学校で上演するという設定の演出~『ミカド』(配信)

 2023年度の国際ギルバート・アンド・サリヴァン祭『ミカド』を配信で見た。サラ・ヘルスビー・ヒューズ演出、マリー・ヒプキン音楽監督による上演で、ナショナルG&Sオペラカンパニーによるものである。

 これまでけっこうナショナルG&Sオペラカンパニーはわりと伝統的な演出で『ミカド』をやっていたと思うのだが、去年『ペンザンスの海賊』を新しい感じの演出でやったヒューズの演出なので、この『ミカド』は学校で上演するというような枠に入っている。男子校が日本の紳士たちの役、たぶん近所の女子校の女生徒たちが娘たちの役で、3人娘はちょっと年上で、フィニシングスクールか女子大学かなんかの卒業生だと思われる。男子生徒たちがお花を持って「トララララ~♪」に合わせて踊るなど、楽しいところはたくさんあるし、歌はとてもいい。伝統的なエセジャパンの演出よりはずいぶん改善していると思うのだが、一方で学校という設定はちょっとセットが限られるなどあんまり効いてないところも多いなぁ…という気がした。