのだが非常に70年代初頭っぽい感じがある。1920年代が舞台である映画じたいの雰囲気とはそんなにあっていないかもと思う(今でも現代の音楽を時代劇の主題歌に…ということはあると思うが、もうちょっと曲調をレトロにするかわざとアナクロにスティックにする気がする)。ただ、このあたりも時代を感じさせて興味深い。