オペラ

音楽は楽しいが、話はけっこうメチャクチャだと思う~『後宮からの逃走』

日生劇場でモーツァルト『後宮からの逃走』を見てきた。初めて生で見る演目である。 誘拐されてトルコの後宮に売られた恋人、コンスタンツェ(安田麻佑子)を救出すべく、ベルモンテ(山本耕平)が太守セリム(大和田伸也)の宮廷にやってくる。コンスタンツェはセ…

ギンギラギンにさりげないエレクトリックアンドロイドモーツァルト~日生劇場『コジ・ファン・トゥッテ』(ネタバレあり)

日生劇場で菅尾友演出『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。この作品については既に連載で記事も書いているくらいなのだが、びっくりするような演出だった。 この作品の舞台は「ネオポリス」で(ナポリっぽい名前ではあるが、18世紀のナポリではない)、LED…

メチャクチャな世界~METライブビューイング『コジ・ファン・トゥッテ』

METライブビューイングで『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。 www.youtube.com この演目は一度だけ舞台で見たことがあってけっこう気に入ったのだが、今回見たこちらは以前の新国立とはかなり違った演出だ。この話は筋立てなずいぶんとしっちゃかめっち…

ストラトフォード(8)踊って歌って大笑い〜『軍艦ピナフォア』

レズリー・ウェイド演出、ギルバート・アンド・サリヴァンの『軍艦ピナフォア』を見てきた。 『軍艦ピナフォア』は、話じたいはメチャクチャな作品である。軍艦ピナフォアの水兵レイフはコーコラン船長の娘ジョゼフィンに恋しているが、身分の違いでなかなか…

水のキプロス〜新国立劇場『オテロ』

新国立劇場でヴェルディ『オテロ』を見てきた。マリオ・マルトーネ演出、パオロ・カリニャーニ指揮である。このオペラを見るのは初めてだ。 オペラは初心者なのであまり詳しいことはわからないのだが、歌は「柳の歌」が良かったと思う。話はかなり大胆にカッ…

絵の中の出来事〜新国立劇場オペラ研修所修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』

新国立劇場オペラ研修所修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』を見てきた。見たことがない演目で見たいと思っていたし、去年演劇研修所の公演がなかなか良かったので、行ってきた。 お話じたいはナンセンス艶笑落語みたいな展開の物語である。18世紀末頃のナポ…

豪華な上演〜METライブビューイング『ロメオとジュリエット』

METライブビューイングでグノーの『ロメオとジュリエット』を見てきた。指揮者がジャナンドレア・ノセダ、演出がバートレット・シャーである。この演目を見るのは初めてである。 シェイクスピアの原作の最初をばっさりカットして恋人たちの動きだけにフォー…

細かい美術や照明が良かった〜新国立劇場『ラ・ボエーム』

新国立劇場で『ラ・ボエーム』を見てきた。言わずと知れたプッチーニの有名オペラで、栗國淳が演出である。 オーソドックスだが美術や照明などにとても気を遣った演出だった。基本的にどの場面でも最初はスクリーンに風景などを投影するところから始まり、こ…

話は緩いが、音楽はドラマティック〜METライブビューイング『ロベルト・デヴェリュー』

METライブビューイングで、ドニゼッティ『ロベルト・デヴェリュー』を見てきた。METライブビューイングを見るのははじめてである。 話はエリザベッタ(エリザベス一世)が自分を裏切ったエセックス伯ロベルト(ロバート・デヴルー)を処刑するまでを描くものであ…

アッシュランド(4)オレゴン・シェイクスピア・フェスティバル『ザ・ヨーメン・オブ・ザ・ガード』

オレゴン・シェイクスピア・フェスティバル、二日目はまず舞台美術についてアーティストのレクチャーを聞いた。「木を木っぽく見せるだけで結構たいへん」とか、面白い話がたくさん聞けた。子どもたちをアシスタントにして製作の実演もあった。 その後マチネ…

夢か芝居か〜オペラ『クラブマクベス』(少しネタバレあり)

吉祥寺シアターでこんにゃく座のオペラ『クラブマクベス』を見てきた。林光作曲、郄瀬久男台本による『マクベス』の翻案である。 疲れた勤め人の男がひょんなことからマクベスを上演しているクラブに入り込み、いつのまにか芝居の内容に自分を同一化していっ…

音楽は良かったが、芝居のほうが…北とぴあ『妖精の女王』

北とぴあでパーセル『妖精の女王』を見てきた。シェイクスピア『夏の夜の夢』にパーセルがマスクの音楽をつけた翻案で、王政復古期のシェイクスピアの翻案としてはおそらく現代でも唯一上演されている演目だ。以前グラインドボーンで見たことあるので、これ…

ヨークシャ(7)ハロゲイト国際ギルバート・アンド・サリヴァン・フェスティヴァル

さてさて、本命であるギルバート・アンド・サリヴァン・フェスティバルのレポートである。 ギルバートとサリヴァンは19世紀末に活躍した喜歌劇の作者チームで、ギルバートが台本作家、サリヴァンが作曲家である。この人たちが作った一連の演目はサヴォイ・オ…

愉しい作品だが、ポッシュすぎて…〜東京芸術劇場『メリー・ウィドウ』

東京芸術劇場でフランツ。レハールのオペレッタ『メリー・ウィドウ』を見てきた。大変有名な作品だが、見るのは初めて。 これはヨーロッパの架空の小国ポンテヴェドロ出身である富裕な寡婦ハンナ(タイトルロールである「陽気な寡婦」)の財産をめぐって男たち…

モダナイズの難しさ〜東京芸術劇場、日本版『こうもり』

東京芸術劇場でヨハン・シュトラウスの『こうもり』を見てきた。オリジナルは19世紀ウィーンの社交界を舞台にしたものだが、こちらの上演は舞台を現代日本にし、主役のアイゼンシュタインは東京に住むオーストリア人の証券ディーラーに、妻のロザリンデは元…

南アフリカ版、イサンゴ・アンサンブルの『ラ・ボエーム』

東京芸術劇場でイサンゴ・アンサンブルの『ラ・ボエーム』を見てきた。名前や設定を全て現代南アフリカにモダナイズした翻案である。元のオペラはクリスマスの寒い時期が舞台なのだが、南アフリカはクリスマスが夏なので、寒さを演出するため舞台は6月の反ア…

『アメリカン・イディオット』〜60年代ガールポップの後継者としてのグリーンデイ

ハマースミスアポロでグリーンデイのアルバムに基づいたロックオペラ『アメリカン・イディオット』を見てきた。曲は二枚のコンセプトアルバム『アメリカン・イディオット』及び『21世紀のブレイクダウン』からとってきている。主筋は『アメリカン・イディオ…

イングリッシュナショナルオペラ『カルメン』〜しょっぼいDVドキュメンタリーみたいだった

イングリッシュナショナルオペラでカリスト・ビエイト演出『カルメン』を見てきた。一言で言うとしょぼいDVドキュメンタリーみたいでひどくつまらなかった。 舞台は1970年代頃のフランコ政権下のスペイン(この間のフィガロと同じだな!)。強圧的で女をいじめ…

チャリング・クロス座『ラ・ボエーム』〜現代ロンドンを舞台にした超リアルなパブオペラ版再演

チャリング・クロス座でオペラアップクローズの『ラ・ボエーム』を見てきた。2009年に始まったパブオペラ版の再演で、去年オリヴィエ賞をとって巡業したあと小劇場であるチャリング・クロス座に移動ということで、かなりのロングラン公演である。 舞台は原作…

グラインドボーンツアー『フィガロの結婚』、ニューウィンブルドン座〜ツアーではスポーツカーをカット…

ニュー・ウィンブルドン座でグラインドボーンツアー公演『フィガロの結婚』を見てきた。言わずとしれたモーツァルトの有名オペラで、グラインドボーン音楽祭伝統の演目でもあるのだが、今回は演出を一新したバージョンらしい。 舞台は1960年代あたりのスペイ…

イングリッシュナショナルオペラ、ヘンデル『ジュリアス・シーザー』〜音楽は良いが演出が絶望的

イングリッシュナショナルオペラで『ジュリアス・シーザー』を見てきた。音楽は良いのだが演出が絶望的にひどかった。 話はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』とは無関係で、コルネイユの『ポンペイの死』と同じあたりの話を扱っている(重点の置き方…

イングリッシュナショナルオペラ『ドン・ジョヴァンニ』〜演奏や歌はいいけど、イマイチなところも多数

イングリッシュナショナルオペラでモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』を見てきた。演出は『Dr. Dee』をやったルーファス・ノリス。学生スタンバイでかなり良い席をとれたせいで基本的には楽しめたのだが、イマイチなところも多数。 セットをぐるぐる回転…

イングリッシュナショナルオペラ『魔笛』〜『戦艦ポチョムキン』と比べよう!

イングリッシュナショナルオペラでニコラス・ハイトナー演出の『魔笛』を見てきた。1988年に初めて製作された人気のヴァージョンで、今回が最後の再演になる予定だとか。 前回ドイツ語版をロイヤルオペラで見た時は話が意味不明で洗脳カルト入信をすすめる内…

キングズヘッド座『トスカ』〜パブで豪華なセットが使えないのを逆手に舞台を1989年の東ベルリンに!

キングズヘッドパブシアターでオペラアップクロースの『トスカ』を見てきた。 とりあえずパブでの低予算上演で豪華なローマのセットとかが全く使えないのを逆手にとり、何もないところに長いテーブルやイスだけ入れて、後ろにスターリンの絵と1989年のカレン…

ハックニーエンパイア座、オールメール版『ペンザンスの海賊』

ハックニーエンパイア座でサーシャ・リーガン演出、オールメール版『ペンザンスの海賊』を見てきた。 ハックニーエンパイア座は国の指定建築物で、20世紀初頭のミュージックホールの雰囲気をよく残している建物である。 あらすじはこの間のを見ていただくと…

♪海賊王はたのしいな〜♪キングズヘッド座でパブオペラ『ペンザンスの海賊』

キングズヘッド座でパブオペラ版『ペンザンスの海賊』を見てきた。ギルバート&サリヴァンもパブシアターも久しぶり。実は来週同じ演目のオールメール版を見に行くので本日は予習のつもりだったのだが、想像以上に面白かった。 とりあえず話はギルバート&サ…

グラインドボーン音楽祭、夏夢の翻案オペラ『妖精女王』〜これがヨーロッパか!これが階級社会か!これがオペラオタクか!

イギリスの夏の一大フェスティヴァル、グラインドボーンフェスティヴァルに行ってきた。 と言うとまるでロックフェスにでも行ってきたようだが、これはオペラ祭りである。しかもカミクズヒロイみたいな格好で行っても平気なエディンバラフェスティヴァルとか…

ロンドンコロシアム座、ケープタウンオペラによるソウェト版『ポーギーとベス』〜男性性と身体障害

ロンドンコロシアム座でケープタウンオペラによる『ポーギーとベス』を見てきた。言わずとしれたガーシュウィンの有名作で舞台はアメリカ南部なのだが、ケープタウンオペラによる上演ということで舞台はアパルトヘイト時代のソウェトに移され、セットも南ア…

バーミンガム街歩き(4)ウェルシュナショナルオペラ『ラ・ボエーム』

バーミンガムの夜最後のお楽しみということで、バーミンガムヒッポドロム座でウェルシュナショナルオペラの『ラ・ボエーム』を見てきた。本当ならバーミンガムロイヤルバレエが見たかったけどあいにく公演がなかった。 とりあえずは劇場のあるチャイニーズク…

ロイヤルオペラ、シュトラウスの『サロメ』〜ユダヤのナチス?演出にかなり疑問あり

ロイヤルオペラの学生特割でシュトラウスの『サロメ』を見てきた。オスカー・ワイルドの戯曲を原作とし、元テキストをドイツ語に翻訳、カットや編集を加えてオペラとしたもの。 とりあえず音楽自体は劇的でエロティックで、あまりわかりやすくはないのだがこ…