時代ものメロドラマ~『苦い涙』

 フランソワ・オゾンの『苦い涙』を見てきた。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(1972年)の翻案である(ファスビンダーの原作は未見)。

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 舞台は1970年代のコローニュである。映画監督のピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)はボーイフレンドと別れたばかりだが、旧友である女優のシドニーイザベル・アジャーニ)がたまたま連れてきた若い北アフリカ系のアミール(ハリル・ガルビア)に一目惚れし、アミールを主演に映画を作る。ところが若くて魅力的なアミールは年上のピーターに飽きてきてしまう。

 わりと王道な感じのメロドラマで、笑うところもあり、キャンプなところもある作品だ。どの俳優の演技も良いし、ピーターのお母さんローズマリー役で大ベテランのハンナ・シグラも出てくる。ただ、私の好みからするとちょっとキレイにまとまりすぎている…というか、個人的にはメロドラマ路線ならアルモドバルみたいなもうちょっとぶっ飛んだ展開のもののほうが好きである。