童心の力~ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs立海

 観劇会で立川ステージガーデンにてミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs立海を見てきた。関東の決勝戦で、青学と超強豪である立海が戦い、青学が勝利するまでを描いている。最後にテニミュを見たのは新型コロナ前なので、だいぶ様変わりしていた。

 最初に見たのが青学vs六角で比較的明るく楽しい演目だったのだが、これは3時間40分にもわたってつらい試合が繰り広げられ(中学生の試合にしてはきつすぎてリアリティは皆無である)、選手がみんな終了時には死にそうな状態になっているので、見ているほうもけっこう体力が必要だった。しかもいずれのチームも部長が故障して休んでおり、立海の部長である幸村(潮見洸太)のほうは難病で長期入院しているというぐあいで、そのせいもあって選手がみんな精神的にあまり余裕が無い。私は話を全く知らないので、最後に幸村の手術の結果が明かされずにちょっと不安になるくらいだった(むちゃくちゃ具合が悪そうだったが、あの後、ちゃんと治るそうである)。

 全体としては、童心に返ってテニスを楽しむ重要性みたいなものに重点を置いた展開である。青学部長である手塚(山田健登)がリハビリに行った九州で小さな少女と出会い、そのおかげで精神的な問題を克服して肩が使えるようになる。一方、試合では幼い頃に一緒にダブルスをやり、一度だけ戦ってゲームが途中で中断したまま会っていなかったという過去のある青学の乾(塩田一期)と立海の柳(梶山武雅)が初めておおっぴらに戦うことになり、そこで子ども時代の乾と柳を演じる子役(それ以前に回想シーンで登場)も入ってきて2人が子ども時代に戻ったかのような形で戦うところがある。中学生が童心に返って…とはちょっとおかしい気もするのだが、この作品に出てくる連中は全く中学生らしくないプレーをするので、まあそういうもんだと思って見てよいのだろうと思う。

 前に見た時よりも歌に若干垢抜けた感じがあったり、照明などを含めて複雑になっていたり、役者がやらないといけないことが増えていたりして、だいぶハードな舞台になっているように見えた。なお、歌のクオリティはかなりイマイチで、手塚だけ抜群にうまかった。あと、立川ステージガーデンの悪評はいろいろ聞いていたのだが、初めて行ってみたところ、たぶん座った席の関係で視界よりも音響がとても悪かった(ひょっとして、歌がイマイチなのも音響のせいで役者自身にあんまり音が聞こえていないせいだったりする?)。