『私がビーバーになる時』を見た。
アメリカの地方都市ビーバートンに住む日系の少女メイベル(パイパー・カーダ)は動物が大好きで、自然を愛するおばあちゃん(カレン・ヒューイ)に育てられた。大学に入ったメイベルは、おばあちゃんとの思い出の池が道路工事でつぶされそうになるのを防ぐべく反対運動を始めるが、なかなかうまくいかない。メイベルは大学で意識転送によって動物に化けることができる装置が開発されているのを知り、この装置を使ってビーバーに化け、ビーバーのコミュニティに潜入するが…
ピクサーアニメなのだが、子ども向けのかわいいアニメにしてはけっこう暴力的…というか、突拍子もないB級アクションみたいな娯楽性がある映画である。主要なキャラの殺害が2回発生し、しかもそのうちの1回は事故だがヒロインが下手人である。虫の王子タイタス(デイヴ・フランコ)まわりの展開はボディホラーみたいで、クローネンバーグが子ども向けのアニメを撮ったらあんな感じになりそうな気がする。中盤はヒッチコックの『鳥』みたいになり、さらに途中からなぜかサメ映画になる(しかもサメが空から降ってくるので、サメ映画の中でもだいぶバカなほうのサメ映画なのではないかと思う)。最近、やっぱり変な設定のビーバー映画である『FEVERビーバー!』も公開されたが、スラップスティックな暴力が売りということで案外共通点があるかもしれない。
ヒロインのメイベルは、まあ動物と話せるのでディズニープリンセスみたいなキャラクターではあるのだが、計画性がなく無鉄砲で、この欠点だらけなところが人間らしいとも言える(そういえばやっぱり暴力ディズニープリンセスみたいな人が主人公の『クレイヴン・ザ・ハンター』なんていう映画もあった)。敵役である市長のジェリー(ジョン・ハム)も、強引で欲張りで見た目にばかり気を遣うだいぶ困った人なのだが、極悪人というわけではなく、人間味はある。このへんのキャラクターの悪いところと良いところが哺乳類の王であるジョージ(ボビー・モイニハン)の、どんな生き物にもよいところがあるという信念をキーにして描かれており、全体的には心温まるお話…なのだが、一方で動物をすごく擬人化しているし、とくに終盤は人間にとって都合が良すぎる展開ではある。
