『白水社の本棚』にブリュノ・ガラン『アーカイヴズ』の書評を書きました。書誌情報は以下のとおりです。
北村紗衣「汗牛充棟だより(3) 記録保存の重要性ーブリュノ・ガラン『アーカイヴズ』」『白水社の本棚』198、2021年秋号、10-11。
かげはら史帆さんが音楽サイトFreudeで新刊『批評の教室ーチョウのように読み、ハチのように書く』をレビューしてくださいました!クラシック音楽のメディアでとりあげていただけるとは全く思っていなかったので、ビックリです。
松本大作・演出『オセローと言う男』を配信で見た。内容はたいてい『オセロー』なのだが、ちょっと変えてあるところがある。
何もないブラックボックスでコンパクトにまとめた上演である。映像はこの手の小劇場配信にしてはかなり質が良く、きちんとした見栄えの撮り方になっていて感心した。ただ、音の録り方についてはこれだけ映像がちゃんとしているわりには音量にむらがる。けっこう音に気を遣っているようで、キプロス島の雰囲気をだすため海の音などが入っており、とくにデズデモーナをオセローが殺そうとするところでは虫の声が流れたりする…のだが、効果音はともかく、とくに舞台の端で役者が話す場面などは妙に声が小さくなるところがある。まあ、小劇場だからこの程度の音のむらはしょうがないのかもしれないが…
全体としては割合、正統派のオセローである。ただ、わりと全体的に緊張感ある感じで統一されていた男性陣の演出に比べると、終盤でデズデモーナとエミリアが男性の性質について話すところはちょっとわちゃわちゃしすぎているように思った。その後はおおむねきちんとした緊張感が持続するのだが、結末をいじっているのはあんまり良くない。男性同士の恨みや人種差別を強調すべく、さらなる殺人が続く暴力的な終わり方になっているのだが、イアーゴーの最後の意味深な台詞がカットされるなど、かなり余韻が削がれる。最後の付け足しは要らないのでは…と思った。
丸善ジュンク堂「『批評の教室』刊行記念 北村紗衣×小川公代(『ケアの倫理とエンパワメント』)オンライン対談」が無事終了しました。小川さんがとても丁寧なスライドを作って来て下さり、英文学談義になりました。お越しくださった皆様、どうもありがとうございます。
【10/9視聴チケット】『批評の教室』刊行記念 北村紗衣×小川公代(『ケアの倫理とエンパワメント』)オンライン対談online.maruzenjunkudo.co.jp