イギリス映画

『芸術新潮』に『異人たち』のレビューを書きました

『芸術新潮』4月号に『異人たち』のレビューを書きました。書誌情報は以下の通りです。 北村紗衣「クィアな時空が解放するもの――『異人たち』」『芸術新潮』2024年4月号、p. 121。 芸術新潮 2024年4月号 作者:芸術新潮編集部 新潮社 Amazon

とくに新しい情報はないが、既出内容をコンパクトにまとめたドキュメンタリー~『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』

『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』を見た。フレディ・マーキュリーについてのドキュメンタリー映画である。正直なところ、今までクイーン関係のドキュメンタリーや本などにいくつか触れたことがある人にはあまり新しい情報は無いと思うのだが…

踊るサム・ロックウェル、足から刃物が生えた女、ネコ~『ARGYLLE/アーガイル』(試写、ネタバレあり)

マシュー・ヴォーン監督の新作『ARGYLLE/アーガイル』を試写で見た。 www.youtube.com シャイなスパイ小説家エリー(ブライス・ダラス・ハワード)はスパイ小説『アーガイル』シリーズで大ヒットを飛ばしていたが、ふだんは愛猫アルフィと静かに暮らしてい…

『芸術新潮』3月号に『COUNT ME IN 魂のリズム』のレビューを書きました

『芸術新潮』3月号に『COUNT ME IN 魂のリズム』のレビューを書きました。内容は「なんでロックのドラムの歴史に関するドキュメンタリー映画なのにラッシュのニールが出ていないのか」についてです。 芸術新潮 2024年3月号 作者:芸術新潮編集部 新潮社 Amazon

白人男性中心すぎないか?~『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(試写、ネタバレあり)

タイカ・ワイティティ監督『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を試写で見た。米領サモアの代表サッカーチームがどん底状態から浮上するまでを描いた作品で、ある程度実話に基づいている。 www.youtube.com 米領サモアの代表サッカーチームは今まで1回もゴールを…

意外とシェイクスピアネタが多い歴史ものクィアロマンス~『Firebird ファイアバード』(ネタバレあり)

『Firebird ファイアバード』を見た。 www.youtube.com 舞台は1970年代末、同性愛が非合法であったソ連支配下のエストニアのタリンに近い空軍基地である。もう少しで除隊になるセルゲイ(トム・プライアー)は、同じく写真好きである赴任してきたパイロット…

とても面白いが、原作とは別物のスチームパンクコメディ~『哀れなるものたち』(試写)

ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』を見てきた。アラスター・グレイの同名小説の映画化である。 www.youtube.com ロンドンに住む医者のゴッドウィン(ウィレム・デフォー)は自殺した若い妊婦の身体に胎児の脳を移植し、ベラ(エマ・ストーン)…

ポッシュな人たちが怖がるもの~『ソルトバーン』(配信、かなりネタバレあり)

エメラルド・フェネル監督『ソルトバーン』を配信で見た。 Saltburn Barry Keoghan Amazon 舞台は2000年代半ば頃のオクスフォードである。奨学金をもらって進学してきたオリヴァー(バリー・キョーガン)は、エリートばかりの環境になかなかなじめない。とこ…

ちょっとリアル風味のロマコメ~『きっと、それは愛じゃない』(試写、ネタバレあり)

『きっと、それは愛じゃない』を試写で見た。 www.youtube.com 映像作家のゾーイ(リリー・ジェームズ)は、幼なじみであるパキスタン系医師のカズ(シャザト・ラティフ)がパキスタンの女性とお見合い結婚を目指しているということで、これを取材してドキュ…

まあ、いつものリーアム・ニーソン~『バッド・デイ・ドライブ』(試写)

『バッド・デイ・ドライブ』を試写で見た。 舞台はベルリンである。仕事人間で妻や子どもとあまりうまくいっていないマット(リーアム・ニーソン)がたまたま車に子どもたちを乗せた日、車に爆弾を仕掛けたという脅迫電話がかかってくる。座席の下に設置され…

いいところはあるが、ちょっと気になるところも…『ヒッチコックの映画術』

『ヒッチコックの映画術』を見た。『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』を撮ったマーク・カズンズによるさらなる映画史ドキュメンタリーである。ヒッチコック本人の語りを模したナレーション(アリステア・マクゴーワン)により、ヒッチコックのい…

出入り口を間違えるジェイソン・ステイサム~『オペレーション・フォーチュン』(試写)

ガイ・リッチー監督の新作『オペレーション・フォーチュン』を試写で見てきた。 www.youtube.com イギリスのコワモテスパイ、オーソン・フォーチュン(ジェイソン・ステイサム)は休暇中のところ、急に呼び出され、何だかよくわからない謎のやばいものについ…

不屈のデザイナーを襲う悪夢のロジスティックス地獄~『ファッション・リイマジン』(試写)

ベッキー・ハトナー監督『ファッション・リイマジン』を試写で見た。ファッションブランドであるマザー・オブ・パールのデザイナーであるエイミー・パウニーのサステイナブルファッションへの取り組みを追ったドキュメンタリーである。 www.youtube.com エイ…

ワム!の来歴がよくわかるドキュメンタリー~『ワム!』(配信)

Netflixで『ワム!』を見た。タイトルからわかるようにワム!のドキュメンタリー映画である。 ワム!はジョージ・マイケルがメインでアンドルーがオマケみたいに扱われることもあるが、このドキュメンタリーを見てわかるのは、ワム!のカラーはけっこうアン…

『ロスト・キング 500年越しの運命』に推薦コメントを寄せました

『ロスト・キング 500年越しの運命』に推薦コメントを寄せました。イギリスでよくある地味でぬるめの人情系実話ものかな…と思って見る前はちょっとナメていたのですが、見たら想像以上に私の好みの映画だったので、この映画は本気でいろんな人にすすめたいと…

あまりぱっとしない伝記もの~『ウェルカム トゥ ダリ』(試写)

メアリー・ハロン監督の新作『ウェルカム トゥ ダリ』を試写で見た。 www.youtube.com 画廊で働くジェームズ(クリストファー・ブライニー)を視点人物とし、ダリ(ベン・キングズリー)と妻ガラ(バルバラ・スコヴァ)の波瀾万丈な生活を描いたものである。…

字幕が少なすぎないか…『コンサート・フォー・ジョージ』(試写)

試写で『コンサート・フォー・ジョージ』を見てきた。2002年11月29日にジョージ・ハリスンの追悼のためにロイヤル・アルバート・ホールで開催されたコンサートの記録映画である。ジョージの家族とエリック・クラプトンがメインで企画された。 コンサートじた…

あれって何だったんだろう…『aftersun アフターサン』(ネタバレあり)

シャーロット・ウェルズ監督『aftersun アフターサン』を見てきた。 www.youtube.com 1990年代末、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)が31歳になる父カラム(ポール・メスカル)とトルコで過ごした休暇を、その20年後に大人になったソフィ(セリア・ロール…

『芸術新潮』で映画評連載を始めました

6月号より『芸術新潮』にて映画評連載を始めました。野崎歓先生の後に1年間ということでやる予定です。初回はApple TV+の『テトリス』をとりあげました。書誌情報は以下のとおりです。 北村紗衣「芸術としてのゲームをめぐる攻防(『テトリス』)」『芸術新…

演技はいいが、内容はよくある家庭劇~『The Son/息子』(試写、ネタバレ注意)

試写 フロリアン・ゼレール監督『The Son/息子』を試写で見た。 www.youtube.com ピーター(ヒュー・ジャックマン)は妻ケイト(ローラ・ダーン)と離婚し、若いベス(ヴァネッサ・カービー)と再婚して息子セオが生まれたばかりである。ところが前妻ケイト…

ちょっといろいろ気になるところが…『エンパイア・オブ・ライト』(試写、ネタバレ注意)

サム・メンデス監督の最新作『エンパイア・オブ・ライト』を試写で見てきた。 www.youtube.com 舞台は1980年代初頭のマーゲイト(海辺のリゾート地)である。地元の映画館でマネージャーをしているヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、ボスである既婚者の…

ホームビデオっぽさもあるドキュメンタリー~『If These Walls Could Sing アビー・ロード・スタジオの伝説』

ディズニー+で配信中の『If These Walls Could Sing アビー・ロード・スタジオの伝説』を見た。アビー・ロード・スタジオに関するドキュメンタリー映画で、ポールとリンダのマッカートニー夫妻の娘であるメアリー・マッカートニーが監督している。 基本的に…

馬を通したコミュニティ再生~『ドリーム・ホース』

『ドリーム・ホース』を見た。『シャーロック』『トーチウッド』『ドクター・フー』などの仕事をしていたユーロス・リン監督によるウェールズ映画で、実話をもとにしている。 www.youtube.com 2000年代頃のウェールズの谷間にある田舎の村が舞台である。昼は…