見せ方が大変面白い~『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(ネタバレあり)

 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を見てきた。

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 前作ではボロボロ状態だったジョン・ウィック(キアヌ・リーヴズ)はバワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)の助けで回復し、主席連合とのトラブルになんとか対応しようとする。ところが新たに主席連合を牛耳ることになったグラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)はウィックを仕留めるという口実でニューヨークのコンチネンタル・ホテルを爆破するなどやりたい放題である。ホテルのコンシェルジュで長年の相棒だったシャロン(ランス・レディック)を殺されて憤激した支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)はジョン・ウィックと組み、古式にのっとったジョンとグラモン侯爵の決闘を計画する。

 ジョン・ウィックシリーズの第4作である。だいぶスケールの大きい話になり、犬の復讐からこんなに遠くにきたのか…と思うが、今作にもちゃんと犬は出てくるし、終盤にジョンの犬好き精神が炸裂するところもある。今回はジョンは常に犬を帯同することができず、かわりと言ってはなんだが名前がよくわからない若手殺し屋(シャミア・アンダーソン)が訓練した愛犬を連れており、この愛犬をいじめた奴は誰であろうと許されない。

 どんどんスケールがでかくなり、フィクショナルな感じになっているので、ツッコミどころはたくさんある。いかにもなルスカ・ロマの描写や大坂コンチネンタルのあえてやってる勘違い日本みたいな描写は、まあどっちもわざとなのだがちょっとくどいような気もする(大坂コンチネンタルは完全に外国人向けセリフオリエンタリズム売り営業なので、わざとらしいのには理由があるのだが)。また、グラモン侯爵はぜんぜん弱そうなのになぜあんなに出世できたのかは謎だし、相変わらず北欧系の役者は悪役かアホかアホの悪役かどれかなんだな…とも思ってしまった(劇中の設定ではフランス人だが)。

 しかしながらアクションの撮り方や出てくる人たちのキャラ付けがそれを上回る感じで面白い。ジョン・ウィックやバワリー・キング、ホテルの面々などは以前からだが、大坂コンチネンタルのコウジ(真田広之)とアキラ(リナ・サワヤマ)の父娘とか、座頭市みたいなケイン(ドニー・イェン)とかが暴れ回るところは息もつかせぬ面白さである。終盤のアクションを上から撮る、ゲームっぽいと言えばゲームっぽいがちょっと黄金期のミュージカルやヒッチコックなどを思わせるところもあるショットとか、ジョン・ウィックがやっと階段を上がったと思ったら落とされるところとか、映画館でハっとなるような映像がいろいろあり、見どころ満載だ。