動物園が舞台のロマンス~国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『動物園』(配信)

 国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭の配信で『動物園』(The Zoo)を見た。1幕物でサリヴァン作曲の作品だが、台本はB・C・スティーヴンソンによるものである。ノースウェストプロダクションズによる1幕物3本立てのうちのひとつで、演出はロバート・ベケット音楽監督はデヴィッド・グールデンである。

 動物園を舞台に2組の恋人たちを追った短いコメディである。話はどうってことないのだが、19世紀末の動物園が舞台で、ヒロインのひとりであるイライザ(ニコール・ボードマン)がそこでおやつを売っていたり、当時の動物園の様子がわかるところがあるのが面白い。なお、主人公のひとりトマス(サム・スノーデン)がイズリントン公爵だったのが最後にわかるのだが、どうもイズリントンは当時は完全な下町だったのでミスマッチが面白いということらしい(今はイズリントンはすっかりジェントリフィケーションでミドルクラスの街なのでわかりにくい)。