ベケット

ある意味、最高のゴドー~『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』(ネタバレあり)

エマニュエル・クールコル監督『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』を見た。現代が舞台のフランス映画だが、お話は80年代にスウェーデンに起こった実話をもとに脚色したものである。 www.youtube.com 売れない役者のエチエンヌ(カド・メラッド)…

キャストは魅力的だが、やはりつらい~ニュー・グループ・オフ・ステージ『ゴドーを待ちながら』(配信)

ニュー・グループ・オフ・ステージの『ゴドーを待ちながら』を有料配信で見た。スコット・エリス演出で、イーサン・ホークがウラジーミル、ジョン・レグイザモがエストラゴン、ラッキーがウォレス・ショーン、ポッツォがタリク・トロッターという豪華キャス…

表象文化論学会第14回大会、パフォーマンス「ARICA Presents『終わるときがきた』──ベケット『ロッカバイ』再訪」

京大で開催された表象文化論学会第14回大会1日目に行ってきた。企画委員長なので(?)ちゃんと実況してまとめた。 togetter.com 表象文化論学会の大会ではパフォーマンスが上演されることになっているのだが、今回はなんと開催校からのコミッションでARICAに作…

舞台に出る月~札幌文化芸術劇場hitaru、斎藤歩演出『ゴドーを待ちながら』

新しくできた札幌文化芸術劇場hitaruのスタジオで、斎藤歩演出『ゴドーを待ちながら』を見てきた。 セットはシンプルで木が一本あるだけなのだが、横に長いセットで、そのセットの縦の辺を囲むようにして二方向に客席がある(満員でパイプ椅子を追加してた)。…

つらい。〜こまばアゴラ『出口なし/芝居』

こまばアゴラ劇場で双身機関『出口なし/芝居』を見てきた。『出口なし』はジャン=ポール・サルトル作、『芝居』はサミュエル・ベケット作の不条理劇で、この二作を同じセットで続けてやるというものである。演出は寂光根隅的父である。『出口なし』は一度…

正攻法に人生がつらい〜Kawai Prooject『ゴドーを待ちながら』

こまばアゴラ劇場でKawai Project『ゴドーを待ちながら』を見てきた。私の指導教員である河合祥一郎先生の新訳で、演出も河合先生がつとめている。 おそらく私が今まで見た中では一番正攻法で丁寧な『ゴドーを待ちながら』である。セットは何もない舞台に木…

若いのに、こんななのか〜東京乾電池『ゴドーを待ちながら』

ザ・スズナリで劇団東京乾電池の『ゴドーを待ちながら』を見てきた。柄本佑と柄本時生主演ということで、ウラジミールとエストラゴンがかなり若い。 非常にちゃんとした『ゴドー』だと思ったのだが、とりあえず柄本兄弟が出てきた瞬間になんともいえない出オ…

ベケットはつらい。人生もつらい。でもそれはくだらないってことじゃない〜サミュエル・ベケット『ソロ』

シアターχで、アイルランドの劇団マウス・オン・ファイアによるサミュエル・ベケット『ソロ』公演を見てきた。ベケットの比較的短い一人芝居、『わたしじゃない』『モノローグ一片』『クラップの最後のテープ』を連続上演するというもの。 一言で言うと、感…

ヘイマーケット座、イアン・マッケラン主演『ゴドーを待ちながら』

ヘイマーケット座、イアン・マッケラン主演『ゴドーを待ちながら』を見てきた。 全体的に面白かったと思うのだが、ひとつ思ったのは、『ゴドーを待ちながら』は見ていてすごいつらい芝居だということである。つらいというはチェーホフみたいに人間に対する視…