クロアチアのきれいな景色に気持ち悪いストーリー~『インフィニティ・プール』(試写)

 ブランドン・クローネンバーグ監督新作『インフィニティ・プール』を試写で見た。

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 舞台はどこか東欧あたりのリゾート地と思われるリ・トルカ島なる場所である。ものすごくきれいなところなのだが、観光客は外に出ることもほとんどできず、なんだかきなくさい地域だ。作家のジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)はリッチな妻エム(クレオパトラ・コールマン)とここに遊びに来ていたが、そこでジェームズの小説を読んでいるというガビ(ミア・ゴス)に出会う。ガビに誘われてリゾートの外に出たジェームズだが、帰りに交通事故を起こして地元民を殺してしまう。そこでジェームズが知ったのは、この島では罪を犯してもお金を払ってクローンを作り、クローンを処刑すれば本人は罪を逃れられるということだった。

 撮影したのはクロアチアのシベニクらしいのだが、めちゃくちゃキレイなところでちょっと行ってみたい…と思ったものの、たぶんそういう気持ちで見る映画ではない。どんどん内容が気持ち悪くなり、金持ちの西洋人のイヤなところがこれでもかと描かれる一方、最後はちょっとしたひねりもあってなかなかスリリングだ。当代のホラークイーンであるミア・ゴスが今作ではファム・ファタルっぽい役柄を演じており、こういう犯罪映画の悪いヒロインみたいな役はあっている気がするのでどんどんこの種の役やってほしいと思った。