皿割りオペラ~ヌーヴェル・オペラ・フリブール『真面目が肝心』(配信)

 ヌーヴェル・オペラ・フリブールの『真面目が肝心』を配信で見た。アイルランドの作曲家であるジェラルド・バリーがオスカー・ワイルドの戯曲を2012年にオペラ化した作品である。これは初演ではなく2019年のジュリアン・シャヴァズ演出のプロダクションで、オペラヴィジョンで期間限定配信されている。

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 現代風のカラフルでめちゃくちゃポップなセットや衣装を使ったプロダクションである。アルジャノン(エド・バラード)とジャック(ティムル・ベクボスノフ)は薄緑、グウェンドリン(ニナ・ファン・エッセン)とセシリー(アリソン・シェルツァー)はピンクの似たような服を着て同じ入りのヘアスタイルにそろえており、取り違えとアイデンティティの二重性が重要なこの芝居のコンセプトにあうファッションになっている。話の展開に合わせたタイミングでカラフルな格子模様が描いてある後ろの壁が動くのだが、これがちょっとユーモラスだ。

 音楽のほうはコミカルで大変現代的だ。こういう軽快なコメディにギシギシした現代音楽というのは、オペラ初心者としては最初はかなり面食らった。しかしながら、素っ頓狂な展開にあわせて急に音量や音色が変わったり、ギルバート・アンド・サリヴァン風の異常な早口やほとんどラップみたいなリズムだけの台詞になったり、メガホンやら皿を割る音やらが音楽に組み込まれていたり、笑えるようにいろいろと音楽のほうを工夫してあるので、少し慣れれば楽しめる(最後も皿割りで終わる)。レディ・ブラックネル(グリーム・ダンビー)は男性が歌っている。