ちょっと詰め込みすぎでは…下北沢小劇場B1『しろばら』

 下北沢小劇場B1で『しろばら』を見た。『夏の夜の夢』の翻案である。

 タイトルが暗示しているように白バラ抵抗運動のショル兄妹がモチーフで、全体がハーミア(ゾフィ・ショルにあたると思われる人物)の夢という枠に入っている。このため『夏の夜の夢』の登場人物もみんなドイツ人っぽい設定になっている。ただ、この枠の導入があんまりスマートではなく、最初にきっちり枠を提示して最後にしめるシンプルな形にしたほうがいいように思ったのだが、途中で少しずつ枠ができるみたいな感じで、ちょっとごちゃごちゃしていると思った。このごちゃごちゃした印象は全体を通して続いており、ライサンダーにあたる人物がトランス男性だったり、途中でパックが失敗したせいでライサンダーとディミートリアスが相思相愛になったりするなど、若干クィアな味付けがあったと思ったらなんだかそれがあまりちゃんと回収されずに終わってしまったり、ティターニアとオーベロンの夫婦関係が不妊をめぐるメロドラマになってしまったり、いろいろなものを詰め込みすぎた感じになっている。また、容姿をくさすギャグとか、30歳を過ぎたら妖精になってしまうとか、そういう寒いジョークは要らないです…と思って見ていた。