ツイッター版『ロミオとジュリエット』終幕!

 ここ一ヶ月、ツイッターでやってた"Such Tweet Sorrow"こと、『ロミオとジュリエット』が終わりました!

 最終幕をトゥギャったもの
 最終幕を見終わって嘆息する日本のお客さんたちの反応をトゥギャったもの


 …とりあえず、フィクションとはいえ自分のタイムライン上の人がリアルタイムで死ぬのはかなり厳しいものがあった。ティボルトが死んだ後、家族の人がティボルトのツイッターアカウントで「フォローを解除してください。我々家族をそっとしといてやってください」というツイートをしたりとか…


 あと、長期間登場人物をフォローしているとなんとなくリアリティが形成されるというのも最後見ていてつらくなる原因のひとつ。最初はDMもテキストメッセージも使わずにロミオとジュリエットツイッター上で睦言をボロボロ公開しているのがあまりリアルじゃない気がしたけど、なんかだんだん「別にこういうのもありそうじゃない?」とか思えてきて、最後のあたりは怒濤の展開から目が離せなくなった。しかも、ロミオとジュリエットが心中するのとほぼ同時にイギリスでは70年ぶりくらいに連立政権が成立したので、私のTLは仲の悪い政党がくっつく一方、対立する一族のせいで若者たちが自殺という、ふたつの話がスプリットスクリーンみたいに同時進行する展開になった。これは時宜の妙である。


 ただ、話の内容についてはちょっと不満足な点もある。とにかく、17世紀ならともかく今の時代にいきなり十代の若者が結婚したりするのはちょっと若者が無鉄砲に見えすぎる(十代で結婚って…)。それから、原作のロレンス修道士にあたるロレンスさんがこの翻案ではマリファナ解禁活動家なんだけど、始終ラリってるみたいなセカンドサマーオヴラヴなオヤジで、頼りないことこの上ない(…そういうかなりトンだオヤジが街の人から意外と好かれてるっていうのもなんとなくイギリスではありそうなことではあると思うのだが)。恋にぶっとんだ若者二名とラリってるマリファナ解禁運動家のせいで悲劇が起きましたという話になると、なんかまるで話全体のメッセージが「十代の若者はセックスしてはいけません。たとえ結婚しててもダメです。麻薬もやめましょう」というような話に見えなくもないので、そのへんどうなんだろうと思う。『ロミオとジュリエット』は、「大人の頭が固いせいで若者が犠牲に!」という話なのだが、原作のそういうトーンは薄まっているような気がする。


 とはいえ、初めて上演したにしてはツイッターシェイクスピアは結構よくできていたし、中だるみはあったもののお客さんを巻き込むことにも成功したし、いい企画だったと思う。また是非やってほしい。次はHamletweetっていうのがいいと思うのだが…死んだはずの先王がツイッターやチャットで話しかけてきて、ハッカーのホレーシオが探索したらIPが000.000.000.000だったというところから始まるとか…