愉しい作品だが、あのメイクは要るのかねぇ~『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』

 東急シアターオーブで『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』を見てきた。デロリスは森公美子、カーティスは今卓哉の版だった。既に英語版は一度生で見たことがある。

 ろくでもない男であるカーティスにひっかかってしまい、うだつのあがらない人生を生きていたデロリスが、殺人事件をきっかけに身を隠した修道院で修道女たちに歌を教えることで人から必要とされ、互いに敬愛しあうことの重要性や、女性同士の友愛の素晴らしさを学ぶという愉しい作品である。デロリスを演じている森公美子の存在感がすごく、とにかくパワフルである。警官のエディが高校時代からデロリスに夢中だったのも納得だ。

 ただ、やはりちょっと気になったのがいわゆるメイクである。昔ながらのブラックフェイスに比べるとだいぶ控えめで自然にはなっているのだが、アフリカ系アメリカ人を演じている役者たちは浅黒いメイクをしている。この作品は人種差別が重要な要素ではあるのだが、森公美子くらい「他の人と違う」感のある役者なら、メイクなどは要らないと思う。

「MIDWEEK BURLESQUE vol.76 The Year-end Fabulous Party」

 「MIDWEEK BURLESQUE vol.76 The Year-end Fabulous Party」に行ってきた。前回のミッドウィーク・バーレスクは研究者観劇会ということで数人募って行ったのだが、今回はウィキペディア演芸関係執筆者観劇会だった。出演者はPrincipessa Elegante、Milah Swallowtail、Marie Horn、Rui Mariabella、Violet Eva、ゲストが歌手の赤松ハルカだった。

 久しぶりに復帰したMarie Hornがアイシスの翼を使った妖精みたいなショーをやっており、なかなか雰囲気があった。最後はPrincipessa EleganteとViolet Evaで、2人とも非常に迫力があり、グラマラスで良かった。

カクシンハン『ロミオとジュリエット』のアフタートークに出ます

 12/10 (火)にアトリエファンファーレで行われるカクシンハン『ロミオとジュリエット』にて、アフタートークに登壇いたします。よろしくお願い申し上げます。

kakushinhan.org

『Didion』3号に寄稿しています

 『Didion』3号に寄稿しています。演劇の特集で、カクシンハンとかしあわせ学級崩壊のこととかを書いております。よろしくお願いいたします。

errandpress.com

春のエクステンション講座では『ジョン王』をとりあげます

 春の早稲田大学中野校エクステンション講座では『ジョン王』をとりあげます。彩の国シェイクスピア・シリーズ第36弾『ジョン王』にあわせてやるつもりです。おそらく、定期で行うエクステンション講座はこれが最後になると思います。

www.wuext.waseda.jp

ウィキペディア・アジア月間の記事として[[ローガンジョシュ]]を作りました

 [[Wikipedia:ウィキペディア・アジア月間]]の記事として英語版からの翻訳でローガンジョシュを作りました。11月いっぱいなのですが、ギリギリ間に合いました。ローガンジョシュはカシミールの伝統料理で、羊肉などを使う香りのいいカレーの一種です。

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アメリカ政治がマトモだった時代の政治コメディを彷彿とさせる映画~『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(ネタバレ注意)

 『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』を見た(日本公開はだいぶ先なのでネタバレ注意)。

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 ジャーナリストのフレッド(セス・ローゲン)は会社を辞めることになり、失業中に出かけたパーティでふとしたことから子供時代の知り合いである国務長官シャーロット(シャーリーズ・セロン)に再会する。大統領候補を目指すシャーロットはスピーチライターとしてフレッドを起用するが、2人はどんどん接近して恋に落ちる。しかしながら、貧乏臭く先鋭的なライターであるフレッドとの恋は、パブリックイメージを守るため心を砕かねばならないシャーロットにとって政治的には鬼門である。2人の恋はうまくいくのか…

 

 ドナルド・トランプから悪意を取り除いたようなアホな大統領が出てくる作品ではあるものの、全体としては『デーヴ』(1993)とか『アメリカン・プレジデント』(1995)みたいな、アメリカ政治がまだまあ比較的まともだった時代に作られていた、よくできた政治コメディを思わせる作品である。さらに『プリティ・ウーマン』(1990)風の、エリートと貧しい苦労人の格差恋愛を盛り込んでいるのだが、ポイントはエリート政治家側が女性、貧しい苦労人が男性になっていることだ。

 シャーロットを演じるセロンとフレッドを演じるローゲンの相性が抜群で、この2人の掛け合いを見ているだけで面白い。シャーロットは完璧超人なのだが、いかにも政治の世界で生きてきた女性らしく、ものすごく用心深くてなかなか楽しいこと、面白いことに足を踏み出せない真面目さがある(ベクデル・テストはシャーロットと女性スタッフたちの会話でパスする)。しかしながらそのせいでストレスがたまっているようで、内輪の場ではやたらとFワードを連発するなど、ちょっとイラついているところがある。一方でフレッドは金稼ぎは下手だがとてもユーモアのセンスがあり、一緒にいるとすごく愉しくてリラックスできる人物だ。2人で互いに足りないところを補っているうちに恋に落ちていくわけだが、最近見たロマンティックコメディの中では主演同士のケミストリがすごくよく働いている。脚本もよく考えられており、最後、トラブル続きのこの恋をどうするかについてのシャーロットが決断を下すまでがしっかり描かれている。

 

 ただ、たぶん今のアメリカはあまりにも政治がメチャクチャなので、こういう90年代風の「良きアメリカ政治」への信頼が裏にあるような映画は受けないんだろうなーと思う。とても楽しい作品なのに、あまりお客さんが入らなかったらしいのは残念だ。