80年代末に10代だったゴス少女が母親になったら?『ビートルジュース ビートルジュース』

 『ビートルジュース ビートルジュース』を見てきた。1988年のヒット作の続編である。ティム・バートン監督や主演のマイケル・キートンウィノナ・ライダーなど、かなり前作のメンバーが出ている。

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 舞台は現在である。霊媒としてテレビに出演しているリディア(ウィノナ・ライダー)は前夫を亡くしており、継母で今も妙なアート作品を作っているデリア(キャサリン・オハラ)とも、十代の娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)ともあまりうまくいっていない。ところが父のチャールズが急死し、一家はリディアのボーイフレンドであるローリー(ジャスティン・セロー)を伴ってウィンターリバーの旧居に里帰りすることになる。一方、霊界ではビートルジュースマイケル・キートン)の元妻で魂を吸い取る魔術を操るデロレス(モニカ・ベルッチ)がひょんなことから解放されてしまい、相変わらずお騒がせな元夫を追いかけ始める。

 80年代末の前作の雰囲気や世界観を上手に保ちつつ現代風にした作品である。多分ウィノナ・ライダーとジェナ・オルテガを母娘にしたのが勝因で、ウィノナ演じるリディアはあのゴス少女がそのまま大人になって母親になった感じだし、ジェナ演じるアストリッドはいかにもリディアの娘にしか見えないちょっと陰のある文化系美少女で、明らかに似たもの同士なのだがまあこういう母娘ってなかなかうまくいかないよね!みたいなところがリアルだ。キャサリン・オハラは引き続き楽しいコメディエンヌぶりを披露してくれているのだが、おばあちゃんになったデリアは相変わらず大変困った人ではある一方、年をとって若干丸くなった…というか夫や娘、孫娘に対する思いやりをとてもひとりよがりで変な形ではあるが自分なりに表現しようとはしている感じで、第一作よりはマシな人になっている。ところがマイケル・キートン演じるビートルジュースは前作そのまんまのエネルギッシュなやばい人で、年をとってもさっぱり丸くなっておらず(霊界に成熟とか成長とかいう概念があるのかは不明だが)、やたらパワフルにろくでもないことばかりしているところが笑える。

 ウィレム・デフォーバーン・ゴーマンなど、脇を固める役者陣もみんな達者で楽しそうだし、笑えるところもたくさんある。久しぶりにティム・バートンらしいビジュアルとユーモアが感じられる作品で、ハロウィンにふさわしいホリデー映画でもあり、続編としてはまあこれで十分だろうと思う。ただ、30年以上前の作品の世界観を壊さないことを目標にしているのもあって、現代風にはなっているがそこまで新鮮味があるというわけではないし、いろいろ詰め込んでいるのでおもちゃ箱をひっくり返したみたいな話で、終盤は急ぎすぎで不消化と思われるようなところもある。また、メイトランド夫妻が出てこないのもちょっと残念で、写真か声だけでもカメオ出演してしてくれたらもっと良かったのにな…とは思った(チャールズ役のジェフリー・ジョーンズは前科者になってしまったのでまあ出ていないのはわかる)。