豪華な上演~モネ劇場『ヘンリー八世』(配信)

 モネ劇場『ヘンリー八世』の配信を見た。サン=サーンスの作品で、オリヴィエ・ピイ演出、アラン・アルティノグリュ指揮で、2023年5月16日の公演の映像である。原作はカルデロンの『イングランド国教会分裂』ではないかということなのだが、シェイクスピアフレッチャーの『ヘンリー八世』からの影響も若干あるようだ。

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 お話じたいはシェイクスピア劇とはかなり違い、メロドラマチックな展開である。ドン・ゴメス(エド・ライオン)というアン・ブーリン(ノラ・グビッシュ)の恋人が出てきて、その恋文をキャサリン(マリー=アデリーヌ・アンリ)が持っているとか、いろいろ恋愛がらみの展開がある。最後もどうもアンが失脚しそうな含みで終わる。19世紀にしてはルネサンスバロック的な響きの音楽を使っており、これは歴史ものなのでわざとらしい。

 2階建てで上にバルコニーがあり、下は白黒の格子柄の床が広がっている。だいたい現代的な衣装なのだが、最初の場面ではヘンリー(ライオネル・ロート)が記念撮影のため肖像画のヘンリー八世そのまんまの姿になるなど、歴史絵巻っぽい演出になっている。登場人物はみんな見栄っ張りというか、自分がどう見えるかに留意しており、それが崩れることに対して敏感で、見た目の華やかさはそういう登場人物の心理を表現するものにもなっている。バレエが入ったり、目にも耳にも華やかな大変豪華なプロダクションである。