エヴァ・ヴィティヤ監督『パトリシア・ハイスミスに恋して』を試写で見た。
ハイスミスのレズビアンとしてのアイデンティティと、それがどうハイスミスの作品にかかわっているかを探求したドキュメンタリーである。ハイスミスの恋人でレズビアン・パルプ・フィクションの作家だったマリジェーン・ミーカーや、『アル中女の肖像』にも出ていたベルリンのカリスマ的パフォーマーであるタリア・ブルーメンシャインなど早々たる面々が登場しており、ハイスミスがレズビアンカルチャーの中ではかなり大きな存在だったこと、一方でそれがあんまり一般読者の間ではハイスミスの作家性に接続されていなかったらしいことが示唆されている。また、ハイスミスと冷淡な母親との複雑な関係なども掘り下げられている。真面目な話が多いが、猫が出てくるところは可愛い。