異性装

オールフィメールで「女の芝居」をやる陥穽〜女体シェイクスピア『迷走クレオパトラ』

柿喰う客の女体シェイクスピア006『迷走クレオパトラ』を見た。 セットは同時上演の『暴走ジュリエット』とほぼ同じで、背景が上下逆になっているだけ。台本も、普通にやると相当長い『アントニーとクレオパトラ』を一時間半に満たないくらいまでカットして…

荒ぶる乙女〜女体シェイクスピア『暴走ジュリエット』

柿喰う客の女体シェイクスピア005『暴走ジュリエット』を見てきた。女体シェイクスピアシリーズなのでオールフィメールのキャスティングである。 ステージは後ろにアーチ状の背景(同時上演の『迷走クレオパトラ』ではアーチが上下逆向きに設置されていた)が…

楽しい喜劇だが、ドタバタに走りすぎな気も〜Dステ『十二夜』

Dステのオールメール『十二夜』を見てきた。笑いが多くて楽しく見られる喜劇だが、ちょっとドタバタに走りすぎでうまくいってないところもある気がした。 とりあえず、この間見たアイドル舞台の『ハムレット』が結構ひどかったので、女性に人気のある若いイ…

ブレヒトのようなシェイクスピア〜柿喰う客、オールフィメール『女体シェイクスピア004 失禁リア王』

ずっと見に行きたいと思っていたがロンドンにいたもんで行く機会がなかった柿喰う客の女体シェイクスピアを初めて鑑賞。演目は『失禁リア王』で、これはオールフィメールでシェイクスピア作品を上演する企画の第四弾である。実は10月のシェイクスピア学会で…

詰め込みすぎでは?佐伯順子『「女装と男装」の文化史』

佐伯順子『「女装と男装」の文化史』(講談社、20090)を読んだ。 日本と英語圏を中心にいろいろな文学・漫画・舞台芸術・映画などに登場する女装・男装の使用とその意味合いを比較検討するというもので、各論ひとつひとつは非常に面白く、いくつか選んですぐ…

ドンマーウェアハウス座、オールフィメール『ジュリアス・シーザー』〜プロペラの罪は重い

ドンマーウェアハウス座で男役を含めて全て女優が演じる『ジュリアス・シーザー』を見てきた。女子刑務所で『ジュリアス・シーザー』を上演するという設定で、何もない灰色のセットにイスやテーブルなど最小限の小道具でやる野心的なプロダクションである。 …

アポロ座、オールメール『十二夜』〜マーク・ライランスのオリヴィアにスティーヴン・フライのマルヴォーリオというだけで至福ですよ

アポロ座で『十二夜』を見てきた。夏に『リチャード三世』と一緒にグローブ座で上演されたオールメール二本立てのうちのひとつで、グローブからアポロに移動して上演。マーク・ライランス主演の『十二夜』は10年前にティム・キャロル演出でグローブで初演さ…

1980年代にオスカー・ワイルドがいたらどうなる?ブリクストンクラブハウス、ボーイ・ジョージ製作のミュージカル『Taboo』

ブリクストンクラブハウスでボーイ・ジョージが製作したミュージカル『Taboo』の再演を見てきた。 クラブの内部。私の席からとった写真なのだが、目の前の花道みたいなところから時々ものすごい勢いで役者が入ってくるので近すぎて若干危険。隣の席の人が手…

ハックニーエンパイア座、オールメール版『ペンザンスの海賊』

ハックニーエンパイア座でサーシャ・リーガン演出、オールメール版『ペンザンスの海賊』を見てきた。 ハックニーエンパイア座は国の指定建築物で、20世紀初頭のミュージックホールの雰囲気をよく残している建物である。 あらすじはこの間のを見ていただくと…

英語デビュー論文がやっと刊行されました

私の英語デビュー論文がやっと刊行されて手元に届きました。Kitamura Sae, 'Queens, Girls. and Freaks: Men in Women's Clothes and Female Audiences in Japanese Cross-Dressing Productions of As You Like It and Hedwig and the Angry Inch'. In Silvi…

マーク・ライランス主演、グローブ座『リチャード三世』

グローブ座でマーク・ライランス主演のオールメール版『リチャード三世』を見てきた。とにかく暑くて芝居を見る環境としては最悪だった…がまあなんとか。 ライランス(前のグローブ座の芸術監督)のリチャード三世はケヴィン・スペイシーやジョンジョ・オニー…

プロペラ『冬物語』〜DV男が改心する、というファンタジー

ハムステッド座でプロペラの『冬物語』を鑑賞。なんと機材トラブルで開演が三十分遅れたのだが、前にラウンドハウス座で『冬物語』を見た時も上演中にセットが半壊するという珍しいトラブルが発生したので、どうも私が冬物語を見に行くと必ず事故が起こるよ…

精神医学vsセクシャルマイノリティの抵抗〜ジョー・オートン『執事が見たこと』(What the Butler Saw)

ヴォードヴィル座でジョー・オートンのファース(笑劇)『執事が見たこと』(What the Butler Saw)を見てきた。主演はブラックアダーのティム・マキナリー。 ジョー・オートンは60年代にすごく人気のあった劇作家でイギリスではわりと有名だと思うのだが、1967…

英語論文が出ます

去年のパレルモのクィア学会で発表した受容史の論文がイタリアの出版社からプロシーディングズの一部として出ることになりました。7月末日発行予定ですが、8月にズレこむかも。Queer Crossings: Theories, Bodies, Texts またイタリアアマゾンでしか情報が出…

ハムステッド座、プロペラ『ヘンリー五世』〜男男していて悪くはない、が、もっとボディタッチが必要だ

ハムステッド座でたぶんイギリスで一番有名なオールメールシェイクスピアの劇団、プロペラによる『ヘンリー五世』を見てきた。演出はエドワード・ホール。 前に日本で同じプロペラの『ヴェニスの商人』と『夏の夜の夢』を見たときは女形を使う意味があまりよ…