「おっさんレンタル」で母を探すヒロインの冒険~『search/サーチ2』(試写、ネタバレ超注意)

 試写で『search/サーチ2』を見てきた。『search/サーチ』の続編だが、同じ世界で展開し、話が全てスクリーン上で展開するというだけで、お話の上でのつながりは無い。英語タイトルは前作がSearching、今作がMissingで「2」とか続編を示すものが入っていないのだが、どっちかというと続編というよりは同じユニバースで展開するスピンオフという感じである。

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 18歳になったばかりのジューン(ストーム・リード)は、幼い頃に父を亡くし、母グレイス(ニア・ロング)に育てられた。ところがグレイスはボーイフレンドのケヴィン(ケン・レオン)とコロンビアに出かけて失踪してしまう。警察や大使館があまり頼りにならないと思ったジューンは、ネットで他人を雇って用事を頼めるサービスを使ってコロンビアのギグワーカーであるハビ(ヨアキム・デ・アルメイダ)を雇い、独自に捜査を開始する。

 前作同様、ちょっとヒッチコック風なスリリングなサスペンスものである。前作よりも新しいウェブサービスが登場し、かなり工夫のある使われ方をされていて、伏線もたくさんあり、楽しいスリラーだ。設定上そうならざるを得ないのだが、ヒロインのジューンが相当ウェブサービスを上手に使いこなせる若者で、いきなり日本の「おっさんレンタル」みたいなサービスでギグワーカーを雇ったりするあたり、ちょっとビックリするような発想だと思った。時給が安い国のおっさんレンタルをアメリカのミドルクラスの若者が雇うというのは経済格差を感じさせるのであんまり感じ良くはないのだが、レンタルおっさんのハビがなかなか良いキャラで、自身も息子との間に問題を抱えているのでわりとジューンに親身になってくれるというような細かい設定があるところは良かった。ウェブサービスの描き方はおおむねリアルなのだが、ただ機械翻訳についてだけは、いくらなんでも知らない原語を聞き取ってあんなに翻訳サービスを使いこなせる人はいないだろ…と思った。

 終盤にけっこう意外な展開があり、このあたりは是非共同親権問題とか離婚周りの法律などに興味がある人に見て欲しい…のだが、これ以上詳しく言うと完全なネタバレになるのでやめておこうと思う(この時点でかなりネタバレになってしまっている)。大変面白かったのだが、このあたりを詳しく話すと最後の驚きがなくなって面白みが減るので、けっこう人にすすめにくい。このへんの特性からして、リーチしてほしい層にリーチしにくそうな映画ではある。