そして全部徒労だった~『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』(配信、ネタバレあり)

 『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』を配信で見た。日本では配信スルーのA24のホラーである。

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 東欧系移民のビー(マリア・バカローヴァ)はガールフレンドのソフィ(アマンドラ・ステンバーグ)と一緒に山奥のお屋敷に遊びに行くが、そこには他にもソフィの友人がいた。ワーキングクラスの家庭の娘であるビーは、お金持ちらしい他の連中になかなか馴染めない上、どうもグループ内で人間関係のトラブルもあるようで、なかなか休暇は波乱含みだ。嵐が来る中、みんなで「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」という殺人がテーマのゲームをすることになるが、そこで泊まっていたメンバーのひとりであるデイヴィッド(ピート・デイヴィッドソン)が本当に遺体で見付かる。殺人犯は誰かということで全員が疑心暗鬼になるが…

 階級とか経済格差、セクシュアリティSNSカルチャーなどの現代的な話題を織り込んだスラッシャーホラーなのだが、アホな若者たちが大騒ぎして殺人が…という昔ながらの形式をとったシンプルな作品である一方、終盤はかなりホラーの定石を外してきているのが面白い。とくに終わり方はここまでの大騒ぎが全部徒労だったことがわかるというもので、あまりにもバカバカしくて変な笑いが出てしまう。全てのきっかけとなるピート・デイヴィッドソンの奇行の映像がとにかくおかしい…のだが、たしかにこういうことって今のSNS文化の中では起こりうるかもな…という気がして、なかなか気の利いた諷刺ホラーである。