もし『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』に続編があったら?

 この間、ツイッターで「もし2007年に亡くなった若桑みどり先生が生きていたら『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』の続編があったでしょうねー」という話になった。

 『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』(筑摩書房、2003)は、ディズニープリンセスもののアニメを中心に分析したフェミニスト批評の入門書で、映画を扱ったフェミニスト批評としては私が知っている中でも最もとっつきやすく、わかりやすいもののひとつである。『白雪姫』や『シンデレラ』、『眠り姫』などのおなじみのプリンセスストーリーをジェンダーの視点から読み解くことで、こういうロマンチックなお話に隠れた性差別や性的ステレオタイプを明らかにしていく。

 ところが去年、プリンセス界に激震が走った。『アナと雪の女王』が公開されたせいである。この作品がフェミニズムクィア批評の文脈でずいぶん議論されているのは周知のとおりだし、また美術的にもいろんな試みをしている作品だ。若桑みどり先生が生きていたらたぶん『アナと雪の女王』に出てくる新しいプリンセス観について、本職である美術史的なイコノロジー分析をやりながら何か面白い批評を書いていたに違いない…のだが、既に亡くなってしまっている。『お姫様とジェンダー』は少し古くなっているところもないわけではないし、今ご存命だったら絶対続編があっただろう。

 …と、いうことで、もしそういう続編があったらどんな作品が扱われていたか、ちょっと妄想してみた。完全に私の好みだが。

・『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』(2004)
 ある日突然自分がヨーロッパの小国のお姫様だったとわかって…という女の子の妄想みたいなプリンセス映画『プリティ・プリンセス』(2001)の続編。むしろ第一作よりもこっちの続編のほうがかなりひねってあり、実はロイヤル・ウェディングするのは…!!でれきば二作まとめたレビューを…

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・『魔法にかけられて』(2007)
 実写とアニメを組み合わせた、パロディたっぷりのプリンセスもの。

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・『アナと雪の女王』(2014)
 まあ、これが本丸である。


・『マレフィセント』(2014)
 まあ、これは陰の『アナ雪』みたいな位置づけで。

・『シンデレラ』(2015年版)
 『お姫様とジェンダー』の本丸のひとつだったし、実写版の分析もほしいところ。

 このほかにもいくつかアニメが入るような気はするのだが、本当にこのへんについての若桑先生のレビューを読みたかった。というかこのへんのラインナップで誰か論集を作ればいいかもと思う。