The Lord Chamberlain's Menの『夏の夜の夢』を見た。The Lord Chamberlain's Menというのはシェイクスピアが働いていた宮内大臣一座と同じ名前で、オールメールで家族向けに野外上演をする劇団によるシェイクスピア上演である。ピーター・スティックニー演出により、2019年にオスタリー・パークで行った上演の映像である。
真ん中に黄色と緑の縞模様の幕があるステージを設置しており、この幕の後ろに楽屋みたいなものがあるようで、基本的に役者はここから出入りする。妖精たちはこの幕の上の部分から恋人たちのいさかいを眺めてるようになっている。幕の前には木を模した簡単なセットがあり、森を表現している。シンプルなセットだがけっこう効果的で、周りの木々ともあいまって非常に『夏の夜の夢』にピッタリの雰囲気になっている。恋人たちのいざこざを整理するためにパックが活躍する場面ではみんなが慌ただしくこの幕から出たり入ったりしており、その後のパックは全くへとへとになっている。
全体的には面白おかしいところもたくさんあり、また歌がふんだんに使われていて、野外上演らしい楽しいプロダクションである。劇中劇の壁はけっこうぱっくり割れていて、しかも壁じたいの態度がデカく、前後でピラマスとシスビーが右往左往して笑わせてくれる。妖精たちのフランス語の歌にあわせてティターニアとオベロン（ヒポリタとシーシアス役を兼ねる）が踊るところなどはわりとしっとりしていて雰囲気も良い。上演時はけっこう風が吹いていたようなのだが、野外上演の撮影にしては音声やカメラワークもけっこうちゃんとしていて見やすい上演だ。
