新刊『学校では教えてくれないシェイクスピア』 をよろしくお願い申し上げます。

DiffにESEAPカンファレンスのスカラシップ委員をつとめた経験について書きました

 DiffにウィキメディアESEAPカンファレンスのスカラシップ委員をつとめた経験について書きました。ウィキペディア25周年記念交流会のライトニングトークで話した内容に近いものです。タイトルは「内なるギャングスタラッパーを解放せよ」です。

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人間のあやふやさ~『リア王』

 彩の国さいたま芸術劇場で長塚圭史演出『リア王』を見て来た。

 舞台の真ん中に土を敷き詰めた土俵みたいなものがあるセットで、衣装は比較的モダンな感じである。台本はけっこうカットしてある…のだが、かなり長い芝居で、休憩前の第1部だけで2時間くらいある。あまり奇をてらったことはしておらず、ツボはおさえたしっかりした上演である。全体がリア王(吉田鋼太郎)の死の直前の記憶みたいな枠に入っている。

 リア王を中心にはしているものの、わりとリア王以外の登場人物にも目配りがきいたバランスのとれた上演である。とくにエドガー(藤原竜也)がトムになってからがめちゃくちゃ可笑しい…というか、序盤はけっこう抜けたところもある感じだったエドガーが変装して非常に頑張って狂気を装っている感じがあり、ふつうトムが出てくるところではあまりないような笑いが起こっていた。このため道化(中山祐一朗)が食われている感じがあり、道化の出てくるところよりもトムが出てくるところのほうが笑えるという変わった上演になっていたと思う。このプロダクションでは全体的に身をやつしている設定の人が非常に気合いの入った変装をしており、ケント(山内圭哉)も作り込んだヒゲをつけて別人みたいな装いで出てくる。さらに心を偽っているはずのエドマンド(矢崎広)も序盤から非常に真面目に悪いことをしているみたいな感じの人で、言い方は悪いが誠心誠意悪行に励み、その場その場で相手に気に入られそうな人を演じているという雰囲気だ。たぶん「人間の姿かたちやアイデンティティはけっこうあやふやで、多かれ少なかれみんな演じている」みたいなところがあるプロダクションなのだろうと思う。

 全体的には面白かったのだが、いくつか疑問点もあった。たとえば手紙を読む場面ではボイスオーバーみたいに書き手が脇で読むという形になっているのだが、実際にエドガーが書いていない手紙についても同じようなボイスオーバーが使われていて、わかりにくいと思った。あと、枠を作る最初と最後ではリア王だけが立っているのだが、最後はコーディリア(吉田美月喜)も立っていたほうが死の世界に入ったということでよいのでは…という気もした。

負けられるようになるまで~『スマッシング・マシーン』(試写)

 ベニー・サフディ監督『スマッシング・マシーン』を試写で見た。実在の格闘家であるマーク・ケアーの伝記ものである。

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 マーク・ケアー(ドウェイン・ジョンソン)は勝負で勝ち続け、恋人のドーン(エミリー・ブラント)とも愛し合って人生は順風満帆に見えた。しかしながら試合のストレスは厳しいもので、だんだんドーンとの仲も悪化し、痛み止めに依存するようになる。マークはリハビリをし、再び勝負に挑むが…

 強いアスリートが負けられるようになるまでを描くというような感じの話である。コンセプトじたいはけっこう興味深いと思うのだが、負けて終わりなのでスポーツ映画としては全然盛り上がらない展開で、けっこう厳しい人間ドラマだ。ジョンソンとブラントのケミストリは『ジャングル・クルーズ』で証明済みなのでなんとなく愛し合っているように見える…のだが、よく考えるとなんで最後にこの2人が一度よりを戻したのかもよくわからない(というかあの状況ならドーンは出て行くのではと思う)。こういうところも含めてちょっと時間配分とかどこに重点を置いて描くかに文句はある…のだが、主演ふたりの演技は良いし、アンチクライマックス的な人間ドラマとしてはまあつまらなくはないし、わりと考えて作ってはいると思う。

コンサート映画に見せかけたミュージシャンバイオピック~『EPiC エピック エルヴィス・プレスリー・イン・コンサート』(試写)

 バズ・ラーマン監督『EPiC エピック エルヴィス・プレスリー・イン・コンサート』を試写で見た。

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 ラーマンの前作『エルヴィス』のフォローアップ作で、エルヴィスの今まで公開されていなかった映像や音のないライヴ映像などを修復・編集した作品である。最初にちょっとエルヴィスの来歴に関する説明があるのだが、それ以降はいくつかのライヴやリハーサルの様子をつないでいる。見た印象はコンサート映画なのだが、何かひとつのコンサートを撮ったものではないので実はそういうわけでもない。ところどころにエルヴィスが自分の音楽をどういうものだと考えていたか、何を目指してライヴをやっていたのかがわかるようなフッテージが挟み込まれていて、アーティストかつショーマンとしてのエルヴィスの音楽性がわかるようになっているため、どっちかというとコンサート映画というよりは風変わりなミュージシャンバイオピックなのでは…という気がする。見終わった時に、エルヴィスがブルースやカントリー、ゴスペルをルーツとしつついろいろな音楽を取り入れてレンジを広げていたことがわかるようになっている。リハーサルの時でもやる気満々のエルヴィスはショーマンシップ満載なのだが、一方で完璧に作り込まれたショーをしようとしているわけでもなく、即興でちょっと毛色の変わったことをやったり、ステージ上で笑ってしまったり、そのへんも含めてエルヴィスのショーの面白さがわかるようになっている作品である。

紅い猫と踊る月vol.25

 新宿御苑のRossoで「紅い猫と踊る月vol.25」を見て来た。出演はTINY ULTRA&真山正臣、Maireen、NOA、Mickey Maverique、LOViN、Lily Delirium、Kenny Birkin、Aisha、Lady n@n@だった。今回はパロディっぽい演目が多く、TINY ULTRA&真山正臣は『チェンソーマン』のパロディだったそう…なのだが、私はこの漫画を全く知らないのでなんだかえらいシュールな内容だな…と思った。なんか胸をパッドで盛っているラムちゃんをガラ悪くしたような女が、頭と両腕からチェーンソーを生やしている男のところに居候しているラブコメ…みたいに見えたのだが、このタイトルでそんな話ではないのでは…という気がした。LOViNはジャミロクワイを使ったこれまたちょっとパロディ/オマージュっぽいもので、これが一番私好みだったかもしれない。Lady n@n@は『地獄に堕ちるわよ』ネタのこたつを使ったショーで、これはコミカルだが最後は解放があるという展開で面白かった。

 とくにパロディ要素がないショーもどれも良かった。Mickey Maveriqueはこの後カナダに移住されるということで、しばらくショーが見られなくなるそうだ。Lily Deliriumは最近復活したそうである。Kenny Birkinは相変わらずダイナミックだったし、Aishaのベリーダンスは大変綺麗だった。

「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」展

 「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」展を見てきた。実は私はYBAが全然得意ではなく、好きではないアーティストのほうが多いのだが、学生指導とかで必要だし…と思って見に行った。いいと思う作品とあまりピンとこない作品両方あり、一部ブリットポップ関係の展示もあって、資料としては面白かった。