バロック劇場での上演~ドロットニングホルム宮廷劇場『アグリッピーナ』(配信)

 ドロットニングホルム宮廷劇場でのヘンデル『アグリッピナ』上演を配信で見た。スタファン・ヴァルデマー・ホルム演出、フランチェスコ・コルティ演出で、2023年1月27日の公演を撮影したものである。

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 なにしろドロットニングホルム宮廷劇場はヨーロッパでも数えるほどしかない現役のバロック劇場なので、18世紀の装置を使って上演することができ、大変雰囲気がある。映像のほうも舞台上だけではなく、ウィンドマシンや機構類を映してくれることがあってちょっとふつうの上演と撮り方が違い、そのあたりも楽しい上演である。ただ、動画だとちょっと照明が行き渡らないところもあるので、たぶんその場で見たほうがずっと楽しいだろうな…という気はする。

 音楽や雰囲気などは申し分ないのだが、ちょっと気になったのは衣装である。古代ローマっぽいトーガ風な衣装と18世紀風のドレスが混ざった感じで、全体的にあまり色味のない衣装を用いており、バロック劇場でやるならもっと色味の派手な18世紀風の衣装で統一してやったほうがいいのでは…と思った。序盤と終盤でポッペア(ロベルタ・マメリ)の衣装が変わるのはたぶんポッペアが悪女として成長する様子を表現しているのだと思うのでそれは良いと思うのだが、それならなおさら終盤はもっと派手にしたほうがいいのではとも思う。