韓国の整形業界をめぐるドタバタ劇~『狎鴎亭スターダム』(試写、ネタバレあり)

 イム・ジンスン監督『狎鴎亭スターダム』を試写で見た。

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 舞台は2000年代の狎鴎亭(アックジョン)である。生業が何なのかもよくわからないが、とにかく狎鴎亭界隈で顔が利くテグク(マ・ドンソク)は、医師免許を剥奪されている優秀な美容整形専門医ジウ(チョン・ギョンホ)と出会う。テグクは狎鴎亭でジウと一緒に大がかりな美容整形ビジネスを展開する構想を打ち出し、瞬く間に大成功を収める。ところが中国の出資者との関係もあり、だんだんそのビジネスがほころんできて…

 私は全く美容整形とかに詳しくないので知らない話ばかりでとても新鮮だったのだが(しかも字幕が「整形外科」になっていおり、整形外科と美容整形は厳密に言うと違うはずなのでちょっと最初混乱した)、狎鴎亭は実際に美容整形の病院がたくさんあるところだそうだ。ここが整形ビジネスの本拠地になっていった時代のエネルギッシュであやしい雰囲気をとらえようとした作品で、お話はだいぶ誇張してあるのだと思うだが、いろんな美容整形医が派手な宣伝をしてしのぎを削っていたことにヒントを得て作られたそうだ。序盤ではいろいろとうさんくさいことこの上ないビジネスが行われるものの、テグクとジウが兄貴分・弟分として組んで成功していく詐欺師ものみたいな軽快な面白さがあるのだが、終盤はお金が儲かるとともに仲間割れやら周囲からの介入やらでどんどんトラブルが起こる。主演2人のキャラクターもいいし(マ・ドンソクはこんな詐欺師まがいの役でもやはりラブリーである)、美容整形手術じたいが人のコンプレックスを煽るエグい産業で詐欺まがいのあやしいところも多いという諷刺的な視点も多少はあり(もっとそこに突っ込んでほしかったが)、いろいろ不足なところはあるが、軽い気持ちで見るビジネスコメディとしてはまあ悪くはない。