知られざる女の世界に自費で潜入してヒエラルキーと金について考える〜日本橋三越「東京トールペイントコレクション2013」

 日本橋三越で「東京トールペイントコレクション2013」を見てきた。装飾芸術には疎いので全然知らなかったのだが、toleというのは塗装した金物のことで、トールペイントというのは金属や木製の家具に絵を描く工芸のことらしい。

 家具に何でも絵を描いちゃうというのでお盆とかテーブルとかが出てくるようなこじんまりしたものを想像していたら、なんかこの三越の展示は空間インテリアみたいなかなり大がかりなもので、モデルルーム一個どんと持って来て中に大量の絵つき家具と、お菓子や洋服にぬいぐるみまで出て来てちょっとびびった。しかもそのテーマがスウィーツとかテディベアとかウェディングドレスとか、あまりにも臆面もなくガーリーなのでちょっとびびった。私のガーリーなものに対する意識は微妙で、一般的にガーリーと言われるインテリアを見ていると、少しキャンプというかアヴァンギャルドアート寄りでいいと思えるものと、あまりにも批判精神なくキラキラしててこれは勘弁してほしいと思うもの両極端に分かれるのだが、トールペイント展のインテリアは結構後者に寄ってて居心地がやや悪く…

 しかし、三越でよくやってるこの手の「女の世界」的展覧会って雰囲気が他の美術展と全然違ってかなり部外者にはわからん文化な気がする。職場が近いのと、なんていうかこういうアートの世界の外にある女子手芸文化とかが私にはなんともいえない珍しいものに見えるので、三越高島屋であるこの手の展示にはできるだけ行くようにしてるんだけど、前に行った假屋崎省吾の世界展とかアートフラワー展とかもそうだし、留学前に池袋の三越で見たレトロ着物展とかもそうで、たいてい趣味がすごいガーリーだ。お茶とかお花は相当高級文化というか体制ができあがってる感じで男の先生の陰がちらつくことが結構あると思うのが、手芸系は徹頭徹尾女の世界で、先生も生徒もお客さんもかなりの部分が女だ(男性でやってる人もまあ少しはいるし、妻とかのコネで来るおじちゃまとかもお客さんにはいるのだが)。またまた単に女性が多いというだけじゃなく来館する女性客にすごく親密感というか均質さ(ぶちゃけ三越の顧客として重要視されているのであろうミドルクラス以上のおばちゃまが多い)があり、たぶん私みたいに誰からのご招待でもなく友人にチケット買わされたんでもなく自分で金払って見に来る人はほとんどいないと思う。しかし、こういう女子手芸文化世界って、デザインや製品まわりの情報なんかをどうやって交換しているのかかなり気になる。バーレスクとかもかなり女子な世界だと思うが、自己定義がアート系かクラフト系か(こういう呼び方でいいのかって話もあるが)でだいぶカルチャーが違う気がする。なんていうか、クリエイティヴな女子文化でもヒエラルキーも金もないアート系と、ヒエラルキーと金があるクラフト系でかなり断絶があるよねぇ…ひとくちに女子文化といってもひとまとめにしてはいかんと思うし、