アイリッシュダンスに関するドキュメンタリー~『ステップス・オブ・フリーダム』

 ルオーン・マガン監督のドキュメンタリー『ステップス・オブ・フリーダム』を見てきた。アイルランド映画祭2023の一環として上映されたもので、アイリッシュダンスの歴史に関する作品である。

 最初にアイルランドのダンスが史料に登場して以降、18世紀のアイリッシュダンス教育からアメリカでのブラックカルチャーとの交錯、90年代の『リバーダンス』まで、いろいろなトピックを扱ったわかりやすいドキュメンタリー映画である。とくに共和国独立以降、アイルランド国内のダンスは子ども向けに競技ダンスとして画一化され、さらにカトリックの抑圧もあって様式的になっていったが、アメリカでアイルランド移民がやっていたアイリッシュダンスのほうがハリウッドミュージカルに入ったり、ブラックカルチャーのダンスと影響しあったりしてより自由に発展した…というような話が面白い。このため、『リバーダンス』を作った時はリードダンサーがマイケル・フラットレーをはじめとしてかなりアメリカ出身者で、これは大人のセクシーなダンスを踊れるダンサーというのがあまりアイルランドにはいなかったからだということだ。