三井記念美術館「河鍋暁斎の能・狂言画」展〜これがイリュージョンの力だ!

 三井記念美術館で「河鍋暁斎の能・狂言画」展を見てきた。舞台を描いたものとしては相当に臨場感があって大変おもしろい絵が多く、芝居が好きな人は是非行ったらいいと思う。狂言だけではなく能もどことなくユーモラスでかつ緊張感があり、絵によっては騒ぐお客さんの様子なども生き生きと描かれていてまるで客席にいるような気分になれる。

 とくに面白いのは動物を描いたもので、狐と鬼女をオーバーラップさせた絵はまるで3Dの特殊効果か何かみたいで、こ、これがイリュージョンの力か…という感じ。狐がふさをくわえて動く場面のしっぽのもふもふ感とかもすごい。クールジャパンとかいうならこういうものをもっと海外で見せたほうがいいんじゃないのかという気がする。大英博物館春画の展覧会をやるらしいのだが、春画とかもう結構紹介されてて耳タコってところもあるので(CSIでまでネタになってたぞ)、暁斎とか仙突みたいなユーモア系の絵画のほうが目新しい一方でマンガとかあちらで人気の根付に似たキュートな感じもあるので市場開拓できるんじゃないかって気がするのだが…

 しかし、暁斎の画を見ているとなんか能がすごい面白そうに見えるのだが、私は実際に能を見て最後まで覚醒していられたためしがない。まあしかし能は一瞬の緊張感がすごいタイプの芸なので、その一瞬を凍らせて絵にするっていう発想は正しいのかもしれないな。