少年のエピソードだけでいいのでは?~『6月0日 アイヒマンが処刑された日』(試写)

 『6月0日 アイヒマンが処刑された日』を試写で見た。

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 アイヒマンの処刑をめぐる話だが、アイヒマン自身ではなく、処刑に関係した人たちが主人公である。メインの話はイスラエルのアラブ系移民ということで肩身の狭い暮らしをしている一家の息子ダヴィッド(ノアム・オヴァディア)が工場で働き始め、アイヒマンの遺体を焼却する焼却炉作りにかかわることになるというお話である。これに看守のハイム(ヨアブ・レビ)とか捜査員のミハ(トム・ハジ)とかの話が絡んでくる。

 正直なところ、ハイムやミハの視点の話は要らなくて、ダヴィッドだけの話にしたほうが綺麗に流れるのでは…という気がした。ここが一番重点を置かれている話で、内容も興味深い。また、ほとんど女性が出てこない映画で、ミハの話にほんの少しだけ出てくる程度なのだが、かえってわざとらしい感じがするので、その点でも男性ばかりの学校や工場で暮らしているダヴィッドだけの話にしたほうがいい気がした。