小川絵梨子

それ、ズルくない?~『Wild』(ネタバレあり)

マイク・バートレットの戯曲『Wild』日本上演を見てきた。東京グローブ座での上演で、演出は小川絵梨子である。エドワード・スノーデンによるアメリカ政府告発にヒントを得た作品だ。 舞台はモスクワのどこかにあるホテルの一室である。アメリカ政府が行って…

困ったオタク大集合~新国立劇場『かもめ』

新国立劇場で鈴木裕美演出、チェーホフ『かもめ』を見てきた。トム・ストッパードによる英語台本を小川絵梨子が翻訳したものである。キャストは全てオーディションで決めたそうだ。 www.nntt.jac.go.jp 緑の芝生で行う野外上演やお屋敷など、セットはわりと…

とても笑える洗練された演出だが、それでいいのだろうか~『出口なし』

新国立劇場で『出口なし』を見てきた。小川絵梨子演出で、言わずと知れたサルトルの有名戯曲である。2人の女と1人の男が地獄に落とされ、出られない部屋で心理戦を行うというものだ。 中年男性のガルサン(段田安則)、中年女性のイネス(大竹しのぶ)、若い女性…

別にIRAはハンサムじゃなくたっていいんだよ?〜『マクガワン・トリロジー』(ネタバレあり)

シェーマス・スキャンロン『マクガワン・トリロジー』を見てきた。小川絵梨子演出で、3幕もの…というよりは3本の短い戯曲がつながってるみたいな芝居である。 主人公はマクガワン(松坂桃李)というIRAの殺し屋で、80年代の北アイルランド紛争が舞台である。マ…

最後の最後にフツーの人が来る〜『ハングマン』(ネタバレあり)

マーティン・マクドナーの『ハングマン』日本語初演初日に行ってきた。長塚圭史演出、小川絵梨子翻訳で、既にNTライヴで英語版は見ている。プログラムに私が書いた原稿がのっており、招待で初めて初日乾杯というものにも参加したので緊張した。 詳しいあらす…

前半はじっくり、後半はショッキングに〜『1984』

小川絵梨子演出『1984』を見てきた。言わずと知れたジョージ・オーウェルの小説をロバート・アイクとダンカン・マクミランが翻案した戯曲で、既にイギリスで英語版を見ている。 英語版に比べるとスクリーンや暗転の派手な使用はやや抑え気味で(やってはいる…

ユーモアのあるタッチだが、内容は予想以上に深刻〜『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』

アリソン・ベクダルの漫画を舞台化したミュージカル『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』をシアタークリエで見てきた。小川絵梨子が演出を担当している。 内容は大人になった漫画家のアリソン(瀬名じゅん)が過去を回想するというもので、子ども時代…

演出は良かったが、台本はマクドナーとしては若書きっぽい〜『The Beauty Queen of Leenane』(ネタバレあり)

マーティン・マクドナー『The Beauty Queen of Leenane』をシアター風姿花伝で見てきた。演出・翻訳は小川絵梨子がつとめている。コネマラ三部作のひとつで、戯曲じたいは昔読んだことがあったが見るのは今回が初めてだった(けっこう前に読んだので戯曲の内…

若者珍道中記〜『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』

シス・カンパニー『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を見てきた。言わずと知れたトム・ストッパードの有名作で、演出は小川絵梨子である。 『ハムレット』で何もできずに右往左往して死んでしまうローゼンクランツとギルデンスターンを主人公に…

「小川絵梨子」の記事を作りました

日本語版ウィキペディアに次期新国立劇場芸術監督(演劇部門)である[[小川絵梨子]]の記事を作りました。新国立劇場の資料室で資料と無線LANを使って仕上げた記事です。

バラバラの肉体を取り戻す〜マーティン・マクドナー『スポケーンの左手』(ネタバレあり)

シアタートラムでマーティン・マクドナーの戯曲『スポケーンの左手』を見てきた。2010年に初演された作品を日本語にし、小川絵梨子演出で上演している。小川絵梨子は既に何度かマクドナーの作品を演出したことがあり、かなりこなれていると思う。 舞台はあん…

個人的に、抽象表現主義が嫌いだとキツい〜新国立『RED』

新国立で小川絵梨子演出『RED』を見てきた。この作品は『スカイフォール』の脚本家で、芝居としては『ピーターとアリス』などを書いたジョン・ローガンの戯曲である。マーク・ロスコについての芝居なのだが、ロスコ役は田中哲司、助手のケン役は小栗旬である…

過去・現在・未来、音楽と笑いはどこにある?銀河劇場『夜想曲集』

銀河劇場で小川絵梨子演出『夜想曲集』を見てきた。原作は言わずと知れたカズオ・イシグロの短編集である。夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)posted with amazlet at 15.05.14カズオ イシグロ 早川書房 売り上げランキング: 17,91…

ポモセクシュアリティと歴史〜『ヒストリー・ボーイズ』

けっこう前になるのだが、世田谷パブリックシアターでアラン・ベネット作、小川絵梨子演出『ヒストリー・ボーイズ』を見た。なんか私、この芝居を本で読んだ気がしていたのだが、見てみたら覚えがなかったので勘違いだったみたい… 舞台は80年代シェフィール…