新刊『学校では教えてくれないシェイクスピア』 をよろしくお願い申し上げます。

わざわざタイトルを変える意味があるのか…『西に黄色のラプソディ』

 『西に黄色のラプソディ』を吉祥寺シアターで見てきた。串田和美による『西の国のプレイボーイ』翻案である。

 若干いじってはある…のだが、基本的には話はほぼ『西の国のプレイボーイ』と同じである。しかしながら最後のタイトルに引っかけた台詞が削除されており、タイトルも変わっている。正直なところ、わざわざ最後の台詞をカットしてタイトルを変える意味が全然わからなかった…というか、ちょっと変えているところもどう機能しているのかあまりよくわからなかったし、翻案として意味があるのかな…という気がした。

 また、セットとか衣装などにもけっこう疑問があった。まず、最初はテーブルと暖炉くらいしかないセットでやっていて、アクションが展開している最中にだんだんカウンターとか棚とかを増やすのだが、なぜ最初から全部出しておいてパブらしい雰囲気を作らないのかな…と思った。芝居の最中にこちょこちょと人が動いて家具類を出すのはちょっと慌ただしくてあまり雰囲気が良くない。衣装はデニム中心なのだが、これもあんまり昔のアイルランドっぽくないし、若い娘のひとりが現代の都会人みたいなオーバーオールを着ているのはちょっとなぁ…と思った。主役の若い二人はけっこう良かったのだが、他はちょっと台詞がもたついたり飛んだりしているところもあったと思う。クィンの寡婦がめちゃくちゃ年上なのはおかしい…というか、原作ではクィンがペギーンより年上とはいえまだけっこう若くて元気で子どもが産める年のこぎれいな女性で、だからペギーンがあんなにクィンを敵視しているのだと思うのだが、そのへんがさっぱりわからなくなっていたように思う。