わりと好みが分かれそうな演出~王立スウェーデンオペラ『夏の夜の夢』(配信)

 王立スウェーデンオペラ『夏の夜の夢』を配信で見た。トビアス・テオレル演出、サイモン・クロフォード=フィリップス指揮によるプロダクションである。2023年5月12日に上演された公演の録画である。

 暗めの舞台で、中盤までは全体が寝室で展開される。ただのベッドルームではなく、上からいろいろなものがぶら下がっていて、悪い夢でも見ているような感じのヴィジュアルである。妖精たちはランプシェードをかぶって出てきたりするのだが、これも悪夢っぽい。職人劇団はスーツを着ていて職人というよりは事務職の集まりみたいな感じで、ふだんはけっこう真面目な人たちがたまにハメを外してお芝居を…というような印象だ。最後の劇中劇はボックス席に新婚のカップルたちが座って劇場で行われるという設定なのだが、ここはわりと暗い上に引きの画面が少なくてちょっと配信だと全体の見栄えがわかりにくいところもある。ブリテンの音楽の不協和音とかきしみに合わせた感じの美術で、ちょっと好みが分かれそうだと思う。悪くはないのだが、ただベッドがあるところでやる『夏の夜の夢』というのはわりとよく見かけるので、ものすごく独創的というわけでもないような気はした。