オークランド(2)〜オーストラリア・ニュージーランドポピュラーカルチャー学会一日目 オタクとパンチラと、まあ濃い一日

 さて、本日よりオーストラリア・ニュージーランドポピュラーカルチャー学会(POPCAANZ)開始。今回この学会に参加した目的のひとつであるファンダム研究の動向を知るべくファン研究のペーパーをいろいろ聞くつもりが、結構日本のものが多くてびっくり。

 とりあえず面白かったのはAlvaro David Hernandez, 'The Concept of Community in Japanese Animation Fan Groups: A Comparative Study Between Communities in Mexico and Japan'かな…発表者は神戸大の人だったのだが、日本のオタクコミュニティはたいへん関係が薄いけどメキシコでは結構情報交換のコミュニティがあるというような話だった。あと日本では同人誌が多いがメキシコではファンジンが多いそうだ(しかしながら私は同人誌とファンジンのどこが違うのかよくわからんのだが…ファンジンって情報誌的なもの?)。

 あと、その後のセッションの発表もそれぞれ面白かった。Carlen Lavigne, 'Pants on Fire: Wonder Woman's Costume and the Flames of Fan Debate'はワンダーウーマンのコスチュームがリニューアルされた際にファンがどういう反応をしたかという話で、ワンダーウーマンバットマンやスーパーマンと比べて個人史のないキャラクターでとにかく服装がアイコニックだというのが他の男性ヒーローと違う点…と言われてほほうと思った。Christy Gibbs, 'Crossing the Borders: Bishounen as Fantasy and Reality'はビジュアル系からホストまで日本の美少年についての資料を集めるというもの。しかしこのセッションではKeith Russell, 'Adolescent Identity, Fanservice and the Glimpse in Manga and Anime'が一番すごくて、この先生はオーストラリアの大学の一見ロマンスグレーの渋そうな先生だったのだが、ものすごい情熱をもって大変な早口で日本の漫画とアニメのパンチラについて何か難しい発表をしていたのでさっぱりわからなかった(なんでもパンチラは'Glimpse'で、これについて本を書く予定があるとか)。最初はドラえもんのしずかちゃんのパンチラについて、ドラえもんは子供のセクシュアリティを意外とよく描いているアニメで…という話をしていたのでそこまではわかったのだが、その後なんかエロマンガ?風なマンガについて怒濤のように話していて何が何だか(なんかタイトルは聞き流したんだけど、ブルネットの女の子と主人公がショッピングモールに買い物に出かけたら主人公が昔好きだったブロンドの女の子がモールにいて、その子の風でスカートがめくれてそれを主人公が注視していたらブルネットのガールフレンドが怒り出して…みたいな話だった)。


 そういうわけで一日目は濃い発表ばかりで疲労困憊。ただ、このセッションではなんか皆東浩紀の話をしていてオセアニアでも結構影響力があるようだと思ったな…オタクコミュニティについて発表したアルヴァロさんは日本語ぺらぺらだったので大塚と岡田も引用してたけど、他の人も日本のサブカルチャーをやっている人はたいていAzumaを読んでるみたいで、たぶんAzumaが一番英語に翻訳されているんだろうな…。ちなみに私は質問で「日本では東には賛否両論があるようですが…」と言ったら、あとのお茶の時間にRussell先生に'Perhaps you don't like Azuma. I like him.'と言われた。バレたか…ただ、お茶の時間に仕入れた別の情報によると他のギリシア文学の受容だかなんだかをやっている先生も何かAzumaにツッコミを入れていたそうで(私はその議論は聞かなかったのだが)、どうも古典系の人からはツッコミが入ることが多いらしい。